写真1 共同墓地・祀祠の前、車座の女性たち
写真2 弘法大師石像を安置する祀祠・献花・先達が座った座布団・小石柱等
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2009年3月28日土曜日、10時半に関東鉄道常総線・小絹駅(茨城県つくばみらい市・旧谷和原村)から歩き始め、小貝川を渡り、春耕期の田んぼ道を歩いていると、共同墓地前に座る女性たち(写真1)。
花見にしては桜がない。なんだろー、と高まる胸の鼓動を感じつつ近づく。ビニール製ゴザに座る女性たちに、何の集まりですかと尋ねると、「ダイシサマ」、「マワリダイシ」、「お経をあげるとき来ればよかったのに」、「次の、どこかでお経をあげてるよ」などの答え。
確かに、石像を安置する祠と献花、祠の横に白田と刻む小石柱、祠の前に座布団がある。すなわち、18人の老若女性は、白田(ハクダ)集落(茨城県つくばみらい市)の人たちで、祠前の座布団に座り、先達といっしょに拝み祈願した。その後の団欒、おしゃべりのひととき。
「ダイシサマのご縁」と一見の筆者にペットボトルのお茶をくださる。まさに仏心。
マワリダイシを実施する真言宗の名刹清安山不動院板橋不動尊に拝聞すると次のようである。
マワリダイシ(回り大師)は、江戸時代から受け継がれ、毎年3月25日~4月3日に、板橋不動尊の副住職が先達となり、旧谷和原村と旧伊奈町(ともに、現つくばみらい市)の集落にあるダイシサマ(弘法大師を祀る祠)を回り読経する。祀祠は屋内、屋外不問。参拝・祈願者の性別、年齢も不問。
思うに、江戸時代に始まる信仰行事マワリダイシは、水稲の種播きや田耕起が始まる春さき、五穀豊穣・無病息災・家内安全を祈願し、「村」の絆-連帯感・共同性-を確認して来た。また、団欒や安息、交流や情報交換のひと時でもあった。
とき・時代は流れても、マワリダイシは祈願の場であり、団欒や情報交換、世代間交流の機会であり、絆や帰属意識を確認する日である。
執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2009年3月28日 撮影地:茨城県つくばみらい市