細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

博士論文

2013-11-04 23:46:57 | 研究のこと

今日は金沢八景で研究室のOBOGバーベキューでした。三年連続で実施しました。今年はOBOGが少なかったですが、来年以降も続いていくことを期待します。

今朝、バーベキューの会場に行く前に、ドトールにて最終審査直前の小松君の発表の指導。PCでスライドを見せて発表してもらいながら、アドバイスをしました。内容はかなりブラッシュアップされてきましたが、あと一息です。

小松君の研究は、私が主査として指導する博士論文としては3つ目になります。これまでの3つは、結果としては全く異なる内容になりましたが、それが私のやり方を表しているとも思います。小松君の研究は、新しく来日したスリランカの留学生が引き継いで、発展させていくことになりそうです。

小松君の研究は、実は私が修士論文でチャレンジしようとしていたようなことを、はるかに高レベルにチャレンジしたものです。材料、部材、構造物のすべてのレベルで、実現象(実験、構造物の挙動)とシミュレーションを比較検証し、最終的には構造物の挙動を把握し、設計や施工でその挙動を制御しようというものです。設計や施工の情報以外としてひび割れの情報のみが記録された実構造物(東北新幹線の構造物)の挙動を時系列で解明することができたと思っています。

この研究の内容の本格的な論文投稿はこれからですが、このような研究を形に仕上げたのは私としては初めての経験です。

この研究の延長上には、PRCやRCのひび割れ幅算定式の検証や、場合によっては改良なども視野に入ってきます。当然チャレンジします。そのような研究も私にとっては初めてです。

研究とは何をやってもいいのですが、私の場合はやはりどんな研究を行うにしても、実社会とリンクした研究をしたいという気持ちが根底に強くあるように思います。

未熟な段階では、実社会とのリンクの程度が低い、弱いのですが、諦めずにコツコツやっていると徐々にリンクのレベルが上がってくる。実社会とは極めて複雑で難しいので、そう簡単にはレベルアップできませんが、コツコツやるしかない。

そして、そのような意識でやることによって、研究を通して実社会の実相が少しずつ少しずつ分かるようになり、それを研究にフィードバックする。ポジティブなスパイラルがわずかながら築かれ始めた感覚を持ち始めています。どの研究においても。

今回、私は10日程度の日本出張で来ていますが、かなり多くの時間を研究に割いています。事務的な会議も無いし、講義も11/5に行う90分のみ(これも、維持管理について90分、私の思うことを話すだけなので、研究に近い)ですので、その他の時間は当然に研究に使うに決まっています。当たり前ですが、復興道路の品質確保も、津波委員会のシンポジウムもすべて研究です。

非常に非常に未熟な稚拙な研究者としてスタートを切りましたが、コツコツコツコツと日々を重ねてきました。今朝の小松君の発表指導は、来日中のカイロ大学のHamed先生も見ていました。ときどき私が英語で内容の説明をしたので、彼にも十分に内容が伝わり、「とても良い研究だ。今後の展開もいろいろとあるのも素晴らしい。」と言っていただきました。曲りなりも褒めていただけるような研究を学生たちとできるようになってきました。

そして、やはり今回思うのは、私は研究が好きであること。それが最も大切なことかなと思います。