今年の積雪は観測史上最高だと言うし、おまけに寒さも尋常ではなかった。今朝だって、ここはマイナス八度まで下がったが、寒さに慣れきった身体には、陽射しが暖かい。こんな年、渡り鳥たちはまだぬくぬくしているのかと思っていたら、南の沼が暑すぎたためか、やはり戻ってきた。昨日の午前、車に乗っていたとき、渡り鳥が鳴き交わすクヮークヮーという声が大空から舞い降りてきた。
今朝、JRの駅のホームにいると、二十羽程度のハクチョウ逆V字飛行隊が、まばゆい太陽の光に急かされるように、二隊並んで南の空から飛んできた。頭上を過ぎる手前で、一羽のハクチョウがひときわ大きな羽をせわしく羽ばたいて、隊列から外れ、二隊の中央を単独で飛行し始めた。空を見上げたまま、北の方へ頭をぐるりと巡らすと、少し先を行く隊列の右翼に、もうひとつの隊列がV字のままつながった。そして見る間に右翼の先に一列に整列した。
今年の北の湖はまだ氷が張っているかもしれないな。右羽の長い大きなV字飛行体は、心配しながら眺める私を振り返りもせず、「飛ぶのは、今でしょ!」といった感じで、ぐいぐい力強く久々の青空を突っ切っていった。(2013.3.25)