新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

僕の濾胞性リンパ腫の説明(2017年度版)

2017-12-21 20:00:00 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

濾胞性リンパ腫は低悪性度のリンパ腫の代表格ですが、少し難しい病気です。何が難しいのかと言いますと、他の低悪性度リンパ腫もそうですが、今のところ完治できると言えないからです。

 

完治できる病気であれば、病気がわかった時点で治療をして、完治を目指せば良いのですが、そうではないところが難しいところです。

 

そして治療選択肢として、リツキシマブが登場するまでは「経過観察して、悪化してきたら治療開始(watchful waiting)」が基本でした。積極的な治療のメリットが少ないからです。

 

しかし、リツキシマブの登場で積極的治療もOKになりました。

NCCNガイドラインではStage IやStage IIであっても抗体医療±化学療法という記載になっています。もしくは経過観察です。

 

進行期は基本的に治療をするのですが、低腫瘍量進行期という考え方があり、このグループに経過観察とリツキシマブ単剤の治療を行うのとどちらが良いかという臨床試験も行われました。

 

そんな感じで、濾胞性リンパ腫の患者さんが最もバラエティに富んだ説明、治療方針になってしまうわけです。だから大変なんです。

 

正直、唯一の説明はそういうことでないのですが(患者さんに合わせて実施します)、一つの案として低腫瘍量進行期の患者さんを例に説明をしてみます。

 

 


 

Sさん(65歳、男性)は半年くらい前に足の付け根の腫瘤に気がつかれていましたが、しばらく様子を見られていて、先日近くのクリニックにかかられました。そこから当科に紹介していただき、先日リンパ節生検という検査を受けていただきました。

 

検査の結果ですが、濾胞性リンパ腫という病気になります。

 

濾胞性リンパ腫は悪性リンパ腫のうち、非ホジキンリンパ腫というグループに入ります。これには低悪性度から高悪性度までありますが、濾胞性リンパ腫は低悪性度リンパ腫の代表格になります。

(他の低悪性度リンパ腫も治療は濾胞性リンパ腫に準じて行うなどと記載されているものも多く、これが基本になります)

 

濾胞性リンパ腫は年単位でゆっくり増大してくる悪性リンパ腫で、昔は治療を悪化傾向になるまで行わずに、タイミングを計るような腫瘍でした。

 

今は積極的に治療をすることもありますし、様子を見ることもあります。それは病気によって症状があったり、腫瘍が全身に広がっていたりした場合は積極的に治療を行います。それ以外の場合は積極的に治療をするか、様子を見てから治療を行うかは患者さんの考え方次第になります(という意味で、バラエティに富んでいます)。

 

積極的に治療を行うかどうか検討するというのは、早期に治療を開始しても、悪化してから治療を開始しても全生存率は差が出ないと言われているからです(積極的な治療が生存には影響しない)。

 

Sさん:なるほど。腫瘍があることがわかっているが、その人の生活や仕事の状況なども考慮して対応できるということでよろしいでしょうか?

 

そうですね。症状があるかないか、全身への広がり具合、検査異常などの状況、それらを総合して治療を積極的に行うか検討することになります。

 

まず、それらを判断するためにPET-CTという検査と骨髄の検査を受けていただきます。PET-CTは全身の腫瘤状になっているリンパ腫を見つけ出すのに、現在最も良い検査です(濾胞性リンパ腫でも推奨はPET-CT)。骨髄の検査はPET-CTではわからない、骨髄にバラバラと入っている腫瘍を見つけ出すのに実施します。

それらの検査を行なっている間に、必要な血液検査も行います。

 

Sさん:わかりました。宜しく御願い致します。

 

(10日後に全ての検査結果が出そろいます)

 

今日は今まで行ってきた検査の結果を説明するために、きていただきました。まず、広がり具合ですが、PET-CTでは鼠径リンパ節(足の付け根)、腹腔内(お腹の中)、胸腔内(胸の中。縦隔周囲など)などに病変は存在します。ただ、大きな病変はなさそうです。骨髄の検査では異常は認めませんでした。これらの検査結果からStage IIIとなります。

 

Sさん:進行期ですか・・・。

 

濾胞性リンパ腫は症状が出るのが遅く、診断された時点で75%の人が進行期と言われています。進行期だからと言って、ショックを受けすぎる必要はありません。ここから治療をしていくわけですから。

 

そのほかの検査結果ですが、貧血(Hbとなっています。

 

FLIPI(リツキシマブ登場以前の基準)では2点で中間リスク、FLIPI2(リツキシマブ登場後の基準)では1点で中間リスクになります。

(個人的には高リスクでなければ、あまり気にしていません)

 

先ほども申し上げましたが、SさんはStage IIIAという状態です。濾胞性リンパ腫は進行期だから治療という考え方もありますが、高腫瘍量でなければ様子を見るという考え方があります。

 

それはいくつかの基準(GELFの基準が有名)がありますが、それで亭主要領であれば経過観察というのも方法になります。

 

Sさん:低腫瘍量でも進行期ですよね。経過を見るのは怖いです。

 

そのお気持ちはよくわかります。そこでいくつかの考え方があるのですが、低腫瘍量・進行期の患者さんを対象に、経過観察をしたグループとリツキシマブという濾胞性リンパ腫治療のキードラッグのみで治療を行なったグループ、リツキシマブで治療を行なった後にリツキシマブの維持療法を行ったグループで比較をしたものがあります。

 

その結果は生存期間に差はありませんでしたが、抗癌剤を併用した治療を行う必要性が出た患者さんがリツキシマブで治療をしたグループで少なかったという結果でした。

 

