銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

なぜ、高峰秀子は、養女を取ったか? ・・・・・依存(=甘え)、から、相互・愛へ

2012-03-20 00:30:07 | Weblog


副題1、『普通の主婦は、おしゃべりから学んでいる』
副題2、『依存(あまえ)、から、相互愛へ』
副題3、『小なべが、取り持つ縁』
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副題1、『普通の主婦は、おしゃべりから学んでいる』

 この一文は、ほとんど、政治とは関係がありません。ただ、連続してお読みいただいている方には、この間、『高峰秀子の流儀』(新潮社)の中の一箇所、けなした部分があって、それが、気にかかっていて、ちょっと、書き足したいと思っていて、やっと、本日、その機会がやってきました。
 それは、ホテルで、上の本の著者、斉藤明美さんと、高峰秀子が、インタビューをやっていて、終わったときに、周りの有閑マダムたちが延々とおしゃべりをしているのを見て、高峰秀子が、『あんな時間があったら、本を読んだらいいのに』といったというエピソードの部分への解釈の違いを述べた部分です。
 斉藤明美さんは、後に高峰秀子の養女になって行くぐらいですから、心酔しきっていて、上の言葉をそのまま書き取っています。しかし、物事の解釈は、ひとによって違うのです。
有閑マダムたちが、その生まれや育ちだけで悪人なのではありません。そして、有閑マダムたちには、それ相応の勉強のしかたがあって、おしゃべりから学んでいるケースもあるのです。
 これは、この際に、高峰さんと、明美さんが問題にしているような、高級ホテルで4,5000円もするランチをして、二次回をロビーの喫茶室(お茶だけで、ケーキも入れれば、ほぼ、2000円はかかる)でやっている、奥様連中ではなくて、もっと階級の下である、中流階級の奥様たちが、今最も大きな楽しみとして、ふけっていることです。そして、楽しみでもあり、一方では、学びでもあります。書物からの学びも有意義ですが、おしゃべりから学ぶことも多いのです。
 高峰秀子さんも斉藤明美さんも、いわゆる職業のある人だから、職場での人間関係があります。しかし、専業主婦の人には、そういう人間関係がありません。その結果、当然のごとく会話も不足するし、具体的な人間から学ぶということは、絶対に必要なのです。
 ホテルやレストランの、ランチバイキング(大体、2500円が多い』を食べた後で、500円前後のコーフィーいっぱいで二次会をする。そういう中で学んでいる女性たちは多いのです。
 そういえば、仕事を持っている女性もそれなりに、おしゃべりの機会を持っています。鎌倉のお蕎麦屋さんで、ずっと、熱心におしゃべりをしていた、40代と50代の女性たちは、市役所か、病院づとめか、とても、しっかりした硬い内容の話をしていましたよ。
 で、一度、高峰秀子さんを、批判しているのです。ただ、あくまでも女性に向けて書かれた本なのに、この一節があるために、受けが悪くなっているのではないかと、書いています。でも、今日は高峰秀子さんのよいところについて述べましょう。
 それは、斉藤明美さんを養女にしたことです。そこに高峰さんの、したたかで、きついところもあるが、それを超えた、善良にして、前向きなところが現れています。
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副題2、『依存(あまえ)、から、相互愛へ』

 Aと、Bという人が居たときに、二人の間に、上下関係があったとします。この際、Aが上で、Bが下だと仮定をします。すると、AはBに対して、支配的になりがちです。世間に蔓延しているセクハラ、パワハラ、そして、リンチ事件などは、みんな力の支配、被支配の関係の中で起こります。
 ただし、Aさんが、人間的にできている人だと、その支配、被支配の関係が起こりません。
 高峰秀子さんは、世間がまったく知らないところで、すさまじい苦労をなさってきた方です。養母が、一種の搾取をして、また、教育を与えないという形での精神的な虐待をしていたのです。
 その中で、かすかに訪れる、福音とか、僥倖を利用して、御自分で、御自分を教育した、非常に優れた女性です。この際の僥倖というのは、高峰秀子さんにとって、年上の人からの、助言とか、忠告といったものです。
 ささやかに、ひそかに訪れても、そういう大切なものに対して、すぐ、ピーンと來て、ひとつひとつ、身につけて行った人です。
 学校教育ではなくて、そういうものから、学んで行った人です。

 斉藤明美さんが、最初に高峰秀子に出会ったときが、家の履歴書の取材だったか、それとも別の取材だったかは、上の一冊ではわかりませんが、ともかくのこととして、圧倒的に、高峰秀子の方が、人間的に上だったわけです。
 丁度、母親をなくしたばかりの、明美さんは、「おかあちゃん、お母ちゃん」となついていきます。これに対して、高峰秀子が、内心ではどう思ったか。ただ、明美さんに、「人の時間を奪うのは、罪悪です」とおっしゃったので、相当に辟易をされたいたことは確かです。
 しかし、斉藤さんはそれが理解できないほど、高峰さんをしたって行きました。徹底的に純粋な、したい方。いわゆる、なつく状態になっていきます。

