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第一回テキスタイル作品展

2018-01-09 13:57:43 | テキスタイル作品展
東京テキスタイル研究所
第一回テキスタイル作品展
会期:1982年4月27日(火)~5月2日(日)
   AM 10:00~PM 6:30(最終日6:00)
会場:東京セントラル絵画館8階(名鉄メルサ上)

「多種の個性が織物の中に生きていた。」 田中秀穂(武蔵野美大助教授)
 東京テキスタイル研究所に学ぶ生徒と講師陣による第一回作品展はある種の心地良さを与えながらも今後の展覧会への問題提起を示唆していた。各々の作品に傾けられた時間と努力は、同じ作り手側の私には痛いほど理解できるものの、織物表現の多様性と生活との関係を改めて考える機会でもあった。数多くの作品で埋められた会場の熱気とアンバランスなハーモニーに興味を持ちながら鑑賞することができた。織物による作品群はアーティスティックなものから用を満たすものまで広範囲におよび、改めて、素材の持合せる身近さを感じながらも、容易さと、あいまいさについて考える必要性に迫られもした。技術をマスターする事により、イメージの実現化が可能であり、その段階においては楽しむことが大切であろう。これらの作品群はその点、技術レベルも高く、余裕さえも感じられ、説得力のある作品で埋められたことはうれしい事実であった。織物を媒体としての生活への問いかけは今後への願いであり、展示方法を含めて検討する必要があろう。身を包む布から壁を飾り、又、造形としての素材と技術の研究による作品が見せる様は見る側に驚きを与えるが、実生活との関係を客観的に考えた場合、いくつかの疑問点も浮かんでくる。私達の生活の多様性に当り、織物自体の多様化も必然的な姿かもしれない。もう一枚の、皮フとしての織物が、物理的に私達の皮フとある距離を持ちながらの室内の皮フであることの事実の認識と理解を展示するのみではなく、作り手側と見る側との適切なコミュニケーション作りを演出することによって可能にもなると思う。例えば服地としての布の発表を今回のような多様なる作品群の中において、実際に人間が身につけ提案することは、織物の可能性と必要性を具体的に確認できることだと思われる。
 ともあれ、研究所が持ち合せる多種なる個性が織物で表現され、一堂に集められる意義の大きさを大切にし今後への発展を切に願う一人である。
◆作品展会場風景
◆作品展会場風景
◆作品展会場風景
◆作品展会場風景






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