抵当権の効力の及ぶ範囲(2)敷地賃借権 |
土地賃借人の所有する地上建物に設定された抵当権の実行により、競落人が該建物の所有権を取得した場合には、612条の適用上賃貸人たる土地所有者に対する対抗の問題はしばらくおき、従前の建物所有者との間においては、右建物が取毀しを前提とする価格で競落された等特段の事情がないかぎり、右建物の所有に必要な敷地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。 |
最判昭和40年5月4日 百選85事件
・本判決のロジックは、敷地利用権が建物抵当権に服し、競売の対象となるので、敷地利用権の移転のみが問題となり得て、転貸借は問題となりえない(=抵当権設定者は敷地利用関係から離脱する)とする点で優れている。
・本判決は、抵当権の効力が敷地利用権に及ぶことの説明を、87条2項類推適用(通説である)によるのか、370条によるのかの判断を示していない点に注意する。
・建物の買受人に移転した敷地利用権が賃借権の場合、賃借権の譲渡には賃貸人(敷地所有者)の承諾が必要である(612条1項)ので、この承諾がなければ、敷地所有者に対して賃借権を主張できない。
→ 借地借家法20条で対処。