(黒が経過観察、薄いピンクがリツキシマブを治療したあと経過観察、濃いピンクがリツキシマブを治療した後に維持療法をおこなったグループです)

 

ですので、全く治療を行わないのが不安であれば、そういう選択肢もあります。治療開始はいつでもできますので、Sさんとご家族で相談していただいて、来週その結果を伺えればと思います。

 

Sさん:わかりました。ありがとうございます。

 


 

 

こんな感じでしょうか。

 

症状がある患者さんやGELFの基準を満たす患者さんは積極的に治療を行うのが普通ですので、説明は「治療を行なった方が良いグループです」という内容になります。

 

限局期の場合は年齢によっては放射線治療も検討します。抗がん剤治療よりも放射線治療の方が良い場所もありますので(照射範囲内に重要臓器が少ない、鼠径部のリンパ節のみなど)、高齢者であればそれもありかと思います。

 

放射線治療も嫌だな・・・と言われれば、限局期はリツキシマブ単剤でも大丈夫です。

 

今のところ進行期の患者さんではR-CHOPを行うのが普通だと思います(こちらの記事を参照してください僕の非ホジキンリンパ腫の説明の仕方(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:DLBCLを例に)悪性リンパ腫の説明(僕の説明の仕方))が、再発時の手段は色々増えてきました。ベンダムスチンなどですね。

 

再発時にリツキシマブ+内服治療という選択肢をとった患者さんもいます(再発までの期間が空いていたのと、本人が「もう点滴は嫌」とおっしゃられたので。僕の担当では2人いますね)。

 

治療方針は主治医の先生とよく相談して頂ければと思いますが、濾胞性リンパ腫はそういう意味で難しいですし、医師も患者さんもよく相談して治療方針を決めなくてはいけないなぁと思っています。

 

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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35 コメント

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近くの医院から紹介が良いかと (アンフェタミン)
2019-11-30 05:55:29
>まぁやんさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

鼠径リンパ節で楕円形というのは大きくても腫瘍ではないことはあります。顎下・頸部でも可能性はありますが、全身にある程度の硬さのリンパ節があるのは気になります。

大学病院の血液内科は紹介状が必要だと思います。一般病院で血液ないかもやっている先生がいれば、相談に乗ってくださるのではないかと思いますが、かかりつけの先生(もしくは近くの医師)から血液内科へ紹介が良いかもしれません。

濾胞性リンパ腫であればゆっくり全身にリンパ節腫大が進むことは多いです。ありえると思います。

リンパマッサージなどをして良いかどうかはデータがないのでわかりません。してはいけないことはないと思います。

また、コメントいただければと存じます
返信する
Unknown (まぁやん)
2019-11-28 23:29:03
連投失礼いたします。
濾胞性リンパ腫などの低悪性度のリンパ腫は年単位での進行とありますが、1つの大きさが変わらず数が増えるということはあるのでしょうか?
また、リンパマッサージ、ドレナージュなどに通うのがすきなのですが、控えた方がよろしいでしょうか?
質問責めで申し訳ございませんが、お返事頂ければと思います。よろしくお願い致します。
返信する
Unknown (まぁやん)
2019-11-28 21:17:44
お忙しい中返信ありがとうございます。
元々あった右顎下のリンパ腫大のサイズは変わってないですが半年前ほどより左側顎下部に楕円形のリンパ節を触れるようになりました。
わたくし、肥満体型なので正確なサイズはわからないのですが、大体1.5-2.5センチほどでしょうか?

鼠径部も楕円形のギョロっとしたリンパ節があります。

血液内科の方は紹介状なしでも診察してくれるのでしょうか?
また、現在仕事が多忙すぎてゆっくり時間が取れないのですが急いで病院にいかないとダメでしょうか?
返信する
可能性はやや高めと思います (アンフェタミン)
2019-11-27 22:14:15
>まぁやんさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

3年前に自覚をしたリンパ節腫大で、拡大傾向にあるということでよろしいでしょうか。
2−3cmのしこりが増えているということであれば、悪性リンパ腫の可能性を考慮する必要はあります。

経過を考えれば低悪性度リンパ腫か正常範囲内、もしくは良性疾患によるリンパ節腫大を考えます。

悪性リンパ腫、特に濾胞性リンパ腫は細胞診ではclass IかClass IIがほとんどです。よく細胞診ではリンパ腫の判定はできないから、生検して欲しいと母校の耳鼻科には言いました。

直接診察していないので細かいことはわかりませんが、一度血液内科を受診してみてください。

また、コメントいただければと存じます。
返信する
Unknown (まぁやん)
2019-11-25 23:36:59
こんばんは。コメント失礼致します。
現在31女です。
28の時偶然右顎下リンパの腫れに気付き当時の職場で細胞診、エコー、CT、血液検査にて精査いたしました。
細胞診はグレード2.CTでも悪性疑う心配なし、血液検査でも異常は見られなかったのですが、大きさが2.3センチほどありました。
そこから3年経ちましたが、そこのリンパのサイズ的には変わってないのですが、左側にも2センチ強、右鼠径部にも2〜3センチほどのしこりを発見しました。
リンパは硬いと言っていいのか…ころっとしたような感じで圧痛なし、可動性なしです。
リンパ腫の可能性は高いのでしょうか?
返信する
多分、ありません (アンフェタミン)
2019-09-15 22:34:30
>ミラクルさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

