5月から、読んだ本や入手した本のことを書いていない。
この間、完読したのは私としては珍しく小説。イタリアの哲学、記号論学者で作家のウンベルト・エーコの最後の作「ヌメロゼロ(0号)」。覆い隠された時代の真実をあばこうとする偽出版社の話。ヨーロッパ人の深層にある想念とはどんなものかちょっと興味があって、ほかにも、レヴィ・ストロースの「仮面の道」に手を付けたり、SF作家のコニー・ウィリス「犬は勘定に入れません」に目を通してみたが、ウィリスものはどれも余計なおしゃべりと回り道が多すぎて年寄り向きではない。こんなふうに、あれもこれもと間口を広げたせいか頭の中がまとまらない。
この間、完読したのは私としては珍しく小説。イタリアの哲学、記号論学者で作家のウンベルト・エーコの最後の作「ヌメロゼロ(0号)」。覆い隠された時代の真実をあばこうとする偽出版社の話。ヨーロッパ人の深層にある想念とはどんなものかちょっと興味があって、ほかにも、レヴィ・ストロースの「仮面の道」に手を付けたり、SF作家のコニー・ウィリス「犬は勘定に入れません」に目を通してみたが、ウィリスものはどれも余計なおしゃべりと回り道が多すぎて年寄り向きではない。こんなふうに、あれもこれもと間口を広げたせいか頭の中がまとまらない。
買った本は、「思いつきで世界は進む」(橋本治、ちくま新書)、「ヨオロッパの世紀末」(吉田健一、岩波文庫)、「社会学史」(大澤真幸、講談社現代新書)、「倭の五王」(河内春人、中公新書)、「ハングルの誕生」(野間秀樹、平凡社新書)など。ハングルの本はいつか読んでみたいと思っていた。最近の外交関係のもつれに刺激されてつい買ったのだが、この本はたいそうおもしろい。なにより漢字文化圏の人々が、長きにわたり、文字によって知性を研いてきた努力に感動する内容だ。関係政治家には、漢字とハングルの勉強会をぜひやってほしい。(2019.9.10)