未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




「原発はダメ、自然エネ拡大まで天然ガス」では解決しない
ピークオイル問題が日本に投げかけるのもの
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120227/229101/
実は、たった数年間で、これまで「ピークオイル」論を批判してきた専門機関や石油会社の多くが、石油生産のピークが近いことに言及するようになりました。
 代表的なところでは2010年、国際エネルギー機関(IEA)が、「2006年に在来型石油生産はピークを過ぎた」「安い石油の時代は終わった」と、報告書の中で述べました。どうやら、キャンベル氏の予想は結果的にかなり正しかったことになりそうです。


「M7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生する。」という、今年1月の東京大学地震研究所の発表により、にわかに巨大地震発生の危機が現実的なものに感じられるようになって来た。

簡単な事柄であったとしても、実際に行動を起こし、地震に対する備えを始めた者も多いことであろう。

震災前に同じ発表があったとしても、「また、そんな人を脅かすようなことを言って。どうせ、何十年も先のことだろ。」と漠然と思い、気にも留めない者がほとんどであったはずだ。

地震発生のメカニズムは学校で習うので、誰もが、周期的に大地震が発生することは、知識としては知っている。

いつかは必ず来るのが解っていながら、それを身近に迫った現実的な危機として受け取めることが苦手なのは、人間の性ではある。

NHKの「メガクエイク」第2シーズンが始まった。

第1シーズンは震災前であったので、ただの科学知識として見ていたが、第2シーズンの内容はもっと身に迫ったものになっている。

GPSなどの新たな観測危機の導入にともない、科学的な研究も進み、番組としての見せ方も進歩している。

巨大地震発生の予測に関する、科学的な裏付けは、もはや確実な地位を築いている。

その一方で、確実に訪れると解っていながら、誰もが漠然と「もっと先のことだろ?」と、気にも留めていない危機がある。

「石油の枯渇」だ。

石油はなくなるのか?

70年代のオイルショックの頃より、「○○年後には、石油はなくなる。」的な話は繰り返されて来た。

だが、掘削技術の進歩により、年々その予想は先送りされて来た。

この問題に対する警告は、すでにオオカミ少年の様相を呈している。

だが、冒頭の記事を読んで欲しい。日経ビジネスオンラインの会員にならないと、2ページ目以降を読むことができないが、そのためだけに会員になる価値はある。

要点のみ取り上げると、「ここ数年で、過去には(石油の枯渇に)否定的であった研究者、研究機関も含めて、石油が枯渇する時期の予測が一致して来た。

2014年前後に需要が供給をオーバーシュートし、2020年頃には生産減退が始まる。

というのが確実なところであろう。」というものだ。

私はかなり信憑性のある記事である。と読んだ。

この手の話をすると、「そんなの、石油の価格を吊り上げるための策略だよ。」と、訳知り顔で言う者がいる。

だが、彼に、その話の根拠を確認してみて欲しい。

たぶん、その手の話を何かで読んだことがある。程度のものであろう。

ネットで検索できる「石油は枯渇しない。」との説と、冒頭の記事の説とを読み比べて欲しい。

どちらに説得力があるのか。

「2014年に石油がなくなる。」と、言っているのではない。

朝起きたらニュースで「昨日で、石油がなくなった模様です。」と、報じるなどと言うことはあり得ない。

もっと前に、もうすぐ無くなりそうなことは解る。

それは、枯渇する1年前ぐらいか?

いや、もっと前。どんなに短くとも、10年前ぐらい前には解るであろう。

10年後に石油がなくなると解ったらどうするか。

売り惜しみ?

いや、そんな穏やかなものでは済まない。

燃料以外に、石油からでなければ作れないもののための原料として、絶対に必要とする者が大勢いる。

価格はあっと言う間に10倍100倍になる。

だが、もう一度戻ってみよう。

いきなり、「10年後に石油がなくなることがわかった。」などの発表があるだろうか。それまで誰も気付かずに。

それもまた、あり得ないであろう。

世界の各国のプラントが、同時に枯渇するわけではないし、どこか1か所で見通しが立ってくれば、その他の同様のプラントでも、おおよその寿命なども解ってくる。

そうなってくれば、すぐに値上がりが始まる。

いや、もっと前から、薄々と現場が勘づき始めたころから、穏やかに値上がりが始まるであろう。

今が、まさにその時だ。との主張もある。

地震の予測に対する科学的な研究が進歩しているように、石油の寿命に関する科学的研究も進歩している。

石油の掘削技術が進歩しているのと同時に、掘削技術の限界も見え始めているのではないのか?

世の中には、自分の都合の良いデータばかりを集めた煽り記事があるのは確かだ。

だが、科学的に裏付けされた予測と言うものがあるのも、確かな事実だ。

もちろん、不確定要素が沢山あるので、研究者/研究機関によって、そのパラメーターの解釈が異なり、結果の数字が異なって来る。

信憑性のあるデータに基づきながらも、その結論には大きく開きがある。

「2014年にオーバーシュート」と言うのは、確かにその大きな開きの中でも、悲観的な数値かもしれない。

だが、研究が進み、または確たる現実が突き付けられ、不確定要素がだんだんと減って来ると、研究者の結論が、どんどんと集約して来る。

「どんどん集約して来ている。」ことは、各研究者/研究所の発表を追っていけば、解ることだ。

筆者の主張はそこだ。

「2014年にオーバーシュート」という(一つの)科学的な裏付けのある予測がある。

と、言っているのではなく、全世界の研究者/研究所の予測値が、そのあたりに向かって、急速に収束し始めている。

と、言っているのだ。

これは、もう、目をつぶってやり過ごすことは出来ない。

2014年が悲観的だとしても、遅くとも2020年頃には、石油がなくなりはしないが、「もう、ピークは過ぎた。」ことが既成の事実となる時代が来るであろう。

石油はどんどんと上がって行く。

そうなってしまえば、燃料として燃やしてしまうのは、ナンセンスだ。

石油を燃やすぐらいなら、札束を燃やして発電した方が安くなる時代すら、現実のものになる危惧がある。

その時、日本はどうするのか。

天然ガス?メタンハイドレート?

そんな時代には、他の燃料も、同様に値上がりしているのは必定だ。

現在、人類が獲得してる技術の中で、石油にとって替われるほどのものは、「原子力」しか残されていない。

その時になって慌てても間に合わないのは確実だ。

「軽水炉」に替わる、新しい「原子力」の利用方法の開発を、「軽水炉」被害に遭った国だからこそ、大手を振って、取り組むべきではないのか?

もう一度冷静に考えよう。

我々は「軽水炉」被害者であって、「原子力」被害者ではないことを。

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