これはお父さんの方のピーター・ブリューゲルの
ネーデルランドの諺
という絵(クリックで少し大きくなります)
解説をたどって読むと面白い
真ん中の赤い服の若い女は
浮気をしている罪深い女(赤は罪を表すんだって)
青いマントを着せられているのが年老いた夫
昔は青は清らかさのシンボルだったのが
魔法使いが青い霧の中で たぶらかすようになってから
欺瞞のシンボルの色になったそうだ
この部分は
青いマントを被せて ゴマしてだましているという意味の絵
こういう諺の絵が ブリューゲル界隈でいろいろ出てくる
欺瞞に満ちた世の中だから
私は喪服をまとい喪に服す
という後ろから
巾着切りがこっそり近づいてきて 巾着のひもを切って
盗んでいく
という絵
これは ブルーゲルの絵から取ったもの
子供のほうの
ピーター・ブリューゲルの油絵↓
図録によると
12枚あるうち 5枚しか残っていないそうで
しかもこのアイディアや構図は
父のものか子のものか不明だとあるが
それが この間のアンソール展にあった
で 版画の図録には
お父さんの絵が載っている
この絵は 子のピーターが2歳の時の絵だから
それをもとに
上の絵を描いたのだと思うが
背景がそれぞれ違って面白い
このことわざシリーズの中身を読むと
諺 って 民衆の人間観 生きていく知恵みたいなものが
とても うがった見方
騙されない考え方
という風なものが多くて
東洋の諺と味わいが違う
キリスト教の絵などでも感じるけれど
そういう風に ものの考え方を共有したり
育んだり という 絵の働きというのがあったのだなあ
と思う
これもそういう絵だ
長谷川等伯 猿猴捉月図
でも これは できもしないことを追い求める 愚を諭す絵か
いやいや 夢と理想を追い求めるって
イイじゃない?
と考えるか 中学生はどう考えるだろう
(あ 修学旅行では 見学できないや)
ということで
アンソールの絵をまた見直してみると
人間を描いた絵って
描いた人の人間観というものが
現れるものだなあ と思い
ワンパターンな美人画がつまらないわけは
そういうことか
アンソール展 もう一回行くかな