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・・・・・ドラマ『春さらば』は、面白かったです。・・・・・
テレビ東京で、45周年記念番組と言うのをやっています。そのうち、何本かを見ましたが、よいものがありました。特に、昨日25日に放映したドラマ『春さらば』は上品で、しかも面白くて、楽しめました。
お若い方は嫌だなあとお思いになる話題であるかもしれませんが、<老い>は誰にも避けられません。この前東北で老人ホームが火事になり何人も亡くなりましたが、ああいう段階より前で、ご自分の家で暮らすことが出来る、だけど、少し手助けが必要なタイプの老人が三人登場します。これは、どこの家でもありうる設定です。
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で、ここで、挿入ですが、私にとっては大切なこと、あの東北の火事について触れましょう。あの事件のすぐ後で、取材カメラに対してご近所様が、「あの老人ホームは入所者への待遇が悪くて、皆さん、外へ逃げ出していたから、鍵をかけていたのではないですか」と答えました。それを見ていて、介護のことも法律的に勉強している主人が「あれは、普通の老人ホームではないんだ」といいました。その後、続報が出てきていますが、入所者は身寄りが無くて、見舞いも少なく、何よりも入所費用が、生活保護費(税金)で支払われているために、施設(経営者)側にどうしても、<世話してやっているんだ>と、自らを上に見る発想があったと思います。
以前、お話したせつな過ぎるドキュメンタリー『一人と一匹たち』(NHK)で、多摩川河川敷に住むホームレスのおじさんの中でひときわ柔和な顔をして、犬を飼い、ハーモニカを吹き、一坪程度の立方体の小屋を建て、家財道具も工夫して楽しく暮らしている人がいました。しかし、身の上話を聞くと、両親が早死にをしていて、すさまじいくらい気の毒な人生を送った人だったのです。その人が多摩川・河川敷の冬の寒さに耐え切れず、生きるか死ぬかの不安を抱えているときに、そういう人たちを普段は猫と言うキーワードで取材をしているカメラマンの人がお世話をして、施設に引き取るという映像がありました。
「甥などの、身内の人が出てきたのかしら?」と淡い期待を持つ私の前に現れたのは、都(又は、区?)の担当者でした。その人に連れられて施設に入るということでしたが、『どこにあるどういう施設なのだろう。都会では聞いた事が無いなあ』といぶかしんでいた、私の目の前に、具体的な形として現れたのが、田舎にある、あの火事になった施設、(介護も充分ではなく、食事も貧しくて、建物もバラックである)が現れたのです。
老人ホーム選びは結構大変です。我が家では、妹が主導をしましたが、東上線常盤台と言う至便の地にあるベネッセが経営している施設で、しかも母にはほとんど毎日身内の誰かが交代で見舞いに行っていますので、スタッフさんからとても大切にしてもらえています。ただ、金銭面を言えば、年金だけでは入所費用はまかなえません。『地獄の沙汰も金次第』はある意味で正しいとなります。
しかし、入所している母は、ぐんぐん元気を回復していて、時には冗談も言うぐらいです。が、ときどきしんみりと人生を回顧するときもあって、「人にとって、大切なことはお金だけではないのよ」などとも言います。
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昨日の、その上等なドラマは、その「お金だけが大切ではない」が、サブタイトルともなっているドラマでした。脚本がすごくよかったと思います。井上由美子さんと言う脚本家は、14歳で子どもを生む母のドラマなど話題作を書いたり『白い巨頭』などの、高視聴率を稼ぐドラマも書いたりした人の模様です。私はドラマを見ない人なので、今まで知りませんでしたが、テレビ東京が45周年記念番組を依頼するほどの、大器だったようです。
筋の中で『特にユニークだなあ』と感心したポイントは、主人公の介護士が・・・・・昔勤め先(銀行)の金を横領して、妻子ある男性に貢ぎ、しかもその時に宿した、子どもを出産した未婚の母である・・・・・と言う設定です。昔、滋賀銀行を舞台に、同じような、事件があり、しかも男性が、女性をフィリピンに逃がしていたので、大騒ぎになった事が、私などには思い出させられます。
でも、そういう設定であるから、彼女はひときわ割り切っていて、覚悟も決まっていて、自分が生き抜くために、老人を手玉に取るという人格・設定になっているのです。単純な善意の人ではありません。一種の詐欺まがいのことさえ、つい行ってしまいます。
そして、それがばれそうになるのがスリルになっている一種のミステリー仕立てですが、終わってしまったので、タネをばらさせていただくと、騙したはずの相手の方が、さらに上手を行く、人生のベテランたちで、彼女を手玉に取っていたのです。そこら辺りの微妙な味わいが、このベテラン脚本家の面目躍如たるところでしょう。
