「東京奇譚集(とうきょうきたんしゅう)」
村上春樹さんの短編集で、写真は文庫版になります。
5編の短編小説をまとめたこの作品は、
春樹さんの作品をほぼ全て読み継いできた僕にとっては、
少々特異なものの様にも感じています。
そのことは、
本の冒頭にある「偶然の旅人」という作品の始まりにおいて、
作者の春樹さん本人の言葉として書かれている文章からも感じ取れます。
===============================
僕=村上はこの文章の作者である。
この物語はおおむね三人称で語られるのだが、
語り手が冒頭に顔を見せることになった。
昔風の紙芝居みたいに、カーテンの前に立って前口上を済ませ、
お辞儀をして引き下がる。
わずかな時間のことなので、
我慢してお付き合いしていただければと思う。
どうして僕がここに顔を出したかというと、
過去に僕の身に起こったいくつかの「不思議な出来事」について、
じかに語っておいた方が良いと思ったからだ。
実を言うと、そう言った種類の出来事が僕の人生にはしばしば起った。
あるものは意味のある出来事であり、
人生のあり方に多少なりとも変更をもたらすことにあった。
またあるものはとるに足りない些細な出来事であり、
それによって
人生が影響を受けるということはなかった———たぶんなかったと思う。
(中略)
というわけでこの場所を借りて、いわば物語の前置きとして、
これまでに経験した不思議な出来事について手短に語ってみたい。
とるに足りない、ささいな経験の方を取り上げることにする。
人生を変えた不思議な出来事について語り始めたら、
紙数の大半を使い切ってしまいそうだから。
===============================
この本に収められている魅力的な5編の中で、
僕が特に好きなのは、
最後に収められている「品川猿」と言う物語。
なぜか?
猿が?
主人公にとても大事なことを気づかせてくれます。
なんでしょう......個人的には、の話ですが、
春樹さんの小説というのは、
それがフィクションであってもノンフィクションであっても、
読んでいる自分自身の「欠損」に気付かされます。
自分が自分なりに懸命に生きている中で、それでも、
どこかで落として、無くしてしまった様なもの。
そんなものに気づかせてくれたり、思い出させてくれたり。
漠たる大きな喪失感を抱えながら生きていて、
でも、そんなものに気づかないように、
深く押さえ込んで来てもいた自分の姿を映し出してくれたり。
そんなところがとても痛くて、しかし、痛快というものでもあって。
気がつくと小説の主人公が自分のことの様に思えてきて、
小説が自分の物語の様に感じられてしまったり。
僕にとっての春樹さんの小説というのは
そんな魅力に溢れているものです。
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最近公開された松永大司監督の映画
「ハナレイベイ」
この原作も上記した短編集の中に収められています。
春樹さん好きの僕さんとしては、
映画もしっかり見させてもらいましたが......
とにかく、やっぱり、
「ハナレイベイは美しいなぁ、、」
と、また、
このビーチにたまらなく行きたくなってしまいました。
そして、つい先日には、
友達のmikoちゃんが
「ハワイ楽しかったですよー♪」
と、オアフ島旅行のお土産話をしてくれたのですが......
「ハナウマベイも良かったです!
潜ったし、ビーチの隅っこが最高で。
そーいえば最近映画もやってるのですよね?ハナウマベイの。
見たいなぁ(^^)」
「あーーーーー、、、mikoちゃん。
それ、ハナレイベイ、ね。ハナウマでなく」
「ええ!?そーなんですか?違うんですか?」
「ぜんぜん違うよ。
カウアイ島だから。ハナレイは。
オアフ島じゃなく( ̄w ̄)ぷぷ。」
なんて、そんなプププな会話もしていました。
そして、僕にとってのハナレイベイとなると、
「ガラスの靴の物語」というシリーズ記事に記していた通りで。
「ボカス」さんというカウアイ島の神様とお会いできた
奇跡のビーチであり、
それは、春樹さんの短編小説と同様に、
まさに「奇譚(きたん)」この上ない話ではあります。
しかし、やはり小説と同様に、
それは人生を大きく変えた出来事ということでもなく。
しかし、その出来事は僕の体の中の深いところに入り込んでいて、
決して消えることはなく。
日々少しづつ熟してきてもいる様で。
今や僕の「核」となるようなものの中に
「ひっそり」と溶け込んでもいて。
そんなこともあってなのか?ハナレイベイの風景を見ると、
それが映画であれ、なんであれ、
何故だか郷愁にも似た感傷が強く湧き出でても来ます......
個人的なハナレイベイ(Hanalei Bay)の印象は、日本であれば、
日本海側の美しい浜辺にある小さな村を南国に移し替えた......
というようなイメージ。
太平洋側のビーチには無い都会との隔絶感と、
都市的に洗練されたものが一切目に入ってこない、
少しの寂しさや不安さも混じり込む心地良さ。
そして、島の北端にあるからだからでしょうか......
世界から取り残されたかのようなひそやかさと、
たおやかさで流れる空気と風と時間。
そんなベイの入り口には海外の映画などでも有名な、
味のある鉄橋「ワンレーンブリッジ」を通って入ります。
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その名のとおり、車一台分の幅しかない橋なので、
どちらかの車が通り過ぎるまでは橋のたもとで待つわけで。
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ベイの後ろにそびえるハワイ諸島最古の原生の山々とタロイモ畑。
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ここは、地球上で最も雨が降るという場所。
一年の内350日が雨だった!
というギネス記録もあるのだそうです。
この時も大雨の直後に行った記憶があるのですが、
山の頂上から下まで!
数百メートルの滝が何本も!
流れ落ちていた風景には圧倒されました。
そんなベイに畏れを抱きつつも、美しく感動的な風景......
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この地のシンボル。ハナレイ桟橋(Hanalei Pier)。
この橋を愛する多くの人々の基金によって補修、
維持をされている橋でもあって。
たもとには記念碑もあります。
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こじんまりとした、カントリーなショッピングモールとかも。
チン・ヤン・ヴィレッジ(Ching Young Village)。
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教会ものんびり系。
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「プリンスビル(Princeville)」という有名なリゾート地の最奥にある
「クイーンズ・バス(Qeens Bath)」
というスポットから遠くに望むハナレイベイ。
ここも大好きな場所。
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無欠の自然の美しさが、自分の欠損を埋めてくれたり?
癒してくれたり?見つけてくれたり?
......してくれるようなことがあります。
また、行きたいなぁ......と(^^)
村上春樹さんの短編集で、写真は文庫版になります。
5編の短編小説をまとめたこの作品は、
春樹さんの作品をほぼ全て読み継いできた僕にとっては、
少々特異なものの様にも感じています。
そのことは、
本の冒頭にある「偶然の旅人」という作品の始まりにおいて、
作者の春樹さん本人の言葉として書かれている文章からも感じ取れます。
===============================
僕=村上はこの文章の作者である。
この物語はおおむね三人称で語られるのだが、
語り手が冒頭に顔を見せることになった。
昔風の紙芝居みたいに、カーテンの前に立って前口上を済ませ、
お辞儀をして引き下がる。
わずかな時間のことなので、
我慢してお付き合いしていただければと思う。
どうして僕がここに顔を出したかというと、
過去に僕の身に起こったいくつかの「不思議な出来事」について、
じかに語っておいた方が良いと思ったからだ。
実を言うと、そう言った種類の出来事が僕の人生にはしばしば起った。
あるものは意味のある出来事であり、
人生のあり方に多少なりとも変更をもたらすことにあった。
またあるものはとるに足りない些細な出来事であり、
それによって
人生が影響を受けるということはなかった———たぶんなかったと思う。
(中略)
というわけでこの場所を借りて、いわば物語の前置きとして、
これまでに経験した不思議な出来事について手短に語ってみたい。
とるに足りない、ささいな経験の方を取り上げることにする。
人生を変えた不思議な出来事について語り始めたら、
紙数の大半を使い切ってしまいそうだから。
===============================
この本に収められている魅力的な5編の中で、
僕が特に好きなのは、
最後に収められている「品川猿」と言う物語。
なぜか?
猿が?
