細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

世に棲む日日

2013-11-08 11:59:51 | 趣味のこと

以下、私の近い人には福島のバスの中でお話ししたことなのですが、ブログの記事にもしておきます。

私たちが住んでいた賃貸の住居を撤退して、パリで家族で住むことになり、すでにその生活が始まっています。

住んでいたマンションは川沿いにあったのですが、多くのマンションがスーパー堤防上に並ぶエリアで、駅までは徒歩でも十分に行けますが、バスを使う人も多いです。

どのマンションかは知りませんが、その辺りに住むあるご婦人(面識はない,30代中盤と思われる,もちろんきれいな人)がおられました。旦那さんは外国の方で、私の出勤時にご夫婦揃って出勤でバスに乗られるのも何度か見たことがあります。そのご夫婦にお子さんが生まれ、 おそらく奥さんは育児休暇中のようです。

10月30日に私が単身でパリから日本に帰国したとき、駅からバスでマンションの片付けに向かう途中、バスの中でたまたまそのご婦人が私の席の前に立っていました。買い物を終えてのご帰宅の途中のようです。ご婦人は私のことは認識していないようでした。

そのご婦人がブックカバーの無い文庫本を読んでいました。ときどき本から目を離してバスの窓から外を見て、ふっと微笑んでおられるような表情をしておられました。

二回くらいそのような微笑む状況があり、たまたま(でもないですが)、文庫本のタイトルが私の目に入りました。「世に棲む日日」。どうやら二巻のようですので、吉田松陰です。驚きました。

大人の女性が「世に棲む日日」を育児休暇中(あくまで複数の事実観察に基づく想像)にバスの中で読み、おそらく松陰の生き様に微笑む。とても素敵な光景でした。

そして、それに触発されて、私の職場の通称「細田ライブラリー」から世に棲む日日の文庫本4冊を持ち帰りました。フランスに持って行ってゆっくり読みたいと思いますが、今、もうすぐ新潟に到着する新幹線の中で一巻を読み始めましたが、非常に面白い。もちろん以前に読んだ本ですが、この激動の時代に読むと、また感慨深いものがあります。


日本出張、終盤

2013-11-08 07:12:29 | 研究のこと

非常に濃厚な日々が過ぎていきます。

6日はほぼ終日、研究漬けでした。

10:30~、カイロ大学のHamed先生の特別講義。ELSという構造物などの破壊シミュレーションに非常に強い解析ツールを用いた種々の研究について説明してもらい、ディスカッションも活発に行われました。共同で研究している津波による橋梁の破壊についても有意義なディスかションができ、よかったです。

13:00~、津波で甚大な被害を受けた津谷川橋梁のELSでの解析について、Hamed先生や林さん、日本人学生たちも含めてのミーティング。

15:00~、復興道路の田老トンネルでの目視評価、SWATの計測についての詳細打ち合わせ。

17:00~、小松君の博士論文の最終審査。

その隙間を縫っていくつかの研究打ち合わせや事務作業を行いました。非常に頭を使う一日でしたので、疲れました。

19:15~、最終審査終了後、副査をしていただいた石田先生にもお越しいただいて、小松君、Hamed先生と私とで天一にて懇親会、お祝い。しっかり仕事をした後の、気心の知れた方々との楽しい会話は最高の時間でした。

昨日、7日は土木学会の津波委員会の報告会とシンポジウム。無事に、盛大に終えることができたと思います。コンクリートライブラリーとして発刊できましたので、ホッとしました。

海岸工学の研究者たちと深く会話・交流することができ、田中先生を中心に私より若い幹事団に強力にバックアップしていただき、幹事長としての大役を何とか務め切ることができました。

報告会終了後の懇親会でも丸山先生や幸左先生らとおいしいお酒を飲みながら楽しく会話することができ、疲れが飛びました。

これで、幹事長を務めていた大きな委員会(JCIデータベース委員会、土木学会津波委員会)も無事に終了し、次々と肩の荷が下りていきます。

今日、8日は昼に新潟に着くように出発し、北陸地整の方々に表面吸水試験や目視評価など、表層品質に関わる勉強会でレクチャーをさせていただきます。これは、私にとっては慣れた業務ですので、楽しく議論させていただき、北陸での取組みが活性化するように尽力したいと思います。

日本出張は終盤に入っています。9日の土曜日は家の鍵を返却して、住み慣れた我が家の処理も完済。その後、大学で少し学生たちの指導をする必要がありそうですが、それで日本出張終了です。

10日の昼過ぎの便でパリへ戻ります。日本の様々なことが片付いたので、いよいよ本格的に私のフランスでの生活が、家族とともに始まります。少し不思議な気分です。