コメントが少しでも役に立ったということで良かったと思います。

リツキシマブ単剤の治療で悪性度が上がるかどうかですが、一般的にはないと思われます。

根拠としては弱いのですが、北欧の研究グループの発表(去年くらいだったと思います)ではリツキシマブ維持療法で形質転換(悪性度が上がってびまん性大細胞型B細胞リンパ腫になる)の頻度は低下する事が報告されています。

リツキシマブ単剤を行う事で質の悪い腫瘍細胞が残り悪性度が上がるのであれば、維持療法でも同じような事が起こると思います。

リツキシマブ単剤を行なった事で効果がない腫瘍細胞が残る可能性はありますが、その場合は経過観察をしていてもいたということになると思います。理屈的にはあまり関係ないような気がいたします。

答えになっていないかもしれませんが、参考になれば幸いです。

また、コメントいただければと存じます
返信する
Unknown (ミラクル)
2019-09-09 21:03:43
アンフェタミン先生。
ご多忙の中、丁寧なご説明恐れ入ります。

仰るとおり、骨髄にも入っているとのことでステージⅣとの診断になりました。
あと、書き忘れましたが両鎖骨上にも腫瘍があります。

同病の方で、低ステージや低腫瘍量であってもリツキシマブ単剤治療ではなく、経過観察か抗がん剤治療の2択の選択を提案されている方が多いように感じましたので、アンフェタミン先生のご意見を伺うことができ、リツキシマブ単剤での治療を前向きに検討できるようになりました。ありがとうございます。


もうひとつ気になっていることがあるのですが、
今わたしはグレード1とのことで、とてもゆっくりな進行らしいのですが、治療をしたことにより、再発時にグレードが2や3に変わってしまうことはありますか?
寝ている子を起こすような状態にならないかとの心配があるのです。
経過観察を選択しても、グレードというのは進行の早いものに変化していくものなのでしょうか?

立て続けでの質問、申し訳ありません。
返信する
リツキシマブ単剤でも良いと思います (アンフェタミン)
2019-09-08 22:30:01
>ミラクルさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

濾胞性リンパ腫 grade1でstageIVということですが、stageIVの判断は骨髄内にいるということでしょうか?

低腫瘍量進行期であれば、僕は多くの場合はリツキシマブ単剤をお奨めする事が多いです。新しい職場に来てからも同じくらいのリンパ節病変の患者さんがリツキシマブ単剤で完全寛解まで行きました。

本格的な治療を延ばす効果は通常はあります。しかし、stage IVだとリツキシマブで初回や2回目はinfusion reactionと呼ばれる強いアレルギー症状が出る可能性があります。

リツキシマブ単剤の臨床試験はstage IIIとstage IVが対象でしたので、病状としてはミラクルさんと変わりはありません。

リツキシマブですぐにCD20が低下するということは通常ないと思います。ただ、早期に効果が乏しくなるような人ではそういう事が起きる可能性もあります。

もし、再発までの期間が多くの患者さんと同じで3年以上あくのであれば、CD20が腫瘍細胞からなくなっている可能性は一般的には低いと思います。

ただ、あくまで可能性の話ですので、将来のことはわかりません。将来を保証をすることは医師もできないのです。

主治医の先生とよく相談して治療方針を決めてください。

また、コメントいただければと存じます
返信する
Unknown (ミラクル)
2019-09-06 18:25:49
アンフェタミン先生、初めまして。

40代半ば。濾胞性リンパ腫、ステージ4、グレード1と診断されました。
腫瘍箇所は両首と両腋窩、傍大動脈、骨盤内、両鼠径部にあり、2センチ前後のものが数個があるのですが、低腫瘍量とのことで、リツキシマブ単剤での治療も可能だそうで、迷っています。

腫瘍の箇所が多い状態での単剤でも、本格治療までの時間は数年伸ばせますでしょうか?
また、リツキシマブは使用するとともに、耐性が付いてくるとのことですが、最初に単剤で使ってしまうことで、今後の本格治療や、更なる再発時の治療に、その耐性が影響してくる心配はないのでしょうか?

アドバイスいただけると幸いです。
返信する
ベンダムスチンは良いと思います (アンフェタミン)
2019-09-01 23:02:30
>ちょこみんとさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

セカンドオピニオンは基本的に前医のデータをもとに前の病院で行う治療方針と比較してどうするかを示すものですので、自分たちで治療をしない以上は余計なことはあまり言えないと思います。

僕も低腫瘍量進行期や限局期で放置するのは不安という方にはリツキシマブ単剤が多いですね。

ベンダムスチンに関してはそれだけでよく効きます。ただ、維持療法などについてはよくわかっていないところがあります。2017年くらいの国際学会のデータでリツキシマブ+ベンダムスチンで完全寛解に入った患者では維持療法のメリットはないが、部分寛解未満であればやった方がメリットがあったという報告があります。

急速に増えて来ているような腫瘍でなければベンダムsちんは良い薬だと思います。副作用はリンパ球現象が強いですが、脱毛も少ないので女性には良いのではないかと思います。

また、コメントいただければと存じます。
返信する
Unknown (ちょこみんと)
2019-08-21 06:55:56
アンフェタミン先生、ご返信ありがとうございます。
一つ一つのお言葉、大変ありがたいです。

なるほどガザイバに関してはあえて使う必要性が感じられないということなんですね。
私の場合はシングルマザーであるので、再発までの期間を抑えられればその間時間が稼げるという気持ちにはなります。
全生存期間が変わらないというのはホッとするような不安なようなですが。アレルギー症状も気になるところです。うまくいくといいのですが。