そして、手玉に取りながらも、彼女を結局は再教育する孤独な未亡人を、ベテランの市原悦子さんが、演じています。嫁とうまく行かなくて、孫も一緒の同居家族がいるのに、孤独を感じている奥さん(結構お金持ち)です。二番目の原田芳雄は、若いときはバリバリの実業家であって、大金持ちだったのに、一度破産をした人を演じます。自分の借金が係累に及ばないために離婚をしていますから、今は孤独です。息子にも誤解を招いていて、全く、助け手がいない気難しい老人を演じます。そして、山本学は、脳出血の後遺症で半身不随であり、かつ言葉を発せられない元・美術の先生を演じます。しかも奥さんは先に亡くなっていますので、こちらも孤独で暮らしている人です。ただ、こちらは、介護士を純真に支えるだけの人を演じます。持ち味を生かしていて。
訪問介護士として訪れる主役は夏川結衣が演じます。この人はだいぶ前にNHKで売り上げナンバーワンの自動車セールスマンを演じた事があります。そのときは<顔の表情も魅力がないな、きつすぎる>と思ったのですが、最近ウエブ・ニュースで結婚が報じられました。結婚とは普通の人でも大変です。ともかく、女性はひざを屈しなければならないところがありますが、ましてや女優さんだと、普段、ご自分が主役で通しているから、大変だと思いますが、それに踏み切った事が、成長の証なのか、表情が非常に柔らかくなっていて、しかも演技にも余裕が出てきているように感じました。
小泉孝太郎が、育ちがよくて気弱なエリート刑事(しかし、何かで一回挫折をした事がある)を演じます。主人と二人で、「新聞に彼の名前が大きく出ていたので、今日は彼が、この不幸な主役・夏川結衣と恋に陥る設定なのかしら」などと、話し合っていたのですが、脚本がまともで、そんな安易な解決では終わらないのです。そこも非常にリアリティがあって、面白かったです。
よい仕事を成し遂げた、スタッフ・キャストの皆様にお祝いを申し上げたいです。
なお、子世代家族と同居しながらも孤独を感じている老人については、書きたい思いやエピソードが一杯あります。が、今日は長くなるので、それは控えましょう。ただお金(特に家の改築など)のために、親(又は子と)と急に同居を開始することはよくないようで、我が家でも、「それだけは、避けよう」と夫婦で話し合っています。どちらが残されて独り者になるのか、先は読めませんけれど。
2009年3月26日 雨宮 舜(川崎 千恵子)
テレビ東京で、45周年記念番組と言うのをやっています。そのうち、何本かを見ましたが、よいものがありました。特に、昨日25日に放映したドラマ『春さらば』は上品で、しかも面白くて、楽しめました。
お若い方は嫌だなあとお思いになる話題であるかもしれませんが、<老い>は誰にも避けられません。この前東北で老人ホームが火事になり何人も亡くなりましたが、ああいう段階より前で、ご自分の家で暮らすことが出来る、だけど、少し手助けが必要なタイプの老人が三人登場します。これは、どこの家でもありうる設定です。
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で、ここで、挿入ですが、私にとっては大切なこと、あの東北の火事について触れましょう。あの事件のすぐ後で、取材カメラに対してご近所様が、「あの老人ホームは入所者への待遇が悪くて、皆さん、外へ逃げ出していたから、鍵をかけていたのではないですか」と答えました。それを見ていて、介護のことも法律的に勉強している主人が「あれは、普通の老人ホームではないんだ」といいました。その後、続報が出てきていますが、入所者は身寄りが無くて、見舞いも少なく、何よりも入所費用が、生活保護費(税金)で支払われているために、施設(経営者)側にどうしても、<世話してやっているんだ>と、自らを上に見る発想があったと思います。
以前、お話したせつな過ぎるドキュメンタリー『一人と一匹たち』(NHK)で、多摩川河川敷に住むホームレスのおじさんの中でひときわ柔和な顔をして、犬を飼い、ハーモニカを吹き、一坪程度の立方体の小屋を建て、家財道具も工夫して楽しく暮らしている人がいました。しかし、身の上話を聞くと、両親が早死にをしていて、すさまじいくらい気の毒な人生を送った人だったのです。その人が多摩川・河川敷の冬の寒さに耐え切れず、生きるか死ぬかの不安を抱えているときに、そういう人たちを普段は猫と言うキーワードで取材をしているカメラマンの人がお世話をして、施設に引き取るという映像がありました。
「甥などの、身内の人が出てきたのかしら?」と淡い期待を持つ私の前に現れたのは、都(又は、区?)の担当者でした。その人に連れられて施設に入るということでしたが、『どこにあるどういう施設なのだろう。都会では聞いた事が無いなあ』といぶかしんでいた、私の目の前に、具体的な形として現れたのが、田舎にある、あの火事になった施設、(介護も充分ではなく、食事も貧しくて、建物もバラックである)が現れたのです。
