LUNACY

cygnus' blog

「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」

2024-03-31 22:08:19 | 美術展・博物館

東京都写真美術館

既に知っている写真、観たこともある写真も、いくつかありました。
まず、順路の最初の方で感じたのは、この写真家は、被写体についてのことをとことん勉強なさってから撮影したんだな、と。
キャプションにも展示解説にも何も書いていない。ただ、被写体の背景について想像力をはたらかせられるか?問われている気がしました。
例えば、琉球王朝の歴史とか、永井荷風の作品とか。青木繁の作品とか。
それから、中国での写真も文化大革命の前のものがいくつもありましたよね。貴重。
フランスのパリの写真。解説にあったけれど、低感度フイルムの特性を知り尽くしている写真だと思いました。
なお、展覧会公式作品集には載っていても展示されていない作品もあるので、要注意(というか残念)ですね。
例えば、長崎の浦上天主堂(鉄川与助による建築、原爆投下後で、かつ、壊されて再建される前のもの)とか。
展示替えもない=会期を分けて後半で展示することもないそうです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「君たちはどう生きるか」(映画)

2024-03-10 23:23:39 | 映画
やっと観ました。しかも、東京(下町)大空襲の日。

吉野源三郎の原作からは、だいぶ離れている印象。
ちょっと難解なところもあって、本当ならもう一度観て考えてみたいような作品。
キリスト教のボキャブラリーも引用されていたかな?ノアの箱舟とか、出エジプト記とか。

とりあえず、久石譲の音楽だけでなく随所にジブリのテイストというかモチーフの重ねがあり。
コナンとラナ(或いはパズーとシータ)っぽいカットも出てきましたね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ファイアバード」"FIREBIRD"

2024-02-27 23:03:30 | 映画
シネマジャック&ベティ

プログラムを買っておいたので、これを読んで後で追記するかもですが。

旧ソ連を舞台に同性愛の困難を描いた作品で、現在のロシアを批判しようという制作意図もあるのかな?

ラストのエンディングスクロールが終わった後のあのカット。意味深長だよね。いろんな含意がありそう。

ファイアバードってのは、ストラヴィンスキーの引用だったのか!
不勉強なので、ストラヴィンスキー「火の鳥」をよく知らないのだ。僕がわかっていない、もっと深い引用やアナロジーがキャラクター設定やストーリーにあったのかも。

旧ソ連が舞台のストーリーなのに、映画の台詞が全て英語。僕でもかなり聞き取れて理解できるレベルの。
何かロシア語じゃないと違和感があるなぁ。
それに、実際もそうだったのかもしれないけれども、演劇の引用がシェークスピアばっかりってのも、なんかしっくりこなかった。

音楽。とくにエンディングの曲が好かった。

キャラクター。セルゲイ役はハマっていたよね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン×千住博 モーツァルト オペラ《魔笛》

2024-02-25 18:10:03 | 舞台[その他]

Bunkamura35周年記念公演
ORCHARD PRODUCE 2024
めぐろパーシモンホール 千穐楽
 
この指揮者さんもオーケストラも初めて。
森麻季をまだ聴いたことがなかった&高橋悠介の衣装ということで、これを見逃してなるものかとチケットおさえた次第。
 
千住博の美術と、映像演出について、とくに第2幕については、ハマっていたところもあると思うけれど、ちょっと判断保留。
 
「魔笛」を観ること自体が初めて。
だから、夜の女王のアリアも生で聴くのは初めて。こんな風になるんだ~みたいな。
ストーリーはプログラムも配布されたしちゃんと追えました。
ハパゲーノって、なにげに一番大変な(特にキャラ作り)役だと思う。主役ではない扱いだけれど。
モーツァルトはあまり好きじゃないけれど、アレルギー反応は起こさなかったです(笑)。
 
森麻季の声って、本当に「美しい」って領域なのね。かなり昔にリアルしたSNS友が聴いておけと言っていた意味を理解。
高橋悠介の衣装。プリーツに、やはり、三宅一生の弟子を認識。
 
音楽も、とくに不満はなし。いかにも、今回の舞台と調和が取れている感じ。
マエストロ自ら鍵盤グロッケン弾いていましたね。
 
余談。
大学のとき、第二外国語はドイツ語を選択していた。そのおかげで、いくらか芝居や歌の台詞が聞き取れました。
MutterとかLebenとかLiebeとかFreiheitとかGlucklich(ウムラウト省略許されたし)とか。
いやぁ真面目に勉強しておいてよかったというべきなのか、もっと勉強しておけばもっと理解できたはずというべきなのかはわからんが(苦笑)。
 
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外山啓介ピアノ・リサイタル(2024.2.24)

2024-02-24 21:54:25 | ピアノとクラシック
トッパンホール。
HAKUJUから移動してきてだいぶ経ちますが、毎年この時期恒例になりましたね。

<前半>
ラヴェル:古風なメヌエット
ドビュッシー:ラモーを讃えて(「映像第1集」より)
ラモー:新クラヴサン組曲第1番 (全曲)
<後半>
ショパン:ノクターン第17番 ロ長調 op.62-1
フォーレ:主題と変奏 嬰ハ短調 op.73
ショパン:ノクターン第10番 変イ長調 op.32-2
ショパン:ポロネーズ第7番「幻想」 変イ長調 op.61
<アンコール>
ショパン:子犬のワルツ
シューマン(リスト編):「献呈」

いつものようにアンコールが一番佳かった気がしないでも無いけれど(苦笑)。
ちょっと打鍵ミスがまた増えちゃったかな。
個人的には、ラモーの中盤から後半と、ショパンのノクターン10番が、印象に残ったかな。
「幻想」は慣れてるねという感じ。

