ちょいちょい受験生のレベルが下がっているのかというご質問を受けます。特に今年は、1810人合格に対して最低点が過去3番目に低いという事実が指摘されます。1割以上減らしたわけなので、最低点はむしろ上がるはずなのに、という素朴な感覚です。
正直何とも言えないんですが、法務省が今年の合格者数を減らすと決めて、では当初から何人減らすつもりだったのか、という問題があります。採点してみたら「ちょいとひどいな」ということで一気に減らしたのか、最初から1800人前提で採点オファーを試験委員に出していたのかで大分違ってくる気もします。そもそも昨年まで比べて最低点が跳ね上がるというのも「じゃぁ、去年まではなんだったんだ」という話にもなります。そういう意味で意図的に穏当な数字に落とし込んできたのではないかと思います。論文は素点ではなくスコアですし。
それを前提にしても、受験生のレベルは全体的には落ちてきている傾向はあるような気がします。もちろん、いつの時代も上位層のレベルはそう変わらないと思いますが、それ以下の層は全体的に論述力が落ちてきているかもしれません。これはL2レベルの演習不足が主な要因のような気がします。1科目につき100問解いたことのある人は少ないのではないでしょうか。
もちろん既修者試験の競争水準(競争率)の低下が、「上位ローに受かっちゃった」現象をもたらしているのも大きな要因でしょう。ローに入学するとL3に目を奪われがちで、地道なL2対策がおなざりになる傾向があります。そのため実力的には未熟なまま、「もう大丈夫」と過信してしまうリスクが大きいのです。そこで、ロー1年目は基礎固めの延長と本試験分析を、2年目からL3対策を、という二段階構成が良いと思っています。