放射線治療に関しては当初主治医は年齢からいって二次がんの心配、範囲が鼠径部だけならいいけど腹部に及ぶから放射線治療はしない。R-CHOPもしくはB-Rでいくと言っていました。
セカンド・オピニオンに某がんセンターにいったところ、あなたのような症状だとまず放射線治療、やるならリツキシマブ単体、もしくは経過観察でもいい、いきなり化学療法はやりすぎ、のように言われました。
それをもって主治医のところへ戻るとがんセンターのいうことだから、放射線治療でいきますか、と方針が変わったのです。
今思えば主治医の最初の考察には一理あったんだなと思います。何万も払って上面の話しかしてくれないセカンド・オピニオンにはガッカリしましたが(愚痴ですみません)
この病気に限らずですが病院選びが大変だけど重要なことは身にしみました。そして患者も学びが必要ですね。
この病気になって血液って面白い?んだなと興味が湧いてます。あまり専門的なことを主治医がいいだすとちんぷんかんぷんになりますが…。

二次がんについてはかなり頻度が高いのですね。どこに当たったか、もう一度よく聞いて、主治医のいうように検診で気をつけておくしかないですね。80才を越えたおばあちゃんになることが目標なので!

ベンダムスチンはどうでしょうか?毒性とはどんなものでしょうか?ベンダムスチンを使ったら今後注意する点など先生のお考えをお伺いできたら幸いです。特にはないでしょうか?
初日の点滴を終えたところですが今のところ特段症状はない感じです。
返信する
細かくは述べられませんが (アンフェタミン)
2019-08-20 22:35:20
>みんとちょこさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

医師や患者さんによって治療方針は異なってきますので、細かいことは申し上げられませんが、ガザイバに関してのご質問については簡単に自分の考えのみお伝えいたします。

リツキシマブ(リツキサン)とオビヌツズマブ(ガザイバ)の比較試験で無病生存率(簡単に言ってしまうと再発までの期間)はガザイバの方が高いのですが、全生存率(生きている期間)に差がないということが1つ。

生存曲線を見ると維持療法を行なっている期間は差が開きません。
簡単に書くと再発する頻度は少し抑えるけど、救援治療の効果があるので最初から使う必要を感じない・・・という医師も多いのかもしれません。

実は今いる大学でもレジメンは通しているのですが、今のところ誰も使用していないと言っておりました。

放射線治療をどうするかは色々考え方があると思います。僕は高齢者は放射線治療をよく調整しますが、若年者(少なくとも60歳まで)はあまり使用しません。ホジキンリンパ腫での30年後の2次発癌の頻度などの報告もありますので、それを参考に考えております。
ただ、濾胞性リンパ腫の限局期であれば放射線治療で完治することがあるとされていますので、主治医の先生はそれを期待して行なったのだろうと思います。

また、コメントいただければと存じます。

返信する
Unknown (みんとちょこ)
2019-08-20 21:10:07
アンフェタミン先生、はじめまして。
こんな丁寧なブログ今頃知りました。
40代、ろほう性リンパ腫ステージ3のグレード1で今治療のため初回入院中です。
初めは鼠径部と腹部の限局期だったため放射線で治療しましたが他の部位に現れ2年経過観察してましたが1センチ増大してきたのでベンダムスチンとガザイバで治療となりました。
でもこの薬たちはあまり実積が足りないことで安全性が不明なところがあるのでしょうか?他の方のコメント見て少し不安になりました。

若くもなく年寄りまででもない年齢のため、今の仕事を続ける生活のこと、晩年の生活こと、どちらも大切に思うとなかなか治療に踏み切れなかったのですが、良くなると信じて進んでみました。

放射線も少し範囲が広く他の臓器(小腸や卵巣)に当たってるようでそれも少し心配です。卵巣は破壊されたようですし。
二次がんについては主治医は晩年になったら健康診断を定期的に受けるしかない、といってました。

アンフェタミン先生のブログ先に見てたら治療をまた戸惑ってしまったかもしれないから、今回はえいや!で仕方なかったかな。
今後も色々参考にさせて下さい。
数年前に亡くなった父が続発性血小板減少紫斑病?だったので、その頃に先生のブログがあったら更に見たかったです。
返信する
お役に立てれば幸いです (アンフェタミン)
2019-04-13 06:42:42
>たくろうさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

お役に立てたのであれば嬉しく存じます。

また、コメントいただければと存じます
返信する
Unknown (たくろう)
2019-04-09 11:33:07
アンフェタミン先生
先生の見解を聞いて安心しました。
ご回答有難うございます。
返信する
肝臓専門医の先生の方が少し認識を間違えているかと (アンフェタミン)
2019-04-08 21:42:22
>たくろうさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

肝臓専門医の方がいうようにキャリアではないです。それは血液内科医の主治医もわかっています。

キャリアというのはウイルスが血液中にいる方です。たくろうさんの場合は抗体が陽性ですが、抗原(ウイルス)は陰性です。

ちなみにHBe抗体を含め、抗体陽性と書かれていますよね?特に重要なものはHBs抗体でこれがウイルスが体から出てこないように守っています。

リツキシマブは抗体を作るB細胞を中心に潰していきます。ベンダムスチンはB細胞だけでなくT細胞も強く押さえます。

守っていた免疫が弱くなるので、潜んでいる(B型肝炎ウイルスは一度感染すると肝細胞に潜んでいます。水疱瘡-帯状疱疹なんかと同じです)ウイルスが出て来てしまうことがあります。

