未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




低価格になって人気集める「宇宙葬」
http://news.goo.ne.jp/news/wired/it/20060223/20060223202.html

 『スタートレック』シリーズで転送装置担当の機関長モンゴメリー・スコット(愛称スコッティー[日本語版ではチャーリー])を演じた俳優、ジェイムズ・ドゥーアン氏と、米国の有人宇宙飛行計画『マーキュリー』計画で活躍した宇宙飛行士、ゴードン・クーパー氏(愛称ゴード)の遺灰が、3月中に打ち上げ予定のロケットで宇宙へと送られることになった。人類の宇宙探索の普及に貢献した2人には、まさにふさわしい別れの儀式だろう。
 このロケット打ち上げは、一般の人々にとって宇宙をもっと身近にすることを目指して急成長する数社の企業の1つが計画しているもので、遺族はこの企業に対し995~5300ドルの料金を支払っている。

「死んだら、遺灰は、宇宙に撒いてくれ...」こんな素適なセリフを、真顔で言って死ねる時代が、まもなくやってこようとしている。「宇宙葬」の低価格化により、一般人が自分の埋葬場所に、宇宙を指定することができるようになってきたのだ。

だが、ちょっと待って欲しい。この企画の場合、「遺灰の入ったカプセルを載せたモジュールは、数年間軌道を周回した後、大気圏に突入し燃え尽きる」ことになっている。だが、良く考えて見よう。灰というのは、物を燃やした後で、燃えずに残った物質のことだ。カプセルは燃え尽きたとしても、灰は、もうそれ以上燃えることはない。低価格化によって、大勢の人の遺灰が大気圏に蓄積されれば、地球温暖化を助長することになる。せめて、恒星間の宇宙葬が実現するようになるまでは、安易に宇宙葬を選択してはいけない。その軽率な判断のツケは、あなたの子孫ばかりでなく、ひょっとすると、あなた自身にも跳ねかえって来るかもしれない。


「まず、隣町との合併により、町名を『宇宙』に改名します。町外れに大規模な公園型霊園を建設し、幹線駅との間に『ロケット号』と命名したシャトルバスを運行させます。そして、大々的に『宇宙葬』として、売り出すわけです。」
「いくらなんでも、そんなチャチなものが、売れるわけないだろう。」
「はい。確かに、自ら望んで、そこに埋葬されることを望む者は少ないかと思います。ですが、故人が『宇宙葬』を希望して亡くなられた場合、実際にそれを行うには、まだまだ多額の費用が必要となります。価格を安く設定することにより、故人の遺言を尊重しつつも、御遺族の負担が軽減できるというわけです。」
「しかし、あまりにも露骨過ぎるだろう。親戚への体面もあるしな。」
「そこで、『宇宙待合ロビー』の登場です。施設の中央に、この直径3mの球を設置し、御遺灰の一部をこの中に蓄積していきます。搭乗客1名から1万円ずつの乗車賃を徴収し、近い将来、蓄積された総資産と、その時点で恒星間宇宙葬に必要な金額が一致した時点で、実際に宇宙葬を行うことを、保証するのです。これなら、運営者側のリスクもありませんし、御遺族の方々にも、納得されるサービスとなるでしょう。その一方で、ブログなどを利用し、大気圏再突入型の宇宙葬に対する懸念を社会通念化しておけば、『お父さんはああ言ってたけど、やはり子供たちの将来を考えれば・・・』と、ご遺族が我々のサービスを選択しやすい社会的背景を構築することができます。」
「んー。検討する価値はありそうだな。。。」
「ありがとうございます。では、詳細のご説明に移らせて頂きたいと思います。」
「この、分厚い書類は何だね?」
「契約書のサンプルになります。」
「免責事項の章が、やたらと長くないか?」
「恒星間の飛行となりますと、それこそ、今までの常識では、想定できないような事態が発生する恐れがあります。たとえば、どこかの高度に文明の発達した惑星に、カプセルが漂着した場合、それに興味を持った生命体に、故人が復活されてしまうことがあるかもしれません。各種の人体実験は元より、生命体のペットとして、永遠の生命を鎖に繋がれて過ごすハメに陥ってしまうかもしれません。」
「いくら何でも、それは考え過ぎだろ。それより、こんな分厚い契約書を見せられたら、皆、ビビって、契約を躊躇してしまうのではないのか?」
「その点でしたら、ご心配には及びません。契約は全て、ネットのみでの取り扱いとし、契約書簡の横に、スクロールバーを付け、一番最後の『同意する』チェックボックスまで、一挙にスクロールできるようにしますから。」

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