さて、続けて記事の紹介をします
子供たちに「がん教育」 死亡率第1位も知識乏しく
産経新聞 6月23日(土)10時30分配信
今や国民病ともいえる「がん」。その予防治療の正しい知識を子供たちに学んでもらう、東京大学医学部付属病院放射線科の中川恵一准教授による訪問授業「生きるの教室/ドクター中川のがんと向き合う」が15日、東京都葛飾区立堀切中学校(永林基伸校長)で開かれた。
日本人の2人に1人が一生に一度がんになり、3人に1人が亡くなる。日本人の死亡率第1位にもかかわらず、がんに対する知識が乏しいのが現状だ。このため主催するバイエル薬品(本社・大阪市、セバスチャン・グート社長)が日本の未来を担う子供に、啓発と知識普及を図るため、創立100周年の昨年から、全国の中学校で実施している。
訪問授業には、2年生の男女92人が参加。患者の体験談や講義に続き、生徒によるグループワークが行われた。中川准教授は生徒に「がんは交通事故と違い、検診を受けることで、早期発見・早期治療ができ、死を避けられる可能性がある」と強調。さらに「日本人はがん教育を受けていないため、損をしている。がんに対する正しい知識を深めてほしい」と訴えた。
生徒を代表して石岡耀君は「がんは怖い病気だと思っていたが、早く見つければ治る病気だとわかった」と話していた。
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予防治療の知識を深めてもらい、健診・検診の重要性を認識してもらうことは重要だと思います。
もしかすると、子供から親に検診の重要性が伝わるかもしれませんしね。
ただ、細かい情報は残らないかもしれない。というか、残らないと思うので・・・本当に強調するべきことは「早く見つけたほうが良い。それを行うのが健診・検診である」ということなのだろうなぁ。
ただ、ここで問題に上がるとすればいつも言われてしまう「費用対効果」だと思います。健診・検診が死亡率を減らすというエビデンス(統計学的情報)があれば、説得しやすいですよね。基本的にはその情報は米国予防医療専門委員会(USPSTF:http://www.ahrq.gov/clinic/uspstfix.htm)とか米国指針情報センター(NGC:http://guideline.gov/)などにあります。いろいろなところにエビデンスと言われるものはありますが、日本人を対象にしたものは各学会がやっているかどうかのような気がしますが…僕もあまりよく知りません。どういうわけかアメリカのサイトの方をチェックしています。
日本予防医学会(http://www.yobou-igaku.org/index.html)は多分、趣が違うような気がして・・・。日本総合健診医学会もありますが、検診ではないでしょうし・・・(http://jhep.jp/jhep/top/index.jsp)。ちなみに健康診断の推奨はこの学会によると35歳(http://jhep.jp/jhep/jhep/ukekata.jsp)で、うちの職場も35歳から生活習慣病を意識した健診は始まります。
例えばUSPSTFは「平均的リスク」の健康人に対して「便潜血」「内視鏡検査」を用いた大腸癌のスクリーニングを50歳から75歳まで行うことはGradeAで推奨としている(http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/uspscolo.htm)。
コスト・ベネフィットだけを考えると見逃しをすることがあるが(僕の知っている方で30代で大腸がんになっている方は2名いる。40代なんてかなり多い)、すべての患者さんの利益を考えるのか、コストベネフィットを考えた戦略を立てるのか。
いずれにせよ、日本版のエビデンスを集めたサイトを作る必要があると思うし(どっかにありますか?)、それらをもとに検診の計画や教育をする必要はあると思う。
そんなことを思いました。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。