老人ホーム選びは結構大変です。我が家では、妹が主導をしましたが、東上線常盤台と言う至便の地にあるベネッセが経営している施設で、しかも母にはほとんど毎日身内の誰かが交代で見舞いに行っていますので、スタッフさんからとても大切にしてもらえています。ただ、金銭面を言えば、年金だけでは入所費用はまかなえません。『地獄の沙汰も金次第』はある意味で正しいとなります。
しかし、入所している母は、ぐんぐん元気を回復していて、時には冗談も言うぐらいです。が、ときどきしんみりと人生を回顧するときもあって、「人にとって、大切なことはお金だけではないのよ」などとも言います。
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昨日の、その上等なドラマは、その「お金だけが大切ではない」が、サブタイトルともなっているドラマでした。脚本がすごくよかったと思います。井上由美子さんと言う脚本家は、14歳で子どもを生む母のドラマなど話題作を書いたり『白い巨頭』などの、高視聴率を稼ぐドラマも書いたりした人の模様です。私はドラマを見ない人なので、今まで知りませんでしたが、テレビ東京が45周年記念番組を依頼するほどの、大器だったようです。
筋の中で『特にユニークだなあ』と感心したポイントは、主人公の介護士が・・・・・昔勤め先(銀行)の金を横領して、妻子ある男性に貢ぎ、しかもその時に宿した、子どもを出産した未婚の母である・・・・・と言う設定です。昔、滋賀銀行を舞台に、同じような、事件があり、しかも男性が、女性をフィリピンに逃がしていたので、大騒ぎになった事が、私などには思い出させられます。
でも、そういう設定であるから、彼女はひときわ割り切っていて、覚悟も決まっていて、自分が生き抜くために、老人を手玉に取るという人格・設定になっているのです。単純な善意の人ではありません。一種の詐欺まがいのことさえ、つい行ってしまいます。
そして、それがばれそうになるのがスリルになっている一種のミステリー仕立てですが、終わってしまったので、タネをばらさせていただくと、騙したはずの相手の方が、さらに上手を行く、人生のベテランたちで、彼女を手玉に取っていたのです。そこら辺りの微妙な味わいが、このベテラン脚本家の面目躍如たるところでしょう。
そして、手玉に取りながらも、彼女を結局は再教育する孤独な未亡人を、ベテランの市原悦子さんが、演じています。嫁とうまく行かなくて、孫も一緒の同居家族がいるのに、孤独を感じている奥さん(結構お金持ち)です。二番目の原田芳雄は、若いときはバリバリの実業家であって、大金持ちだったのに、一度破産をした人を演じます。自分の借金が係累に及ばないために離婚をしていますから、今は孤独です。息子にも誤解を招いていて、全く、助け手がいない気難しい老人を演じます。そして、山本学は、脳出血の後遺症で半身不随であり、かつ言葉を発せられない元・美術の先生を演じます。しかも奥さんは先に亡くなっていますので、こちらも孤独で暮らしている人です。ただ、こちらは、介護士を純真に支えるだけの人を演じます。持ち味を生かしていて。
訪問介護士として訪れる主役は夏川結衣が演じます。この人はだいぶ前にNHKで売り上げナンバーワンの自動車セールスマンを演じた事があります。そのときは<顔の表情も魅力がないな、きつすぎる>と思ったのですが、最近ウエブ・ニュースで結婚が報じられました。結婚とは普通の人でも大変です。ともかく、女性はひざを屈しなければならないところがありますが、ましてや女優さんだと、普段、ご自分が主役で通しているから、大変だと思いますが、それに踏み切った事が、成長の証なのか、表情が非常に柔らかくなっていて、しかも演技にも余裕が出てきているように感じました。
小泉孝太郎が、育ちがよくて気弱なエリート刑事(しかし、何かで一回挫折をした事がある)を演じます。主人と二人で、「新聞に彼の名前が大きく出ていたので、今日は彼が、この不幸な主役・夏川結衣と恋に陥る設定なのかしら」などと、話し合っていたのですが、脚本がまともで、そんな安易な解決では終わらないのです。そこも非常にリアリティがあって、面白かったです。
よい仕事を成し遂げた、スタッフ・キャストの皆様にお祝いを申し上げたいです。
なお、子世代家族と同居しながらも孤独を感じている老人については、書きたい思いやエピソードが一杯あります。が、今日は長くなるので、それは控えましょう。ただお金(特に家の改築など)のために、親(又は子と)と急に同居を開始することはよくないようで、我が家でも、「それだけは、避けよう」と夫婦で話し合っています。どちらが残されて独り者になるのか、先は読めませんけれど。
2009年3月26日 雨宮 舜(川崎 千恵子)
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