日本語には漢字語の同音異義語が多いので,漢字を廃止してしまうと区別がつかなくなる,とよく言われます。
その事情は韓国も同じ。ただ,音節数が日本語の10倍以上多い(子音=パッチムで終わる音節があるから)ので,同音の漢字は日本語よりは少ない。それでも,同音異義語はある。
今までも,シジャン(市場/市長),サグ(四球/死球),ソス(小数/素数)などの例を紹介したことがあります。ハングルで書かれても文脈によって明らかな例もあるけれど,ときどき日本語に訳すときに困ることがある。
たとえば,今回の南大門火災関連のニュース。2月13日のハンギョレ新聞の記事です(→リンク)。
見出しの冒頭,「チェゴ」は,最高か最古か? たぶん最古でしょうね。
最古の木造建築鳳停寺極楽殿「夜間バンファ無防備」
この「バンファ」は「放火」なのか「防火」なのか。冒頭の
「国宝」という言葉にふさわしくなく,全国主要木造文化財のバンファ施設は一般住宅にも及ばないほど不十分このうえない所が多かった。
の「バンファ」は,たぶん「防火」だから,見出しも「防火」かな,と思うと,中間部分には
閉回路TVをはじめとする無人警備システムも,夜間警備員もない。僧侶も4人だけだ。 安東消防署コ・シド防護課長は「木造の建物の火災は初期5分が最も重要で,自前の消防施設を至急補強しなければならない」,「鳳停寺は今回の南大門のような夜間バンファには事実上無防備な状態」と語った。
どうも,この文脈では「放火」のような気がする。じゃあ,見出しのバンファもやっぱり「放火」?
さすがにこの例は,意味がほぼ正反対なので国立国語院も問題だと感じたらしく,たとえば「防火対策」は,「プルチョシム(火の用心)対策」に言い換えようとしています。
でも,「防火服」を「火の用心服(プルチョシムボク)」と言うわけにはいくまいに。
その事情は韓国も同じ。ただ,音節数が日本語の10倍以上多い(子音=パッチムで終わる音節があるから)ので,同音の漢字は日本語よりは少ない。それでも,同音異義語はある。
今までも,シジャン(市場/市長),サグ(四球/死球),ソス(小数/素数)などの例を紹介したことがあります。ハングルで書かれても文脈によって明らかな例もあるけれど,ときどき日本語に訳すときに困ることがある。
たとえば,今回の南大門火災関連のニュース。2月13日のハンギョレ新聞の記事です(→リンク)。
見出しの冒頭,「チェゴ」は,最高か最古か? たぶん最古でしょうね。
最古の木造建築鳳停寺極楽殿「夜間バンファ無防備」
この「バンファ」は「放火」なのか「防火」なのか。冒頭の
「国宝」という言葉にふさわしくなく,全国主要木造文化財のバンファ施設は一般住宅にも及ばないほど不十分このうえない所が多かった。
の「バンファ」は,たぶん「防火」だから,見出しも「防火」かな,と思うと,中間部分には
閉回路TVをはじめとする無人警備システムも,夜間警備員もない。僧侶も4人だけだ。 安東消防署コ・シド防護課長は「木造の建物の火災は初期5分が最も重要で,自前の消防施設を至急補強しなければならない」,「鳳停寺は今回の南大門のような夜間バンファには事実上無防備な状態」と語った。
どうも,この文脈では「放火」のような気がする。じゃあ,見出しのバンファもやっぱり「放火」?
さすがにこの例は,意味がほぼ正反対なので国立国語院も問題だと感じたらしく,たとえば「防火対策」は,「プルチョシム(火の用心)対策」に言い換えようとしています。
でも,「防火服」を「火の用心服(プルチョシムボク)」と言うわけにはいくまいに。
燃えた崇礼門の廃材や瓦をすてるとは…
瓦なんて使えるものがあるかもしれないし…廃材も貴重な資料となる
アホか
文化庁が国宝だから慎重に鎮火をするよう。
消火活動を阻止したから余計燃え広がってしまい
国宝を守りたいなら優先順位が違う
というコメントを見ましたが
今回はその通りだと思いますが、いかがですか?
火災当日のメール連絡,ありがとうございました。
犬鍋さんもどこかで触れていた本だと思いますが、「漢字と日本人」(高島俊男)のなかで 排外思想 と 拝外思想 という例を取り上げています。高島氏の文脈から言うと排外思想という用語があって、あえて同音の反意語 拝外思想 を造ったらしい。どこか言葉遊びの要素があるようです。
日本語の場合、はなし言葉で文脈からも意味が紛らわしいときは、おしひらくの排外とか おがむの拝外とかことばを足して混乱をさけるようにしていると思います。
韓国では文字から漢字をなくす以上、同音語の場合別のことばを考える以前に誤解をさける方法はないのでしょうか。
しかし、記者も記事を読み直して読者がどう読むか配慮しないのか不思議ですね。記事を書いているとき「防火」ということばがまったく頭になかったのでしょうかね。
コメント,ありがとうございます。
拝外と排外は,韓国語でも同音異義語ですね。
辞書の用例は,
拝外が「拝外風潮/拝外精神」,
排外が「排外運動/排外感情/排外的政策」
熟語単位ではどっちでも成り立つような気がします。
やはり,文脈で判断するしかないのでしょう。
漢字の「意味」をつけて区別するというのは,あまり行われないようです。ほとんどの人は,漢字の「意味」を暗記していないので,通じないからでしょう。
このブログで取り上げたことがある,「連覇/連敗」は,日本語では音が異なりますが,韓国語では同音。
排出/輩出は,日韓で同音です。
高島さんの本で,「高校/孝行」の例があったと記憶しますが,これは日本語ではアクセントが違うので,誤解することはないでしょう。
先日、河村官房長官のインフルエンザについてのコメントで新聞によって単語が異なる。
日経:収束(に向かって)
朝日他:終息(の方向)
意味が微妙に違うという指摘。
韓国語では文字と発音で区別が付きますね。
私は「収束」を支持します。
ところで,盧武鉉氏や核実験の影に隠れていましたが,韓国のインフルエンザはいつのまにか40人になっているようです。
終息じゃなくて蔓延ですね。