主人公にとても大事なことを気づかせてくれます。
なんでしょう......個人的には、の話ですが、
春樹さんの小説というのは、
それがフィクションであってもノンフィクションであっても、
読んでいる自分自身の「欠損」に気付かされます。
自分が自分なりに懸命に生きている中で、それでも、
どこかで落として、無くしてしまった様なもの。
そんなものに気づかせてくれたり、思い出させてくれたり。
漠たる大きな喪失感を抱えながら生きていて、
でも、そんなものに気づかないように、
深く押さえ込んで来てもいた自分の姿を映し出してくれたり。
そんなところがとても痛くて、しかし、痛快というものでもあって。
気がつくと小説の主人公が自分のことの様に思えてきて、
小説が自分の物語の様に感じられてしまったり。
僕にとっての春樹さんの小説というのは
そんな魅力に溢れているものです。
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最近公開された松永大司監督の映画
「ハナレイベイ」
この原作も上記した短編集の中に収められています。
春樹さん好きの僕さんとしては、
映画もしっかり見させてもらいましたが......
とにかく、やっぱり、
「ハナレイベイは美しいなぁ、、」
と、また、
このビーチにたまらなく行きたくなってしまいました。
そして、つい先日には、
友達のmikoちゃんが
「ハワイ楽しかったですよー♪」
と、オアフ島旅行のお土産話をしてくれたのですが......
「ハナウマベイも良かったです!
潜ったし、ビーチの隅っこが最高で。
そーいえば最近映画もやってるのですよね?ハナウマベイの。
見たいなぁ(^^)」
「あーーーーー、、、mikoちゃん。
それ、ハナレイベイ、ね。ハナウマでなく」
「ええ!?そーなんですか?違うんですか?」
「ぜんぜん違うよ。
カウアイ島だから。ハナレイは。
オアフ島じゃなく( ̄w ̄)ぷぷ。」
なんて、そんなプププな会話もしていました。
そして、僕にとってのハナレイベイとなると、
「ガラスの靴の物語」というシリーズ記事に記していた通りで。
「ボカス」さんというカウアイ島の神様とお会いできた
奇跡のビーチであり、
それは、春樹さんの短編小説と同様に、
まさに「奇譚(きたん)」この上ない話ではあります。
しかし、やはり小説と同様に、
それは人生を大きく変えた出来事ということでもなく。
しかし、その出来事は僕の体の中の深いところに入り込んでいて、
決して消えることはなく。
日々少しづつ熟してきてもいる様で。
今や僕の「核」となるようなものの中に
「ひっそり」と溶け込んでもいて。
そんなこともあってなのか?ハナレイベイの風景を見ると、
それが映画であれ、なんであれ、
何故だか郷愁にも似た感傷が強く湧き出でても来ます......
個人的なハナレイベイ(Hanalei Bay)の印象は、日本であれば、
日本海側の美しい浜辺にある小さな村を南国に移し替えた......
というようなイメージ。
太平洋側のビーチには無い都会との隔絶感と、
都市的に洗練されたものが一切目に入ってこない、
少しの寂しさや不安さも混じり込む心地良さ。
そして、島の北端にあるからだからでしょうか......
世界から取り残されたかのようなひそやかさと、
たおやかさで流れる空気と風と時間。
そんなベイの入り口には海外の映画などでも有名な、
味のある鉄橋「ワンレーンブリッジ」を通って入ります。
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その名のとおり、車一台分の幅しかない橋なので、
どちらかの車が通り過ぎるまでは橋のたもとで待つわけで。
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ベイの後ろにそびえるハワイ諸島最古の原生の山々とタロイモ畑。
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ここは、地球上で最も雨が降るという場所。
一年の内350日が雨だった!
というギネス記録もあるのだそうです。
この時も大雨の直後に行った記憶があるのですが、
山の頂上から下まで!
数百メートルの滝が何本も!
流れ落ちていた風景には圧倒されました。
そんなベイに畏れを抱きつつも、美しく感動的な風景......
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この地のシンボル。ハナレイ桟橋(Hanalei Pier)。
この橋を愛する多くの人々の基金によって補修、
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たもとには記念碑もあります。
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こじんまりとした、カントリーなショッピングモールとかも。
チン・ヤン・ヴィレッジ(Ching Young Village)。
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「プリンスビル(Princeville)」という有名なリゾート地の最奥にある
「クイーンズ・バス(Qeens Bath)」
というスポットから遠くに望むハナレイベイ。
ここも大好きな場所。
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無欠の自然の美しさが、自分の欠損を埋めてくれたり?
癒してくれたり?見つけてくれたり?
......してくれるようなことがあります。
また、行きたいなぁ......と(^^)