まあどうにかなるさ

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料亭の女将と亭主

2010-02-17 19:02:37 | 過去の出来事

母方の祖母は名古屋では少し有名な料亭の女将だった。
跡継ぎがいないため、店を閉めて隠居したが、96歳まで生きた。
10年ほど前に他界したが、体に良いと思われるようなことは全くしていなかった。
ずっと煙草を吸っていたし、塩辛いものが大好きだった。
ただ、職業柄なのか、よく動いた。
遊びに行って食事を出されると、空いた器はその傍から片付けていく。
ちっとも座っていないおばあちゃんで、よくしゃべる。
母の兄が早くに他界したので、その子供(僕の従兄弟)の父親代わりも勤めた。
料亭を切り盛りするだけのことはあって、祖母は気が強く、少しおっかない。
「こん、たわけの子が!」
子供の頃、僕も容赦なく叱られた。


祖母の旦那、つまり僕の祖父は仕事をしないでぶらぶらしていた。
僕がまだ小さい頃、当時住んでいた伊丹から名古屋へ遊びに行くと、祖母は仕事、祖父は庭の池の横の椅子に座って日向ぼっこをしていた。
祖父は、僕が幼稚園の時に亡くなった。
連れ合いを亡くしても祖母はそれから30年以上生きた。
そんな仕事もしない祖父を母は大好きだった。
知識が豊富でいろんなことを教えてくれたそうだ。
祖母も、祖父が死んでからもずっと祖父の写真を部屋に飾っていた。
僕は祖父の記憶は小さいときのかすかな記憶しかない。


仕事をしないでぶらぶらしていてもみんなから愛された祖父は、いったいどんな人だったのかとても興味がある。
長生きしていれば、その極意を訊いてみたかったなあ~