犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

日韓併合100周年

2010-01-03 23:46:17 | 韓国雑学
 2010年は,日韓併合100周年なのですね。

 「韓国併合条約」が結ばれたのが100年前,1910年8月22日。

 一方,朝鮮戦争が勃発したのが1950年6月25日なので,こちらのほうは60周年。60という数字は「還甲」を表し,これも重要な節目です。

 このような節目を迎え,東亜日報が世論調査をしたという記事がでていました。(→リンク

反日感情和らいだ 韓国併合100年・国民意識調査で浮き彫りに

 
日本に対する韓国国民の否定的な認識が5年の間にかなり緩和した反面、北朝鮮に対する否定的な認識は多少増えたことが分かった。
 今年、韓国戦争勃発60年と日本による韓国併合100年を迎え、昨年12月29日、東亜(トンア)日報がコリアリサーチセンター(KRC)に依頼して全国の成人男女1000人を対象に実施した世論調査の結果、「日本が嫌い」という回答は35.9%で、「好き」という回答10.8%よりも約3倍多かった。「どちらでもない」という留保的な回答は52.0%だった。05年3月に本紙が朝日新聞と共同で実施した世論調査で、「嫌い」という回答が63.4%だったのに比べて、反日感情がかなりやわらいだ。
 李明博(イ・ミョンバク)大統領が昨年9月、メディアのインタビューで提案した日王の訪韓問題についても、「韓日関係が以前とは違っており、訪韓しても問題ないと考える」という肯定的な意見が64.2%で、「韓国国民の感情上、日王の訪韓は時期尚早」という否定的な意見31.1%よりも多かった。
 北朝鮮に対する認識に関する質問には、9.2%が「好き」と答え、33.8%は「嫌い」と答えた。05年3月の調査では、「好き」が26.8%、「嫌い」が26.3%だった。
 (中略)
 今回の調査の信頼水準は95%、標本誤差は±.1%。

 これによれば,5年前の調査と比べ

日本が嫌い 64.3% → 35.8%
北朝鮮が嫌い 26.3% → 33.8%

 「日本が嫌い」という回答が大幅に下がっています(それでも「好き」の3倍だが)。

 普通,これだけの劇的な変化があれば,それなりの分析があってしかるべきなのに,この翻訳記事にはそれがない。それで,
韓国語の記事を探してみました。(→リンク

[対日関係]

「天皇の訪韓かまわない」 64.2%

「気持ちのうえで時期尚早」 31.1%
「過去の歴史について納得できる謝罪を」 32.3%
「日本が賠償問題を再検討すべき」 5.3%


 「歴史が残した澱はあいかわらずだが,率直な謝罪があれば隣国として受け入れたい」。今回の調査に表れた日本に対する韓国人の意識はこのように要約できる。
 日本に対する好感度を問う質問に、回答者の52%は「好きでも嫌いでもない」と答えた。「日本が嫌い」は35.9%、「好きだ」は10.8%だった。
 「日本が嫌いだ」が「好きだ」より依然として高いが,5年前の調査と比べると反日感情が相当に緩和されたことがわかる。2005年3月に実施したアンケートでは「日本が嫌い」という回答が63.4%だった。
 今回の調査で、日本に対する肯定的な回答は20代以下(18.1%)、学生(19.2%)などで相対的に多かった。年配の世代に比べ、アニメなどの日本文化に親しんでいるからだと思われる。否定的な見方は男性(40.0%)、50代以上(44.1%)、ブルーカラー(41.0%)、農林漁業従事者(49.8%)が多かった。
 韓日間の歴史問題を解決するための方策としては「韓国民が納得できるような日本の謝罪が必要」という回答が32.3%で最も多かった。続いて「歴史認識を一致させるための両国の共同研究」(29.1%)、「両国民間の幅広い交流」(20.3%)、「韓国民の対日意識改善」(6.8%)、「日本の賠償問題再検討」(5.3%)の順だった。
 5年前の調査で同じ質問を投げかけたとき,「日本の賠償問題再検討」は23.9%で「日本の謝罪」に続いて2位だったが、今回は一番下に下がった。経済的補償より根本的な和解と相互交流を通じた歴史の見直しなどを要求する声が大きくなったものと見られる。
 国民は日王(=天皇)の訪韓についても柔軟な態度を見せた。「訪問しても問題ないと思う」は、肯定的回答が64.2%で最も多かった。 「国民情緒上時期尚早」という回答(31.1%)より2倍以上多かった。
 「問題のない」という回答は20代以下(70.3%)、自営業者(71.2%)、学生(69.0%)、ハンナラ党支持層(69.3%)において特に高かった。「時期尚早」との見方は、30代(39.5%)、農林水産業従事者(39.6、%)、民主労働党支持層(38.2%)において多かった。
 李大統領は昨年9月、マスコミとのインタビューで「天皇の訪問が来年実現できれば、両国にとって大きな意味があるのではないか」と述べ、今年天皇が訪韓することを提案した。


 うーん。

 韓国語の
記事を見ても,この5年間に対日認識が大幅によくなった理由はよくわかりません。
 わずかに,日本に肯定的な回答が若い世代に多かったことについては,「
年配の世代に比べ、アニメなどの日本文化に親しんでいるから」という推測が述べられている程度。でも,この5年間で日本文化開放が急速に進んだということもないでしょう。

 ブルーカラーや農林水産業従事者に否定的な回答が多いということは何を意味しているんでしょうかね。天皇訪韓について肯定的回答が20代,大学生,ハンナラ党支持者に多く,「時期尚早」が30代,農林水産業従事者,民主労働党支持者に多い,という分析も,何をいいたいのかよくわからない。

 韓国語の記事には,アンケート結果が図表になっている。それをよく見ると,2005年の調査というのは,「2005年3月4日~31日面接調査」とあり,今回の調査は,「12月29日電話調査」とある。

 どうも,同じ条件で行われた調査ではないようです。「面接調査」と「電話調査」で,どのような違いがでるのか,専門家ではないのでわかりませんが,素人考えでは,「面接調査」のほうが建前的な意見を述べる傾向があるんじゃないかと思います。
韓国では,「日本にたいしては強硬意見を言うのが愛国的,かっこいい」という意識があり,街頭インタビューや顔をつきあわせて行われる面接調査では,本心以上に「対日強硬意見」がでやすい…。

 でもそれだけでは,今回の64.3%と34.8%という大きな違いを説明する理由としては弱い。

 もしかすると,アンケートの直前に「対日意識」に大きな影響を与えるような事件が起きていたのでは?

 昨年の調査日の直前には,特に「対日意識」を改善させるような事件は思い当たりません。

 では,2005年3月に何が起こったか…。

 ありました,ありました。

 2005年3月16日,島根県議会「竹島の日を定める条例」可決(→リンク)。

 この年は,1905年,日本政府が竹島領有を閣議決定したときから「100周年」だったのです。

 日本に対する抗議は,その前の月の2月23日,島根県議会議員(定数39)の超党派の35人がこの法案を「議員提出」したときから始まり,16日に法案が通過するや,全国民的規模で燃え広がりました。

 地方自治体は相次いで「姉妹都市」を解消,民間交流中止。修学旅行の受け入れ拒否。閑古鳥が鳴いていた「独立記念館」の入場者増加。ネチズンは「日本との断交」を叫ぶ…。

 2005年のアンケート調査は,このような異常な雰囲気のただ中に実施されていたわけです。

 そのような背景に言及することなく「この5年間で反日感情が和らいだ」とは…。

 いつもながらのことですが,韓国の新聞記事の分析力の浅さにはあきれます。

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4 コメント

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三等国家日本、天壌無窮韓国 (馬齢)
2010-01-07 09:25:17
明けましておめでとうございます。

犬鍋さんがあきれた、
「韓国の新聞記事の分析力の浅さ」
は、
実は、確信犯の常套的手口で、決してチョウセン人ジャーナリストに分析力が欠如しているのではない、これが小生の見方です。

昨日の中央日報のコラムですが、

「日本に学ぶ」30年・・・日本、三等国家に!

なる一文がありました。
筆者は同紙外交安保デスク・呉榮煥です。
凡そ、本文とは懸離れたタイトルです。
これが<朝鮮的【惹句】>なのでしょう。
チョウセンジャーナリズムは、臆面もなく<羊頭狗肉>の売文稼業に精を出すのが習い性なのでしょう。
つまり、チョウセンジャーナリズムの本義は、<愚民を如何に煽るか>であり、<真実は奈辺に在るか>では飯は食えない、なのであります。言えば釣り師なのであります。

同日の<朝鮮的惹句>をもう一つ。

<韓国の潜在力は【無窮無尽】だ>

大東亜戦争聖戦中の新聞も顔負けです。
そういえば、<天壌無窮>もありました。
韓国は史上稀に見る経常収支の黒字だそうで、外貨保有高も史上空前とか。ウォン安の賜物。1970年代のウォン・円は、200ウォン弱=100円くらいだったと思います(妓生との交歓費用は体感的には1万ウォン=百円だった)。
この40年間で6~7分の1にウォンは切り下ったことになります。経常収支が大黒字になるのは当然でしょう。が、決して自慢にはならない。
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馬齢? (AmIAHO)
2010-01-08 16:28:12
無礼な奴だな。

犬鍋同志のブログは楽しみだが、こんな不快な輩が出入りするゴミ箱になってしまうのか。
返信する
三等=第3位 (犬鍋)
2010-01-09 09:14:39
記事内容は,日本がGDPで第三位になったこと。

見出しは「三流国家」を示唆する。

文句をいわれたら,「第三位」の意味で使ったのだと言い訳する。たくみな掛け詞ですね。

無窮無尽のほうは,記事内容も韓国の自画自賛のオンパレード。内容に問題はあるが,見出しとの整合性はとれているようです。

今年もよろしくお願いします。
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AHO師匠 (犬鍋)
2010-01-09 09:19:05
馬齢さんは,AHO師匠と立場は正反対かもしれませんが,毒舌とブラックユーモアはいい勝負だと思いますよ(笑

ま,このブログ自体,思い出話のゴミ箱みたいなものですから。

基本的に,自動送信とおぼしき意味なしコメントや露骨な広告を除いて,コメントの削除は行っていません。

論戦,罵倒合戦もケンチャナヨです。
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