なお、ある研究ではHBV再活性化における劇症肝炎発症率(27%)が通常のHBVの急性肝炎での頻度(7%)と比較して多く、死亡率が100% vs 44%であったために予防投与が推奨されています。

この背景をおそらく肝臓専門医の先生が知らないのだと思います。それゆえそのような中途半端な返事をしていると思います。

正直にいうと肝臓専門医の先生の方が間違っていると思いますが、一生飲む必要があるかは不明です。

また、コメントいただければと存じます
返信する
Unknown (たくろう)
2019-04-04 17:17:28
アンフェタミン先生いつもプログ拝見させて頂いて勉強になります。有難うございます。
私はRB療法治療中。ステージⅣ、グレード1です。
以前質問させて頂いたエンテカビル錠の件です。
現在血液内科の先生はウイルスの量に関係なく
劇症肝炎の可能性もあるのでエンテカビル錠は飲み続けなければならないと言われています。又ガイドライン治療でも一段上のランクで治療していますとも言われています。そこは理解できます。
今回B型肝炎の給付金の件で肝臓専門医の病院で相談させて頂きました。
HBs抗原 陰性
HBs抗体 陽性
HBe抗原 陰性
Hbe抗体 陽性
HBc抗体 陽性
HCV抗体 陰性
HBVDNA 検出せず(定点検査でも)

肝臓医の先生に現在治療中の事とエンカビル錠を一生飲むように言われてますがどうなのでしょうか?とお聞きしたところ「ウイルスは体の中にはないので肝炎の心配はないです」と言われました。(暗に飲む必要もないと・・)私は持続キャリアではないとの事です。したがって国の給付金も受けられませんでしたが・・・

血液内科の先生はガイドラインの上の(念には念の)治療をして頂いてはいるのですが私が心配なのは「必要のない薬を一生飲む」ことです。過去2回、飲む必要があるのか?お聞きして必要性があるとのご回答でした。今回たまたま給付金の相談で肝臓専門医(元大学病院肝臓内科医)からその必要性を疑問視されました。どのように血液内科の先生に話したらよいか?困っています。

私的は体内にウイルスがなく肝炎の心配もないならば飲みたくないのですが・・。肝臓医の先生の診断書を書いて頂くのも無礼な気もします。

先生のご意見を聞きたくてもう一度投稿させて頂きました。宜しくお願い致します。


返信する
治療頑張ってください (アンフェタミン)
2019-01-30 05:44:15
>たくろうさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

お役に立てれば幸いです。

また、コメントいただければと存じます
返信する
お礼 (たくろう)
2019-01-29 07:47:08
アンフェタミン先生
貴重なアドバイス有難うございます。
始まる治療に安心してスタート出来そうです。
本当に意見をお聞きして良かったです。
返信する
エンテカビルで大丈夫です (アンフェタミン)
2019-01-28 22:11:51
>たくろうさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

濾胞性リンパ腫の中でもgrade1ですので、増殖はかなりゆっくりです。普通の抗がん剤(R-CHOP)だと、基本的にCHOPは増殖の早い腫瘍の方が得意ですので、僕もgrade1ならばR-Bを選択肢としておすすめしています。

基本的にリツキシマブを使用するので、再活性化リスクはあります。HBs抗体が陽性で、B型肝炎ウイルスから体を守っているわけですが、それを作る抗体産生細胞を潰す薬が「リツキシマブ」です。

基本的にエンテカビルを内服しておけば大丈夫だと思います。

もしかすると、濾胞性リンパ腫が共存を目指す治療方針なので、一生内服が必要になるといったのかもしれませんね(治療するたびにエンテカビルを飲む必要性が出てきますので)。

また、コメントいただければと存じます
返信する
B型肝炎 (たくろう)
2019-01-28 16:23:41
早速のご回答有難うございます。
RBだと再活性化のリスクが高いとの事・・他の治療法は
あるのでしょうか?しかしリツキシマブを使用する以上回避は出来ないと思っていますが・・・
エンテカビルを飲むことによって再活性化の予防は出来るのでしょうか?不安ばかりを尋ねて申し訳ないです。
返信する
ガイドラインの中止基準に従う形で (アンフェタミン)
2019-01-28 05:41:30
>たくろうさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

ご質問内容を見ておりますと、キャリアか既感染かで話が変わってきます。HBs抗原が出ていないので、おそらく既感染だと思います。

一生飲み続けるかどうかはわかりませんが、癌研の先生がおっしゃるように一般的に既感染であれば様子を見ながらでも大丈夫です。ただし、DNAが上昇してきたら1か月で劇症肝炎を起こして来る可能性があります。
一応、過去の研究でのタイムラグは1−2ヶ月なので、毎月受診してDNAを測定していれば大丈夫ということになりますが、治療が終わっても毎月来なくてはいけなくなります。

主治医の先生がお仕事などのことを考えて一生飲むと言っているのかもしれませんが、R-Bだと再活性化のリスクは高いと思いますので、僕も治療開始から1−2年は飲んでいただくかと思います。

ただ、エンテカビルをやめるにあたってはかなり慎重にならないといけないので、やめるタイミングで毎月受診していただくようにして、再活性化しないことを確認します。

基本的にB型肝炎再活性化の予防ガイドラインのエンテカビル中止の基準に従えば良いです。
https://www.jsh.or.jp/files/uploads/R2-HBV%20Ver2.2.pdf