それから、プログラムが初めて聴く曲が多く、お勉強になりました。
2曲目と3曲目がラモーで繋がるわけだよね。

プログラムの曲解説は本人筆。
また、仲間内では、衣装?の濃青色のスーツが話題になってましたw。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ほかげ」

2024-01-28 20:12:48 | 映画
ユーロスペース
塚本晋也監督

時間の長さの割に凄い濃密な作品でした。
それは、脚本などもあると思うのだけれども、各キャストの演技の迫真に依るのではないか?と思いました。
戦争の爪痕は、人びとを痛めつけるとつくづく感じさせる作品でした。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ウィンターボーイ」"Winter boy", "Le lyceen"

2023-12-24 21:00:56 | 映画
シネスイッチ銀座
クリストフ・オノレ監督

監督の自伝的作品。
原題の直英訳は"The High school Student"だし、Winter boyって英語として意味なしてなくね? それとも越冬期の少年という意味かな?だとしたらもうちょっと工夫しようよ。

父の死の喪失感と回復の物語。

どうなんだろう?のめり込めた、ないし、共感できた気もするし、そうでもない気もする。
それは、単に、自分がティーンエイジャーの頃にこれほどの喪失体験がなかったからでもあろうし、余計なこと考えている暇もなく走り続けるしかなかったということでもあるのかなと思う。悩めるだけの余裕がなかったというか。その反動として、齢とってから僕がいろいろ拗らせている、取り戻せないことがある、片付けておくべきことが未完であることは認めるけれども。

主人公のアームウォーマーがけっこうかわいらしくてツボかも(笑)。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「シチリア・サマー」"Stranizza d'Amuri"

2023-12-17 12:19:31 | 映画
UPLINK
俳優のジュゼッペ・フィオレッロが監督。

原題はイタリア語だと思って翻訳アプリにかけたら変換できず。シチリア語だそうで、「愛の不思議」といったくらいらしい。

ジャッレ事件という事件がモチーフになっているそうで。結末がそれを踏襲。

同性愛よりも、とにかく若い2人がみずみずしくて眩しい。

シチリアの風景もこれでもかってくらい。

イタリアは家族の結びつきが、とくに母親と息子が強いよね。それも、これでもかってくらい。

残念なのは音楽で、歌が下手だったよね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「キリエのうた」

2023-12-16 23:10:24 | 映画
シネクイント

岩井俊二監督。
見逃すわけにいかなかった。
けれども、公開からだいぶ経ってしまったし、これを書いているのも観てから1週間以上経ってしまった。。。。

原作は、発売されたてに読んでいた。
けれど、ストーリーというかエピソードを、結構、あ、そうだったか、と忘れていたことを復習した感じ。

なんか、過去の岩井監督自身の作品から引用というか重なるところが多かったかな?という印象。
歌やバンドがメインキャラの職業で、映画の音楽担当が、小林武史って、「スワロウテイル」っぽいし。
江口洋介も「スワロウテイル」を思い出させるし。
奥菜恵も、エンディングスクロールで名前がクレジットされるまで気づかなかった(恥)けれど、「打ち上げ花火〜」に登場しているし。
雪景色を広角で撮って、新雪のなかに足アトつけているところとか、"LOVE LETTER"っぽいし。
バレエは、「虹の女神」を思い出させるし。
先輩後輩ネタは、いくつもの作品に使われているし。

松村北斗はヘタレキャラがハマっていたと思う。
村上虹郎が、ことのほかミュージシャンが板に付いていたんじゃないかな。

東日本大震災。
僕としても、実は、僕のなかで整理が付けられていないことを思い出させられた。
岩手県出身なのに何もしなかった・できなかった自分を思い起こすというか。

できれば、もう一度、観ておきたい作品。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『蟻の王』"Il signore delle formiche"

2023-12-04 08:02:42 | 映画
恵比寿ガーデンシネマ

イタリア映画。ブライバンティ事件を元にしたストーリー。
同性愛がまだ公的に迫害されていたころの同性愛者の愛の物語。師弟愛も絡んでいる。
そして、第2次大戦後のイタリア共産党と左翼運動。チラリとイタリアの南北問題。
タイトルは、意訳せずにそのままの訳みたいだね。

いまは、日本が人権問題的に遅れているよなぁと思いつつ。
それでも、いまの日本は、強制?矯正?入院や裁判(教唆罪)などにされなくて済む、気持ちに正直に生きられる度合いの高くなった社会でよかったとも思ったり。

ただ、ひとつ気になっているのが、このストーリー、上流階級のお話だよね?労働者階級のお話ではないよね?そこは見落とさないほうがいいかも。

それから、イタリアでの、映画(含めた)文化人×同性愛×事件となると、どうしても主人公とパゾリーニが重なってしまうかな。


映画のラストに「アイーダ」のラストを被せてきていたけれども、ラダメスとアイーダのように、せめて、あの世では一緒に幸せにということを準えたのかな。
というか、シェークスピアのロミジュリのように、イタリア人には「アイーダ」か愛の物語の手本ということかも。
他に、詩(と朗読)がよく出てくるのも(ヨーロッパの)文化的な背景かなと思う。

キャスト的には、教授の寵愛を受ける若者が新人なのかな。
スザンナ役のおばあさんの演技が好い!
あと、記者役のお兄さんも以前に別の映画で見かけた気がする。

街並みもロケだと思う(しかし、イタリアにはチネチッタもあるからな...)。美しい北イタリアのイメージを崩さない。
音楽もちと過剰気味にも思ったけれど、まぁいいかな。
とにかく、イタリアの映画監督の巨匠たちの影響をあちこちに(雰囲気も含めて)感じました。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする