犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

火の用心

2008-02-17 01:36:46 | 言葉
 韓国語の初心者で,ハングルを覚え,発音だけはできるようになったけれど,単語はよく知らないというレベルの人が,韓国に観光旅行に行って,食堂に入り,壁にぶらさがっているメニューを当てずっぽうで注文した。

プルチョシム ジュセヨ 
불주심 주세요.
(火の用心ください)

という笑い話がありました。

 このチョシムという言葉,実は漢字語で,「操心」。

 心を操る → 落ち着いて考える → 気をつける

ということなんでしょうか。

 ところで,香港で見た看板に,

小心地滑

というのがありました。

「地滑りが恐くてびくびくしている」

という意味ではなくて,

「すべりやすいので気をつけて」

ということだそうです。

 中国語(広東語?)では,「小心」が「気をつける」という意味なのだそうです。
「小心」を韓国語読みするとソシム。操心(チョシム)と発音が似ています。関係があるのでしょうか。

 ただ,韓国語で「すべりやすいので気をつけて」を表現するときは,

ミックロム チョシム

というより,

ミックロム・チュウィ(注意)

のほうをよく見ます。

 ミックロムは,ミックロプタ미끄럽다 (滑る)という形容詞の名詞形。

「滑りに注意」

 日本語だと,婉曲に,

「足元にご注意ください」

となるでしょうか。

 ところで,「滑る」に関して,前に韓国人に聞かれて答えられなかったこと。

「雨で道が滑る」

という日本語はおかしいのではないか。滑るのは足だから,主語は足になるべきで,「足が滑る」というべきではないか。

 うーん。理屈のうえではそうかもしれないけれど,「道が滑る」でちっとも不自然じゃないんだけれど…。
 というより,「雨で足が滑る」なんて,ぜったい言わないんだけど…。

 このあたりのことは,国語辞書を引いてもよくわからない。この場合の「滑る」は,形は動詞だけれども,意味的には形容詞で,道の状態を表すのだ,というような説明をしました。

 これに類した用例を載せているのは,三省堂国語事典。

すべる③〔その位置から〕思わず足がはなれてころびそうになる。「ゆかがすべる〔=すべりやすい〕」

「違う」もそうですが,日本語には形(活用)は動詞だけれど,意味的に形容詞という言葉がいくつかあるようです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金正日の生日 | トップ | とんでもないハラボジとハルモニ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

言葉」カテゴリの最新記事