治療は妥当だと思いますが、一生飲むかどうかはわかりません。

参考になれば幸いです。

また、コメントいただければと存じます
返信する
B型肝炎キャリア (たくろう)
2019-01-27 14:05:49
いつも拝見させていただいています。
先生の意見を聞きたくて投稿させていただいています。
私は濾胞性リンパ腫。ステージ4、グレード1です。
20111発病。経過観察のち2018/2よりRB療法をスタートします。B型肝炎のキャリアでもありエンテカビル錠を一生飲むように言われました。癌研のセカンドオピニオンの先生はB型肝炎は様子を見ながら治療すれば大丈夫ですと言われました。主治医は標準ガイドラインより少し厳しく見て治療するといわれエンテカビル剤を飲むように言われました。一生飲むのが不安ですしモニタリングだけでダメなんでしょうか?
HBs抗原-  HBs抗体+ 
再度セカンドオピニオンに行こうか?と思います。
しかし今の治療方法が妥当ならば進めるしかないのですが迷っています。アドバイスがあれば教えてください。
返信する
リツキサン単剤の目的は寛解ではないです (アンフェタミン)
2018-11-03 21:45:04
>がじゅまる君さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

濾胞性リンパ腫のstage IIIでリツキサン単剤の治療ということは「低腫瘍量」なのだと思います。

まず、この記事にあるようにその場合の臨床試験でわかっているのはリツキサン4コース or リツキサン4コースの後2ヶ月に1回の維持療法での臨床研究結果のみですので、4コースでもおかしくはありません。

リツキサンの試験は8コースまで行われたものが多く、R-CHOPも6〜8コースということもあり、保険で見える範囲内で8コース以上やれば保険を切られてしまいます。

有効性を証明されていない治療をやることは保険で認められたものとは言い難いという話になります。

僕も8回までrituximabをやっている患者さんがいます。患者さんと話をして、高額療養費を念頭に2ヶ月で終わるようにタイミングをはかって。
その方にもいっておりますが、もともとリツキサン単剤の治療は「本格的な治療を先延ばし」するためのものですので、寛解に入らなくても改善があればOKです。本来、濾胞性リンパ腫はゆっくり進行するものです。患者さんによっては8年くらい経過観察している方もおります。

経過観察期間が伸びれば伸びるほど、QOLは維持されますし、新しい治療法が出てくる可能性も増えます。

お答えになっていれば幸いです。

また、コメントいただければと存じます
返信する
リツキサンの投与回数上限について (がじゅまる君)
2018-11-02 20:18:16
はじめまして。
母が濾胞性リンパ腫(ステージⅢ)でリツキサン単剤投与(週1回)を4回行いました。先日、PET-CTにて投与前と比較してリンパ腫が小さくなっているとのことで、リツキサン単剤投与を継続しましょうという話にはなりましたが、インターネットを見ていると投与回数は8回までと規定されているようでした。(何故8回まで?)
残り4回でリンパ腫が無くなる(寛解?)まで到達しなかった場合、一般的にその後の治療はどうされるのでしょうか?
以上よろしくお願いします。
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十二指腸型という特殊系かもしれません (アンフェタミン)
2018-01-02 22:20:10
>よつこさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

主治医の先生同様、僕も「長期的な安全性」が担保されていることもあり、R-CHOPでいくと思います。
ベンダムスチンは好中球減少は軽いのですが、リンパ球減少が高度で、結構やりにくいところもあります。

そのため、CHOP療法で大きな問題が起きなさそうな患者さんであれば、R-CHOPでいくと思います。維持療法はもちろんやります。

濾胞性リンパ腫の自然消失に関しては僕はなんとも言えませんが、腸の濾胞性リンパ腫は「duodenal Follicular Lymphoma」と呼ばれる「亜型」と考えられるようになりました。
これは十二指腸を中心に全腸性の病変を作ることもあるとされていますが、リンパ節病変は稀で、局所再発はしても全身再発はほとんどないというものです。もしかすると、このタイプかもしれませんが、これであれば別物と考えていただいた方が良いと思います。

リンパ腫が勝手に消えたケースは2例ほど経験がありますが、そのうち1人は半年ほどの経過で再発しました。もう一人は数年後に再発しました。どちらもびまん性大細胞型B細胞リンパ腫でしたが、濾胞性リンパ腫ではありません。参考になるかはわかりませんが、一般的には勝手に消えるということはあまりないと思います。

参考になれば幸いです。

また、コメントいただければと存じます

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遅発性好中球減少だと思います (アンフェタミン)
2018-01-02 22:09:42
>下町のお父さんさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

まず、好中球減少があるか、ないかというご質問は好中球が1800/µl未満ですので、好中球減少はあります。特に1000/µl未満ですので、好中球減少のレベルとしては中等度と考えて良いかと思います。

好中球減少の原因に関してのご質問ですが、2次発癌の可能性は低いと思います。

理由として二次発癌、今回は急性骨髄性白血病(AML)と骨髄異形成症候群(MDS)に絞らせていただきますが、治療後の期間としては少し早いと思います。

治療関連MDSなどは一般には治療後3年など、ある程度の期間をおいて発症することが多いとされています。現在、資料などがある自宅から離れているため、正確にはお答えできませんが、維持療法中の発症は早いと思います。

逆に主治医の先生がおっしゃっているように、リツキシマブの治療後に「遅発性好中球減少」という副作用が起こることがあります。これは回復まで半年程度必要とする報告があり、僕が担当した患者さんでも何名か起きましたが、数ヶ月回復に要しました。メカニズムとしてはB細胞がリツキシマブの影響で減少し、その回復の過程で「自己免疫」的に起きるというものと、好中球に必要な何らかの因子ができなくなるというようなものがあったと思います。

