犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

人身事故

2020-01-16 00:52:44 | 大阪暮らし
 年末から来日していた4女のボーイフレンドのスウェーデン人は、1月12日まで、日本に滞在していました。

 ちょうど成人の日がらみの3連休だったので、私も帰省し、11日の夕食を共にしました。その日はわが家に泊まり、翌日の早朝、娘と一緒に成田空港に向かいます。

「5時52分の電車なんだけど、駅まで送ってもらえるかなあ」

「いいよ」


 しかし、出がけにバタバタし、乗ったのは1本後の、6時6分発急行。

「それにしても早すぎない? 飛行機は11時でしょう?」

「お金を節約するために、スカイライナーには乗らないで、鈍行でいくから」

「なるほど」


 飯能→池袋→日暮里→成田空港という経路です。

 娘からラインの連絡があったのは、電車が出発してから20分後。

「大変! 私たちが乗った電車が人身事故起こした!」

「どこで?」


 「狭山ヶ丘と小手指の間。駅じゃないから、電車を降りられない」


「待つしかないね」

 運転が再開されたのは、約1時間後。急行だった電車は急遽、鈍行に変更されたので、池袋に着くのは相当に遅くなる。

「所沢から西武新宿線で、高田馬場に行って、山手線に乗る。タクシーも考えたけど、あまり時間はかわらない」

「いつごろ空港に着くの?」

「出発の1時間前ぐらいかな?」

「スカイライナーをネットで予約する方がいいよ」

「そうする」


 結局、思っていたのより1本早いスカイライナーに乗ることができ、ボーイフレンドは無事、スウェーデンに向かう飛行機に乗ることができたそうです。

 家を相当に早く出たことが幸いしました。でも、前日に計画していた通り、5時台の電車に乗っていれば、そもそも事故にあうことさえなかったのですが。

 家に帰ってから、娘に詳しい話を聞きました。

「自分が乗った電車が人身事故なんて、初めてだったよ」

「彼も、めずらしい経験したね。でも、飛行機が間に合ってよかった!」


 ボーイフレンドは、娘が一緒だったことでさぞ心強かったことでしょう。一人だったら、臨機応変に電車を乗り換えることもできなかったはずです。

「電車の運転士さん、若い人だったみたい。急ブレーキかけて、最初の車内放送のとき、声が震えてた」

「人身事故、初めてだったのかもね」

「で、『お客様の中に、西武鉄道勤務の方はいらっしゃいませんか?』なんて聞いてた。どうしていいか、よくわからなかったみたい。お客さんはみんな電車が遅れることを怒ってたけど、運転士さんがかわいそうだった」


 娘は、しきりに運転士を気の毒がっていました。

「でも、いちばんかわいそうなのは、事故で亡くなった人でしょう?」

「それはそうだけど」
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