日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

渋谷 表参道 WOMEN’S RUNにタップリありがとう

2013-03-03 16:16:39 | ふさおまき(オス)日記

夜明け前。

目覚まし時計の音で瞬時に起きられたのは、やはり緊張していたためでしょうか。

32歳でランニングのレースに出場するようになって、120回近くの大会に足を運びましたが、

お手伝いの側に回るのは初めてだからです。

「渋谷表参道 WOMEN’Sラン」説明会には参加したものの、詳細が分かっているわけではありません。

もしランナーから質問されて「更衣室は何処?」「荷物置き場はどこ?」などと聞かれたら返事ができそうにありません。

自分のことを思えば、会場に行って分からないことがあれば、まずは関係者に質問しますし、

そのとき返事のピントがはずれていたら「この大会は準備不足だ」とおかんむりになることでしょう。

そんな心配を助長するかのように、大会本部で手渡されたのが・・・

スタッフトレーナーです。

はーい、分からないことがあったら、私に聞いてくださーい、と体でアピールしているわけです。

もちろん同じトレーナーを着たスタッフは山ほどいますが、参加ランナーは4600人と聞いています。

といって、これを着ていなければ、コース内に立ち入ることはできません。

私に与えられたミッションは「スタートA、B組の整理」です。

この大会のスタートはウェーブ式と言って、A組1600人、B組1500人、C組1500人が

それぞれ、9時00分、9時02分、9時04分と2分ずつずれています。

混乱や渋滞を緩和するためでしょう。

そのために、このたび人生48年目で新しく知ることになった「トラロープ」と言う名前の

黒黄柄ロープをA組とB組の間に張り、ランナーたちのゼッケンを見て、

間違いなくそれぞれの人が自分の組に並んでいるかどうかを確認するお仕事です。

最初スタートゾーンに入ってトラロープを持ったときは、ちょっとどきどきしました。

でも、そこに立ってしまえば、聞かれるのは”Aはどちらですか””Bはこの後ろでいいですか”といった

ことだけ。ほっとして少し余裕が出たころには、もうあらかたのランナーが並んでいました。

代々木公園B地区のケヤキ並木に、女性ランナーばかりが並ぶ海に浮かぶ私。

みんなわくわくした表情です。

なかには大きく手を突き出したり、ダンスステップを踏んでスタートを待つ人もいます。

記念写真をとったり。

走り出す瞬間に向かって、エネルギーを満たす女性たちに、今日は走ることのない私まで

体が振動するような心地です。

きれいだなあ、みんな、いっぱいいっぱい走ってください!

 

そして9時の号砲。

弾けるパワー。

波がうねり、前へ前へと押し寄せていきます。

ぶっ飛ばしていく人はいません。

誰かを押したりかき分けたりすることなく、すっと流れに乗っていきます。

タイム狙いの参加者が少ないからでしょう。

男女が交じっていなこともあるでしょう。

殺気は無いけれど、パワーにはあふれるスタートを見送っているうちに、

私は自然に拍手を送っていました。

 

およそ10分後には4000人が10キロの旅へ出かけてしまいました。

しかし、送り出すだけでは終わりになりません。

渋谷区内で公道を封鎖するのは容易なことではないからでしょう。

コースは折り返し折り返しを繰り返します。

代々木公園を出たランナーは、代々木体育館の周りを回って、

いったんスタート地点に戻り、表参道に向かっていきます。

表参道を246との交差点付近まで行くと折り返し、原宿駅まで戻ると

明治神宮の中を抜け、西参道へと出ます。

そして参宮橋前からオリンピックセンターへの道をはしると富ヶ谷・代々木深町の交差点にかかり左折、

坂を登って代々木公園原宿門近くまで来るとまた折り返して、

スタート地点に戻ってゴールとなります。

このゴールへの誘導がもう一つのお仕事となりました。

 

先頭は38分台で戻ってきました。

さすがに厳しい表情になっています。

計時車が、ゴールに向かう最後のカーブを行き過ぎます。

ここが誘導ポイントです。

箱根駅伝や、先週の東京マラソンでもありましたが、

それまでずっと目の前を走っていた計時車についていってしまい、

ゴールへのカーブを間違えるランナーがいるのです。

疲労困憊、最後の力を振り絞っているときに、視線が捉えたものの先へ

足を進めていこうとするのは、神経の合理性のなせる技でしょう。

だからそんなことが起こらないため、誘導が必要なのです。

 

ここを曲がればあと50mでゴールです。

いいよいいよ、いけてますよ。

応援の気持ちが声にでてしまいます。

もう笑っている人はほんの一にぎり。

エネルギーを出し切って、ゴールへのカーブを切ります。

私はその背中を見つめるだけですが、

きっとその50mの間に、みんなの表情は最後のエネルギーを全て吸い出して

最高の笑顔を花開かせていることでしょう。

 

長距離走のゴールは、だから羨ましい。

最後の力を笑顔にすることができるのですから。

短距離走は、どんなときだって踏ん張った顔をしています。

 

ランニングの友人が声をかけてくれてお手伝いをすることになった、今日の大会。

自分もまたこんな大会に出てみたい、気持ちはそちらに向かっていました。