人間,長所と短所は表裏一体,ということは何度もこのブログでも記してきたことです。
学生のころから岡村先生に教わってきたことですが,年齢を重ねるごとに自身の実体験や他者の観察から,これが真実であることの理解を深めています。
私は「いいかげん」な人間だと思っています。
詰めが甘い,という短所でもあるのですが,自分の最も良いと思う状態がこの状態であることが多く,私の考え方そのものが表れていると思っています。
きっちりと細部を詰めることももちろん非常に重要なのですが,押え込みすぎると発展性が無くなる。
私は学会の委員会の幹事長を三回務めました。すべて委員長,周囲の皆様のおかげで,非常に自由にやらせていただきましたが,特にJCIのデータベース委員会は,委員長の田村先生の大きな懐のもと,まさに私のやりたいようにやらせていただきました。
多くの委員の方々が,「発散してしまうのではないか」と私の運営方法を心配され,懇親会などで何度も私に声をかけていただきましたが,「大丈夫です」と答えました。
委員会の発足当初から決まっている目標に向けて委員に作業を割り振って片づけていく,というような委員会は私には全く不向きです。
データベース委員会のように,目的そのものが進化,発展していくような委員会で私の真価が発揮されます。復興道路の構造物の品質確保や地域への展開,はまさにこの委員会の活動と歩を揃えるように育ったプロジェクトですが,次々と展開が広がっていく状態を創り出すことは,いいかげんさが根底にあります。事前に想定した目標など,どんどんと突き破って展開していただくポジティブな雰囲気を,委員会中に充満させることを常に意識して運営しました。
強力な信念とエネルギーを底に携えた,楽観的ないいかげんさ,です。
一方で,細部を詰めていくことも重要で,こちらは現状では,論文投稿の作業で鍛えています。博士課程の学生らとの論文投稿では特に私のチェック能力が鍛えられますし,筆頭著者の論文では,自身の思考・経験を和文,英文,図表で形にしていく一つ一つのプロセスを,フランスでのゆったりした時間の中で楽しみながらできることを幸せに思います。このプロセスでは,いいかげんさと闘うことが大きな課題です。