大阪では、ときどきインドネシア料理の店に行きます。
その中でも通勤途中にある中津のバグース(すばらしいという意味)に行くことが多い。
この日も仕事が終わって一人で行きました。
カウンターで銀杏のチップスをつまみに生ビールを飲んでいると、となりに東南アジア系の青年が座りました。インドネシア人のようです。店主とインドネシア語で話しています。よく聞き取れませんが、この店には始めてきた様子。話しかけてみると、日本語も上手でした。
「留学生ですか」
「いえ、働いています」
「技能実習生ですか」
「そうです。池田にある工場で働いています」
今話題の技能実習生でした。ニュースでは、すごい低賃金で働かされているという話をよく聞きます。
「給料はいいですか」
「まあまあです。月10万円ぐらい」
10万円をまあまあといえるかどうか。
「足りますか」
「家は会社の寮だし、電気や水道も会社が払ってくれます。食事は自分で作りますから」
「職場にインドネシア人はいますか」
「はい、8人います。いっしょに住んでいます」
「同じ部屋で?」
「いえ、部屋は一人ひとり別です」
「技能実習生になるのには、お金が必要だったでしょう」
ニュースでは、仲介業者に大金を払って、借金をしている実習生が多いらしい。
「はい。高校を卒業して、二年間貯めたお金で払いました。借金はしていません」
彼は22歳。五人兄弟の長男で、下に弟2人、妹2人がいるそうな。
「インドネシアにお金を送るんですか」
「はい」
「たとえば3万円送ると、インドネシアでは何が買えますか」
「そうですね。バイクが買えます」
「バイク? そんなに安いんですか? 中古?」
「いえ、新車です。でも最新型じゃなくて、5年前ぐらいのモデルなら」
「いつもいくらぐらい送るんですか?」
「この前は17万円送りました」
「じゃ、バイクが5台買えますね」
インドネシアのご家族は、この長男を頼もしく思っていることでしょう。
彼がたまたま恵まれているのか、マスコミで報道されている事例が偏っているのか。技能実習生にもいろいろあることがわかりました。
「いつまで日本にいるんですか?」
「来年の7月です」
「それまで一生懸命働いて、たくさん稼いでくださいね」
「はい、頑張ります」
追加で頼んで一緒に食べた鶏のココナツソース煮(料理名は忘れました)は私が払い、ラインのアドレスを交換して別れました。
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