厚生労働省が2005年度のサービス残業の実態を報告しています。しかし233億円
1524社とはすごいですね。この数倍が泣き寝入りでしょうか。一方では財界や企業サイドがホワイトカラーエグゼンブションの導入などを図ろうとする意図も見えてきます。本当に、我が国の労働現場はやりたい放題ですね。
以下配信記事の転載です。
2006年10月02日 共同通信の配信です
サービス残業233億円
最多の1524社
高水準続く、労基署指導
サービス残業に対する全国の労働基準監督署の是正指導を受け、二〇〇五年度に百万
円以上の不払い残業代を支払った企業は過去最多の千五百二十四社で、総額は約二百三
十三億円と前年度より七億円増えたことが二日、厚生労働省のまとめで分かった。
集計を始めた〇三年度は約二百三十九億円、〇四年度が約二百二十六億円で、厚労省
は「依然、高水準のまま推移している」としている。
サービス残業は長時間労働を招き、過労死の温床になりかねないと指摘されており、
同省は勤労感謝の日(十一月二十三日)に無料電話相談を実施するなど、是正の取り組
みを強める。
厚労省によると、不払い残業代の支払いを受けた労働者数は約十六万八千人で、一人
当たりの平均支払額は十四万円。一社当たり平均支払額は千五百二十九万円だった。
業種別にみると、支払総額では製造業の約六十七億円が最も多く、企業数では商業の
四百六十五社が最多だった。
一企業での最高支払額は約二十三億円(製造業)で、対象の労働者は一万千百人に上
った。次いで金融業で約二十一億円のケースがあった。
厚労省は、指導を受けても支払わないなど悪質な事例は労働基準法違反で書類送検す
る方針で、昨年は全国で五十一社が書類送検された。
同省監督課は「サービス残業への一般の認識が高まり、投書などによる情報提供が増
えている」と話している。電話相談はフリーダイヤル(0120)793283。
タイムカード押し残業も
「まだ隠れてる」と連合
「タイムカードを押してから残業をさせられる」「どんなに働いても残業代は一定時
間で打ち切り」。昨年、連合が実施した不払い残業の電話相談には、こうした事例が相
次いで寄せられた。連合は「隠された不払い残業はまだまだある」とみている。
昨年十一月の三日間、連合が実施した電話相談には約百六十件が寄せられた。卸・小
売業の男性は「会社側の指示で終業時刻にタイムカードを打刻し、毎日午後十一時ごろ
まで残業をさせられている」と打ち明けた。
「実際は月百―百二十時間の残業をしているのに、残業手当は四十五時間分まで」と
相談したのは製造業の男性。不払いの残業代を請求したら「もう来なくていい」と解雇
されたアルバイトら悪質なケースもあった。
連合の田村雅宣(たむら・まさのぶ)労働条件局長は「不払いに気付いていない人が
まだ多いし、気付いていても、我慢してしまう人が少なくない」と話す。
厚生労働省は現在、一定の年収などを条件に「一日八時間、週四十時間」の労働時間
規制を撤廃するホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)の導入を検討中。違法
なサービス残業が根強く残る現状から、労働組合側は「不払い残業を合法化する制度だ
」と警戒を強めている。
サービス残業
サービス残業 賃金が支払われない「ただ働き」の時間外労働。労働基準法は使用者
に対し原則1日8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはならないと、残業を禁止
している。事前に労使間で協定を結んだ場合は残業が例外的に認められるが、使用者が
25%以上の割増賃金を上乗せして支払うことを義務付けている。厚生労働省は200
3年にサービス残業解消のための指針を作成。「重点監督月間」を設けるなど指導を強
化している。
以上