未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




今日、2回目を観てきた。

初日は、舞台挨拶目当てであったので、残念ながらの2階席であった。

映画を見降ろして鑑賞する。と、いうのは記憶にある限り、初めての体験だ。

見辛い。

丸の内TOEIは、2階席から観て満足が行くほど、スクリーンが大きくない。

シネマズ六本木のスクリーン7であれば、かなり後ろの=かなり高い場所であっても、スクリーンの高さが8.4mあるので、決して見降ろす感じにはならない。

スクリーンの上段と席の位置がほぼ同じであったので、また、幽体離脱して天井付近を彷徨うことハメになるのかと、少々緊張した。


映画は、正直に言ってしまうと、色々な要素を詰め込み過ぎている感じがする。

私のように、出演者の一人をお目当てに行くと、肩すかしをくらってしまうかも知れない。

最大の見どころはやはり、北海道の大自然と、それを見事に捕らえた映像であろう。

2回目には、同じ劇場だか、前から5列目で見た。

それは、全く、別のものであった。

座席の位置で、これほどまでに映画の印象が変わるものか?と、驚いた。

初日の時、2階席とは言え、最前列であったので、舞台挨拶に見えた役者さん達の表情が伺えた。

「思ったよりは、良い席だ。」

と、その時は思ったが、帰り際、1階最後尾の扉から中を覗いて見たら、舞台の様子が全く違って見えた。

もう、舞台上には誰もいないのだが、黒板のセットがすぐ、そこに見える。

まるで、一つの教室に居るかのような印象だ。舞台全体が明るく、晴々と感じられる。

学校の教室の黒板の前に並んでいる役者さんを、授業参観のように、教室の最後尾から観ている。ぐらいの臨場感があったに違いない。

次回は、絶対に1階席で見よう。と、心に誓った。


木村大作

舞台挨拶では、登壇者が各自、今回の映画の感想を黒板に一言書き、それを解説する。という形式であった。

満島ひかりの言葉は「おとなってコワイ」であった。

今までの現場は、わりと和気あいあいな感じのものが多かったが、今回は、監督始め、スタッフの方々に、大人としての、仕事に対する意気込みと言うか、プロ意識というか、厳しさが感じられ、『コワイ』との印象を感じた。というものであった。

一方、監督の書いた言葉は『木村大作』その一言であった。

「監督のお言葉はどれでしょう?」と聞かれ、

「四文字熟語『木村大作』。と、書いて『かいぶつ』と読みます。たとえば、ラストのシーンの撮影の際、カメラの位置を決める時に、木村さん(カメラマンです)が、カメラを構えたまま、水温マイナス20℃の海に、なんの躊躇もなく、バシャパシャと入って行き、『監督、カメラの位置ここです!』と。」
「マイナス20℃の海っていうのは、どのくらい冷たいのでしょうか?」
「私は、入っていないから解りません。。。」

正にプロと言うべきか、自分の思った映像を撮るためであれば、他の事が一切目に入らなくなるタイプなのであろう。

その結果が、見事に映像に捕らえられている。

私が最初に「北のカナリアたち」関連の話題をブログに取りあげたのは、監督でも出演者でもなく、カメラマンである木村大作へのインタビュー記事であった。

カメラマンへのインタビューが記事になるのは、珍しいのでは?

そう思ったのだが、やはり、今回の映画のキーマンは、『木村大作(かいぶつ)』であったようだ。

元教師である吉永小百合が、20年ぶりに教え子と会う。

普通であれば、喫茶店なり、なんなり、どこか落ち着いた場所で話をするはずである。

だが、満島ひかりをサロベツ原野の管理官の職につけ、広大な冬のサロベツ原野での仕事の合間に、2人の会話が取り交わされる。

正直、そこにちょっと違和感が感じられ、初回はストーリーに気を取られ、会話の聞き取りに集中しようとすると、せっかくの壮大な映像が、かえって邪魔に感じられてしまう。

だが、2度目は、ストーリーを把握しているので、映像全体をゆっくり鑑賞することが出来た。


素晴らしい。

その一語に尽きる。


今回の映画で、一番気に入らないのは、全日空のスポンサード広告(?)だ。

不自然なまでに、「全日空を利用していますよ」とのシーンが入る。

正直、せっかくの映画を、「なんだ。全日空のCMかよ。」と、観覧者を落胆させるのに十分過ぎるほどのしつこさであった。

旅費は空席を利用してもらえば、全日空側の負担は実質ゼロだ。もちろん、それ以外にも色々と出資しているのであろうが、企業センスを疑われる。

この映画を観て、北海道に行ってみたい。それも、普通の札幌観光とかではなく、この映画に出て来るような、雄大な大自然、それに是非、あの『礼文富士』をこの目で見てみたい!

そう、思うものが多いはずだ。

特に、旅行好で生活に余裕のある人々。国内旅行に良く行くのだが、観光地には少々辟易している層への訴求力は、絶大だ。

『北のカナリアたちロケ地巡りの旅』

それを企画し、劇場にパンフを置いてもらう。いや、パンフに挟んで配布するぐらいは、劇中に執拗にCMを挟むような無粋さに比べれば、全然OKであろう。

そして、その体験が素晴らしいものであれば、その後も同様のツアーに参加するものが多いはずだ。

慣例に縛られた無粋な行いで、視聴者の気持ちを削ぐのではなく、映画ではとことん、北海道の大自然を堪能してもらう。そしてその体験をより崇高なものにするために、惜しみない援助をするのが、本来のパトロンとしての役割であろう。


いずれにせよ、是非、大劇場の、それもなるべく前方の席。

1度見て「なんだ。こんなもんか。」と思った人も、2度、3度と、劇場に足を運んでみて欲しい。

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