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『ドライヴ』
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2012年04月24日 01時40分02秒
ほぼ一月ぶりの休みであった。
今度の休みには、映画を観に行こう。と、決めていた。
以前から気になっていた映画があった。
『
ドライヴ
』
普段の昼食は自席でコンビニのサンドイッチを食べているのだが、休日出勤した日には自分へのご褒美として、外食している。
と、言っても、土曜日なら「小諸そば」。日曜日は「サブウェイ」だ。
オフィスからどちらに行くにも、ホテル西洋の前を通る。
しばらく前からそこに掲げられていた予告の中に、それはあった。
この仕事が終わったら、これを観に行くんだ。と、そこを通るたびにその思いが募った。
それを心の拠り所として、なんとか崩壊せずに生き延びて来られたとも言える。
封切られるころには一段落着いている予定であったが、ここまで延びてしまった。
やっと観られるチャンスが訪れたが、既に大きな劇場では上映されていない。
ネットで検索してみたが、どこも小さなスクリーンでしか演っていない。
映画を観る。程度の楽しみも、満足に果たせないのか。
疲労感が増した。
もーどーでもいーや、と、自暴自棄になりかかり、観に行くのを止めようと思った。
最後に、予告を観てどうするか決めようと思った。
行くと決めた映画は、なるべく予告を観ないようにしているのだが、もう、半分諦め気分で観てしまった。
良い方に、予想外であった。
こりゃ、やっぱ、行くしかないな。
覚悟を決めた。
「ヒューマントラストシネマ有楽町」
聞いたことがない。
そんな映画館、あったっけ?
有楽町駅前のイトシアの上にあるらしい。
どうりで知らないはずだ。
ネットでスクリーンサイズを調べたが、掲載されていなかった。
オンラインでのチケット購入もできない。
イトシア自体、それほど大きな建物でもない。
かなり覚悟して行ったにも関わらず、やはり、スクリーンは小さかった。
「黒板みたいだ。」
泣きたくなった。
帰ろうかと思った。
こなん小さなスクリーンの劇場の、存在意義にすら疑問を感じるほど、その落胆ぶりは大きかった。
鷹の爪団も、映画泥棒も現れることなく、スタッフのアナウンスでの上映中の注意事項が流れた後、予告が始まった。
予告で流れた映画も、良い感じだった。
少し、気持ちが落ち着いて来た。
いざ、始まってみると、それほどスクリーンサイズが気にならない。
こーゆー映画館も、アリなんだな。と、帰りに思った。
映画は正しく私のツボだった。
予告を観なければ、衝撃(予想を良い方向に裏切られたという衝撃)がもっと大きかったろうと、悔やまれたが、それでも十分に楽しめた。
暴力とロマンスが混在している。
暴力が非情であればあるほど、逆にピュアな部分が引き立って来る。
一見、現実味のないストーリーであるにも関わらず、共感覚がハンパない。
号泣する類の映画ではないが、心に残る作品だ。
これは、一人で観る映画だ。
終わった後で語られるどんな言葉も、この映画の大切なものを、損なってしまいかねない。
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