どちらの可能性も0ではありませんが、感覚的にはリツキシマブの副作用の可能性が高いと思います。

あとは血液像など検査結果を総合的に見て判断する必要があります。

最終的には主治医の先生と相談していただいて、となるかと思いますが、今のところは僕もしばらく様子を見ると思います。

また、コメントいただければと存じます
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Unknown (よつこ)
2017-12-31 16:21:26
アンフェタミン先生、こんにちは
いつもブログを読ませて頂き、また皆様のコメントやそれに対するアンフェタミン先生のコメントで、なるほどそうなんだ、と認識を新たにさせて頂いております。
丁寧で分かりやすい説明、ありがとうございます。
28日に血液内科受診日で、オブヌツズマブの事を聞いてみましたが、リツキサンとの違いはあまりないようなお話、現治療では、リツキサンの方が安心とか。。。
初発治療では、R-BよりR-CHOPの方が良いとか。
ベンダムスチンの毒性、骨髄抑制など心配なこともあるので、やはりR-CHOPが安心なんだとか。
また、R単体だと心もとないので、初発治療はR-cHOPできちんと叩いた方がよい、維持療法の時にRを使う、という従来の考えでした。
私は、未治療経過観察7年ですが、10年以上続けている患者さんも、ざらにいるとかで、今の状態がつづくのであれば、そのまま経過観察を続行したほうがベストだということです。
首から足の付け根まで(胴体部分)のCT結果では、左首の腫瘍があるだけで、他は見当たらないとのこと。
また、1年前より多少小さくなっているとのこと。
また、LD220、腫瘍マーカーも200ほどと、横ばいが続いているので、なんら問題なしのようです。
担当医がちょっと言った事が気にかかっています。
何も治療しないで、リンパ腫が消えた患者さんがいたという話です。
腸にできた患者さんだった、という事でした。
自分にも希望があるのか、と思わず聞いたところ、首のシコリは自然に消えることはないような言い方でした。
実際、リンパ腫が消える、という事はあるのでしょうか。

長くなりましたことをお許し下さい。
最後になりましたが、今年も丁寧で分かりやすい説明、ありがとうございました。
アンフェタミン先生、よいお年をお迎え下さい。
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リツキサン維持療法の副作用について (下町のお父さん)
2017-12-29 19:10:18
いつも、拝見をしております。本当に、丁寧なわかり易い説明で参考にしています。

現在59歳の男性ですが、昨年8月に濾胞性リンパ腫ステージ4、グレード2と診断。R+CHOP療法を6回受けCRとなり、2月より、リツキサン維持療法を6回受けました。経過は順調で血液検査は11月は、白血球6900、好中球3100、Mono9.3、LD154、可溶性207で、他の数値は基準値でした。しかし12月は白血球3100、好中球600、Mono29、LD204、可溶性270でした。

突然、白血球や好中球の減少がありましたが、主治医はリツキサンの影響かもしれないと。再度2週間後に採血を予定しますが、一回目のR+CHOP以来の低い値です。その時はグラン、ジーラスタ?を注射しましたが、入院や注射はしないとの事です。
リツキサン維持療法が順調に進んでいたので、今後の事が心配です。原因はリツキサンでしょうか。また、現状は好中球減少症になってしまったのでしょうか。二次がんの可能性はあるのでしょうか。
また、リツキサン維持療法を中止すれば、骨髄の機能は戻るのでしょうか。

いくつも、質問をして申し訳けありませんが、宜しくお願いします。
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なかなか難しいのですが (アンフェタミン)
2017-12-25 00:06:54
>もぐちゃんさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

リツキサンが決定打にならない理由。難しいですね。

まず、最初に今から書くことが絶対ではないということだけ、言い訳をさせてください。

決定打にならない理由は1つ目は統計学的な話です。リツキサンを使用して寛解状態になっても、一定の患者さんは数年で再発する。加えて、リツキサンがない時代でも寛解に入ってから10年以上の期間をあけて再発する患者さんがいる。そのため、完治したとは言いにくいことが「臨床医」として完治と言えない理由です。
濾胞性リンパ腫は古いデータでも15年くらいの期間、生存曲線が横ばいになることなくダラダラ下がっていくので、15年以上は再発リスクがある・・・という話になります。リツキサンを使用することで、この生存曲線が変わってプラトーになるかがポイントです。

臨床医が「このくらいの期間が経過したら治癒」と判定できるのは、生存曲線が横ばい(プラトー)になる時を言います。血液腫瘍でも5年以降再発することがほとんどない腫瘍は5年で「完治の可能性が高い」と判断して、経過観察を終了します。横ばいにならないのが完治と言えない理由ですが、リツキサンを使用することで30年経っても再発しない「完治」に至る患者さんはいるのかもしれません。もしかするとだらだら生存曲線は下がっているかもしれませんが・・・。

リツキシマブが決定打にならないもう一つの理由はいくつかの「抵抗性」のメカニズムがわかっていることだと思います。例えばCD20が腫瘍細胞からなくなることもあります。その場合はCD20陰性の腫瘍細胞が増えてくるため、リツキシマブは効かなくなります。

ただし、おっしゃられるように「再燃しやすいタイプ」と「再燃が確認されにくいタイプ」が存在しています(それは腫瘍細胞の増殖が遅い、Grade1などは再燃しにくいです)。再燃が早いタイプ(濾胞性リンパ腫では2年以内に再発)などは予後不良因子とされています。

