新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

ジェネリックをどこまで使う?

2013-04-29 11:28:39 | 医療

こんにちは

 

時間を見て少し研究室に行こうかなと思っているところです。ちょっと今調べていることを進めていきたいのと、いくつか思うことがあって・・・ですね。

 

その前に一つ記事を・・・。

 ■調剤費2400万円抑制

 通常の医薬品に比べて価格が安いとされる後発医薬品「ジェネリック医薬品」の普及を目指す生駒市は23日、ジェネリック医薬品の啓発に取り組んだ平成23年9月~24年11月の14カ月間で、国民健康保険利用者の調剤費を計2400万円抑制する効果が確認されたと発表した。

 ただ、市内の薬局がジェネリック医薬品を処方する割合は、国平均、県平均と比べて下回り、課題も残した。

 ジェネリック医薬品は、開発から20年以上が経過し、特許が切れた医薬品で、通常の医薬品よりも調剤費が安くなるとされる。

 市は23年9月以降、国民健康保険を利用する市民に対し、「ジェネリック医薬品を使えば安く済みます」と通知する取り組みを開始。全市民を対象に、健康保険証などに貼る「ジェネリック医薬品を希望します」と書かれたシールも配布した。

 一方、市によると、ジェネリック医薬品を処方する割合が22%を超える市内の薬局は全体の56%。全国平均は65%、県平均は73%で、いずれも市が下回った。

 市の担当者は「市内の薬局と連携し、処方拡大に向けた施策を考えていきたい」と話している。

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さて、ジェネリック医薬品に関しては今までも書いてきました。

一般名処方の増加:ジェネリック推進はよいがバイオアベイラビリティも考えて

生活保護者はジェネリック強制:奨励はよいが、罰則を設けるな

 

ジェネリック医薬品は「治験」が行われて「有効」とされた薬品の「成分」は同じですが、効果が同じであるかは不明というのが実情です。一応、内服薬や皮膚から吸収されるようなものは治験を行うものもありますが、調べたものの中には「先発品と比較して80%」や「70%」というのもありました(ちなみに内服ステロイド剤です)。

 

なお、注射薬に関しては治験が義務付けられておらず(体の中に有効成分が同じ量入るからいいでしょう・・・ということで)、内服薬の一部は試験管内の溶出試験を中心に実施していて、有効性や安全性は「推測」の域を出ないというのが実情です。http://www.nihs.go.jp/library/eikenhoukoku/2012/001-012.pdf(参考文献)

例えば先発品のシスプラチンと後発品で腎機能障害の出現頻度に差があるという報告もある。

http://nenkai.pharm.or.jp/133abst/30amF-574.pdf

このときは低用量だったが、高容量になると差がなくなるという報告もある。

http://www.nihs.go.jp/drug/ecqaged/shiryou9-4-2.pdf(後半部分)

このように先発品と後発品に関しては「学会報告」などが行われるレベルであるというのが、実際のところであり「キードラッグ」に関しては使いたくないというのが実際です。

 

例えば・・・「ジェムザール」という膵癌などに使用する薬剤を後発品の「ゲムシタビン」に変えて同等かどうかは誰も知りません。実際に患者さんに使用したら効果に違いがあって、有効性を得られないかもしれない。

カルバペネムやタゾバクタム/ピペラシリンなどの薬剤がジェネリックで使用されて、発熱性好中球減少症などでの死亡率の増加があったらどうするのだろうか?

 

ですので、僕がジェネリックでも…と言っているのは「症状を抑える薬」。解熱鎮痛剤とかですね。効きが悪ければ患者さんご本人がおっしゃると思うので。

ちなみにジェネリックでは効きが悪いという患者さんもいらっしゃいます。

そういう問題点を抱えていますが、厚労省が2018年度までにシェアを60%以上にという方向性を打ち出しています。

SankeiBiz 2013/4/20 08:15
 
 特許切れの先発医薬品の有効成分を使った安価な後発医薬品(ジェネリック)の普及促進に向け、厚生労働省が「2018年度末までに数量シェア60%以上」とする新たな目標を発表した。後発薬市場は国の施策を追い風に参入が相次ぎ乱戦模様となっているが、厚労省は各社に安定供給と高品質の確保を求めており、“脱落組”が出てくる可能性もある。シェア争奪戦が激しさを増す中、生き残りをかけた業界再編の機運が一層高まりそうだ。
 厚労省は併せて発表したロードマップ(工程表)で、各社に「安定供給マニュアル」の14年度中の作成を指示。業界団体には、メーカーと流通で平均2カ月分以上の在庫を確保し、原薬の調達先を複数持つことなどを盛り込んだ指針を策定するよう求めた。政府は品切れの実態を調べて結果を公表する。
 後発薬は、有効性や安全性がすでに確認された先発薬の有効成分を使うため、新薬に比べ研究開発費を大幅に抑えることができる。
 効き目や品質は同等とされるが、過去に販売不振で突然製造を中止するメーカーがあったことなどから、使用をためらう患者らは少なくない。低価格を最大の売り物としながらも、処方する医師への理解を得るためには、営業を担うMR(医薬情報担当者)などにコストをかける必要がある。
 しかし、高齢化の進展と医療費抑制を狙う国の普及後押し策に目を付け、後発薬市場に参入した企業は数多い。沢井製薬などの後発薬専業メーカーや、第一三共などの大手新薬メーカーに加え、大手外資も相次ぎ参戦。
 日本での知名度の高さを強みとする米ファイザーは、後発薬大手と業務提携することで品目数を増やし、5月には初めての提携品を発売する予定だ。
 18日に都内で会見したファイザーのアルバート・ブーラ・エスタブリッシュ医薬品事業部門プレジデントは「大成功を収めると確信している」と語った。
 ただ、「後発薬市場は他産業と違い、技術革新によるどんでん返しが起こらない消耗戦」(SMBC日興証券の橋口和明アナリスト)。薄利多売のため、より多くのシェアを獲得しなければ生き残れない。規模で劣る中小メーカーを中心とした再編の機運も高まる一方、厚労省の工程表で“脱落”したメーカーの淘汰(とうた)も進みそうだ。
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基本的にジェネリック医薬品に関して、書かれているように薄利多売によるものです。それ故、日本国内で作っているものが少なく国外で作っているのが多いです。効果・安全性という意味でもよくわかりません。カビの混入とか、そういう安全性もわからないわけです。日本国内は厳しいと思うのですけどね・・・。
 
昔、こんな記事もありました。
 

香港製薬メーカーの痛風治療薬で死者 カビ汚染で

 2009年3月15日 21時16分
香港大学微生物学科はこのほど、現地で約4万人が服用しているという痛風の薬に基準値を大きく超える量のカビが含まれていたことを突き止めた。薬は香港の製薬メーカー、欧化薬業(ユーロファーム)が生産していた高尿酸血症と痛風の治療薬アロプリノールで、服用した白血病や悪性リンパ腫の患者が相次いで死亡したことが問題発覚の発端になった。

 香港医院管理局はこの薬の服用者に、すぐに服用を停止するよう呼び掛けた。ユーロファームは製薬工場の消毒を実施し、この薬の生産を停止すると発表している。(編集担当:恩田有紀)
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それ故、どこまでジェネリックを推進する方が良いのか・・・と思っています
追加で、少し調べていて面白いサイトがあったので紹介します。
古いですけど、東大薬学系の教授が書かれたみたいですよ。日本薬理学会の理事長みたいですね。
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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それでは、また

コメント (8)
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