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石原産業、瀬戸市幡中地区フェロシルト撤去命令で愛知県を提訴!

 昨日は、瀬戸市で検討会を傍聴し、家に帰ったらこの報道である。

 今回のできごとは、「やっぱりここまでやる企業だったんだ」という感想で、えっ!の気持ちとやっぱり!の気持ちが同居。

 申請通りに作ってもまともな商品でなかったフェロシルトをつくり、なおかつ他の廃液を混ぜ、なおかつ偽のサンプルを行政に提出し、なおかつ逆有償で環境中にばらまき、そして、なおかつ副工場長がひとりでやったことと言ってのけてきた石原産業。会社としての責任は免れられない。
 フェロシルト問題が大きな社会的問題となってからは、「全力をあげて撤去をする」と、社会に対して言い続けてきた石原産業。県にも何度となく足を運び撤去の相談をしていた石原産業。昨日の発表直前まで、瀬戸市での検討委員会で、全量撤去のための話し合いのテーブルについて、意見を述べていた石原産業・・・・・。

◆理解できない!一部上場企業「石原産業」

 そんな石原産業が、愛知県の幡中地区のフェロシルトの措置命令(撤去命令)の取り消しを求めて提訴した。
http://www.iskweb.co.jp/1-6-2_2006-08.PDF(石原産業web)

 午後2時から、私は、第2回幡中地区フェロシルト撤去等検討会の傍聴をしていた。石原産業からも愛知県からも、一言も提訴に触れるような発言はなかった。廃棄物処理法違反の撤去命令に対して、一部上場の大企業が提訴するなんて、前代未聞の話しである。フェロシルト事件の今までの経緯からすれば、とても考えられない話しである。

 石原産業は、検討会が終えるのを待ってHPをアップしたのだろう。記者会見もなく、HPへのアップのみだったらしいが、今日の検討会の内容は、石原産業のHPでの提訴理由とあまりにも合致している。石原産業にとっては、シナリオ通りの1日だったのだろう。

◆第2回幡中地区フェロシルト撤去等検討会、傍聴記

○最初に、瀬戸市環境課から「この検討会は、あくまで撤去方法を検討する会です。・・・」との説明があった。そして、県からも「全量撤去を原則に・・・」との、先日提出した市民団体からの要望書の趣旨を取り入れた説明があった。しかし、内容は以下の通り。

○以下、会議での発言を抜粋
石原産業 「水を通しにくい層が下の方にある」 (地層や地下水の流れ、六価クロムやフッ素汚染について説明)
K委員 「フッ素は、日本が一番厳しい。なぜ厳しいのか、基準値0.8に何故こだわるのかわからない。フッ素は毒物ではない。急性毒性はない」
K委員 「六価クロムは、急性毒ではない。70年摂取して死ぬ人が何人いるかで考えるもの」
K委員 「幡中の現場は、大きなリスクでない」
D委員 「現況のリスクは、地産由来の水か、フェロシルト由来の水か、影響があってもTS1ポイント?・・・」
D委員 「周辺の地産は、フッ素が出てくる山があるのか?」「・・・」「この地域は、地産由来のフッ素があるのかもしれませんね」
K委員 「クロムの変化について、石原さん前回言ってましたが、まだ資料を頂いていない・・・。日本材料学会で滋賀大の河内先生も、考え方は問題ないとみられると言っている。六価クロムは、現場で生成されたかについて、去る高名な先生にも伺った。環境がよかったんだろう。六価クロムが生成されにくい環境だったということだろう」
市民委員 「普通の土と違う。粉塵による健康リスクはどうなのか」
 K委員 「六価クロムは、吸っても・・・・」「石原さん、フェロシルト吸引によるリスクのデータはありますか」「・・・」「・・・」(質問と説明がかみ合わず・・・・)

 ここでひとつの疑問。この検討会の設置を言い出したのは誰なんだろう?「封じ込めでも安全」というムードづくりに、しっかりと使われたと言わざるを得ない。

 また、六価クロム等有害物質が検出されたとき、石原産業は、「運搬途中で混ぜられたのだ」とか、「埋め立てられてから生成された」のだとかと言っていたが、この六価クロムの生成は、中学生程度の化学の知識があればわかるような初歩な知識があればわかったことらしく、検討会は最終的に、有害物質は製造段階で生成されたものとした。
 しかし、瀬戸の検討会で、搬出時における六価クロムの生成問題が、三重県の検討委員会の結果を参考にすることなく、また、搬出期間も想定されずに議論されているのは、理解しがたい。

 (資料)平成17年12月15日、三重県フェロシルト問題検討委員会での最終報告書が出されている
http://www.eco.pref.mie.jp/jyourei/jyourei-yoko/jyorei/j20/feroshiruto/saishuhokoku.htm
15頁 「3 使用後に変化する可能性の検討」には、
(1) 施工現場の状況 
(2) 分析データを用いた検討 
 a. 土壌混入率の影響 b. 酸化還元作用のある微量物質の影響
(3) 六価クロムの溶出可能性の検討
 a. pH条件による六価クロムの変化 b. 乾燥・湿潤による六価クロムの変化 c. 曝露実験 が記されている。

33頁のc. 曝露実験は、石原産業が行っており、実験結果として
「屋外暴露、室内暴露の条件において、曝露日数経過により六価クロムやふっ素が徐々に溶出する傾向が見られた。六価クロムについては、屋外曝露の方が室内曝露よりも溶出濃度が高かった。」としている。

しかし、検討会のまとめは、以下のとおりであった。

4 汚染原因の特定
チタン鉱石に含まれる鉄分の量、土と混合した後の条件変化、他の工程からの廃液混入等様々な影響の可能性も考えられるが、認定申請の内容と同じ工程(条件)で試作したフェロシルトから六価クロム等が検出されたことが極めて重要である。さらに、試作時の製造工程で、フェロシルトのもととなる固体成分や工程液からも六価クロムやふっ素が検出されていることから、各地の施工現場における六価クロム等による汚染の原因は、製造段階でフェロシルト中に六価クロム等の汚染物質が既に含まれていたものと考えられる。
 

◆感想

 マスコミの取材で、「感想は?」と聞かれた。「呆れて何の言葉もでない」というのが、最初のことば。そして、「愛知県は、石原産業に馬鹿にされている」が二言目。・・・・・・。

 訴状もみていないので、私の推測にしか過ぎないが、三重県の検討会の資料を基に、★もともと有害物質の含有が少ない ★掘り起こすことにより六価クロムが生成される というのが石原産業の言い分なのかもしれない。
 でも、この言い分は、「掘り起こすと危険な土地」ということを、石原産業は認めることになる。そうすると、地主はその土地の使い道がなくなるし、財産価値もなくなる。地主である名古屋鉄道との話しはついているのだろうか。フェロシルト搬入の経緯についても、情報が少ない。逆有償は成立しているのだろうか。様々な疑問がわいてくる。

 でも、そんなことより、自ら撤去すると宣言した石原産業が、撤去命令の取り消しを求めて提訴するなんてこと、常識的に考えてどうなんだろう。

 ここでふたつめの疑問。あの幡中地区の体裁に過ぎないフェロシルト袋詰めは、誰がやろうと言い出したのだろう。裁判となっても、全量撤去の義務は残る。裁判の決着がつくまで、アリバイ的な撤去を続ける姿勢の始まりなのだろうか。

 ★新聞記事は、てらまちさんのブログに載っているので、リンクさせて頂いて・・・ちょっと手抜きします。
http://blog.goo.ne.jp/teramachi-t/e/30879c681abbf1ca7a6f64a4ffc35854

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