お答えになっているかはわかりませんが、もぐちゃんさんが再発しない可能性を否定するわけではありません。消えたまま、20年、30年という可能性はあります。生存曲線が横ばいにならなくても再発していない患者さんはおり、少なくともその患者さんたちは「再発していない」のですから。

もぐちゃんさんが日本で最初(ではないかもしれません。情報がないだけで)の再発しない患者さんとして、このブログに名前を残していただけると、多くの患者さんの励みになると思います。

今後とも頑張ってください。よろしくお願い致します。

また、コメントいただければと存じます
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リツキサンが決定打ではない理由は? (もぐちゃん)
2017-12-24 22:32:38
今晩は。
リツキサン単体の点滴を2013年8月に行い、その後は再発が確認されることはなく、経過観察のための通院だけで過ごしています。現在は3か月に1度の通院で、明日は通院日です。
久しぶりに投稿させていただきます。

主治医だけでなく、外来化学療法室担当の看護師さんからも「リツキサンの登場で雰囲気が随分変わった」と言われたことがありです。でも、「今のところ完治できると言えない」ということは、リツキサンは決定打にはなっていないのですね。「今のところ完治できると言えない」点については、「確実に再発します」と私も初診時に解説を受けており、心理的に結構ひっかかっているのが正直なところです。

一方で、リツキサンの保険適用は2001年8月で、9月に販売開始です。私は2011年4月にR-CHOPによる治療開始となりましたが、「日本で一般的に利用されるようになってから10年経過していない。10年間再発していない人のデータがないのは当たり前」と思い、「自分が再発しない初めての患者になればよい」と自分自身に言い聞かせるようにしています。

16年分のデータしかない中で、「リツキサンは決定打ではない」と学界等で判断されている理由はどこにあるのでしょうか。血液のがんについては抑々として治癒という概念がない。治療が成功して、病巣が確認されなくなってから「再燃しやすいタイプ」「再燃が確認されにくいタイプ」に分類することが正確な表現ではないかと思っており、更に「再燃しないタイプ」と言い切ることは難しいと思うのですが、いかがでしょうか。
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再発時の武器が増えたと考えています (アンフェタミン)
2017-12-23 08:33:06
>よつこさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

肝酵素上昇や腎機能の軽度悪化がリンパ腫に関連するものではないかと思いますが、腫瘤がある場所によっては起こす可能性があります。その場合は治療の必要性が出てきてしまうので、おそらく主治医も関係ないと判断していると思います。

リツキシマブとオブヌツズマブのアレルギー(インフージョンリアクション)は確かに少し少ないですが、そこはあまり気にしたことはありません。どちらにせよ起こる可能性があるので、そういう対処をして治療を行います。

治療効果はオブヌツズマブが良いことになっていますが、全生存率がわからないので、もう少し経過を見ないとなんとも言えないところです(無再発生存期間は80%と77%くらいで少しいいです)。

R2もそうですが、将来の武器が増えてきているという段階です。初回治療から行うべきかどうかはこれから判断できる材料が増えてくるのではないかと思います。

また、コメントいただければと存じます



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ALK陰性未分化大細胞型リンパ腫ですね (アンフェタミン)
2017-12-23 08:22:28
>ノッコさん
おはようございます。コメントありがとうございます。

自家移植後2年経過されたのですね。まず、経過としては良いのではないかと思います。
下腿浮腫が片足に出ている原因は主治医の先生は気にされていますでしょうか?片側というのは少し気になりますので、何もないかもしれませんが、調べてもらっても良いかもしれません(調べていたらすいません)。

ALK陰性未分化大細胞型リンパ腫の説明文を早めに作りたいと思います。

また、コメントいただければと存じます
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Unknown (よつこ)
2017-12-22 10:23:14
アンフェタミン先生、こんにちは
濾胞性リンパ腫の説明、ありがとうございます。
私は少し前にコメントをさせて頂いた、濾胞性リンパ腫未治療の経過観察中の患者です。
2か月半ごとの血液検査での受診、1年ごとにCTや超音波などの検査をつづけています。
LDHは220前後、sIL-2Rは210前後という状態を5年以上続いています。
変化があるとすれば、ASTやALTなどの肝機能がとても上がるときがあり(アルコール駄目な体質なのですが)リンパ腫になってから、このような状態になるので、影響があるのかと思っております。
腎機能はCre0.8からHになることもあり、やはり腎機能も影響があるのかと思っております。
アンフェタミン先生がおっしゃるように、濾胞性リンパ腫の治療は、R-CHOP、R-CVP、R-Bが一次治療なのかと思いますが、Rでなくオブヌツズマブはアレルギーが少ないとききます。
Rとオブヌツズマブの違いについて、アンフェタミン先生のお考えはどのようなのでしょうか。
あと、リツキサンとレナリドミドを併用するR2という治療など。
濾胞性リンパ腫の治療が、変わってきているという話を聞いたので、気になっています。
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お邪魔します (ノッコ)
2017-12-21 23:50:21
こんばんは。
随分前にコメントさせて頂きましたが、久々の登場です。自家造血幹細胞移植をして二年が経ちましたが、10月の上旬に下肢リンパ浮腫(右足)を発症してしまいました。
社会復帰を果たした直後だったので、なんだかなぁ〜な気分で弾性ストッキングと格闘する毎日です。悪化させない様に気をつけて過ごさねば…ですね(>_<)

ALK(−)未分化大細胞型T細胞の説明、宜しくお願いしますね
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