 そんなときに、ふとですが、実子の居ない高峰さんに、「かわいいな」と言う感情が芽生えたのではないかしら。そして、それが、だんだんに膨らんで、愛情へと変化していったと思います。
 その際に、斉藤さんの方にある、育ちのよさは、大いに、二人の関係の発展には、寄与したでしょう。斉藤さんの方には、なんら、野心も野望も無かったのです。
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副題3、『こなべが、取り持つ縁』

 高峰秀子さんが亡くなった後で、養女の斉藤明美さんが、テレビに頻繁に露出をしました。そのときに、この女性が養子になった決め手はナンだろうと、私は考えました。

 有名人にお子さんが無かった場合、残された遺品が、文化遺産にもなるので、それの管理を任せるために、養子縁組をすることはあるでしょう。でも、斉藤明美さんは、そういう側面で有能だから選ばれた、わけでもなさそうです。
 まあ、その手の目的のために、もっとも大きな働きをしたのは岡本太郎の養女敏子さんで、敏子さんは、自分の後を、ご自分の系列の血縁者に引き継ぎました。
 でも、高峰秀子さんと斉藤明美さんの縁組は、『高峰秀子の流儀』を読む前から、どこか、違うのではないかと思っていたのです。その謎が、本の途中で解けました。
 高峰さんは、はじめて、御自分の頼みを、丁寧に実行しようとする人、そして、愛情を持って最後まで、付き合ってくれる女性を見つけたのです。
 お手伝いさんだって居たのです。だが、お手伝いさんに比較すると明美さんは、手がかかる。甘えん坊で、一緒にいたがったりして、とても手がかかる。
 が、その手がかかることで、擬似・子育てを、体験されたのです。そして、今までに、ほとんど経験してこなかった、そういう純粋な甘えの関係を、わずらわしさを超えて、「いいな」と思ったときに、養女にしようと考えられたのでしょう。
 物質的でかつ金銭的な計算が何もない甘え。普通ね、弱いものとか、目下のものに甘えられると、苦痛です。だけど、と、同時に自分を思いやってくれて、好きだろうテーマの文庫本を買ってきてくれて、しかも、『あんまりたくさん一時に買ってくると毒だから、少しにした』という明美さんの愛情に、打たれたのでしょう。
 そして、御自分からもめったにしない甘えを見せ始めています。

 それは、「なべを買ってきて」と頼むこと。そのサイズが問題です。良質のもので、直径が、13センチ、これが小さすぎるゆえに、めったに見つからないのです。そのめったに見つからないものを、必死で探す明美さん。高峰秀子さんは、超がつく有名人だったために、周りにヒトだかりがして、身動きならない経験を若いときに何度もしているので、東急ハンズ内を、自由に歩くことができません。それで、明美さんに頼むのです。

 そうだったのか。なべが取り持つ縁だったのか・・・・と、その本には明美さんの恥らいから、書いていない部分・・・・・があったのですが、それを読み取り、納得をした次第です。
 つまり、明美さんの愛情に深く感謝する、高峰秀子が居る。

 素敵な親子関係です。津田塾出身で、一時期は教師だった明美さんが、そぼくきわまりなくも「かあちゃん」とか、「おかあちゃん」と
必ず、ちゃんづけで呼ぶ、高峰秀子との間は、なべや、釜(?)の買い物が結んだ縁だったのです。
 感動です。たとえば、頭の背中側の毛だけ切ってほしいときでも、明美さんなら頼めたと思う。そんな記述はどこにも無いけれど、きっとそうだったと思う。ほほえましい親子です。涙がにじむように純粋な愛情で結ばれた親子でした。
 高峰秀子さんは、ご自分の遺産のうち、もっとも高価な値がつくであろう、梅原龍三郎描く、ご自分の肖像をすでに世田谷美術館に寄付しておられます。だから、明美さんに、岡本敏子みたいな役割を期待しているわけではなかったことも読み取ることができます。絵の寄贈は、松山善三氏とご相談の上決められたのだと思いますけれど、生前に高峰さんが決められておられたことで、高峰さんは、斉藤明美さんが、身軽に生きられるように配慮をなさったのでしょう。無論のこと、斉藤明美さんは、財産狙いなどというさもしい心がある人ではありません。それは、高峰さんも松山さんも良くわかっておられるはずです。
  一部、重なっている表現があると思いますが、お許しくださいませ。
  では、2012年、3月20日、   雨宮舜 (川崎 千恵子)
コメント (2)
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