K氏へ
仕事で道北の宗谷管内へ行くことがあるのですが、私が最北の町にいたころの三十数年前に比べると、ずいぶん寂しさを感じます。
たとえば海に面していないN町は、昭和五十五年、人口四千二百人くらいだったのが、今は二千人を切ってしまいました。農家戸数は五十数戸、農家人口百三十人足らずなので、ほとんど熟年夫婦だけの経営体です。若い人や子どもは、友だちも作れないような寂しい土地には住めないのです。でもこの国は農業施策に何ら瑕疵はないと言い張ります。人がいなくなっても、農業生産は右肩上がりで増えてますから。
ずっと前のテレビ番組、確か「世界ウルルン滞在記」(徳光さんの司会)だったと思うのですが、アフリカだったか或いは中央アジア方面の荒涼とした土地に、父親と二人きりで住む、十代の少女が登場したのを思い出します。
二人の住居は地面を掘った洞穴で、家族や集落の人々はとっくに出て行ってしまい、周囲には人っ子一人いません。人っ子一人いなかったら猫だって寂しいです。
北海道は、札幌とか旭川、函館など特定の都市部を除いて、今世紀中にきっと、このテレビ番組どおりになると思います。私としては、動物たちのために、地域に人がいなくなった方が良いと思いますが。(2016.5.11)
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