犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

新大久保コリアンタウン

2007-08-17 08:49:19 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)

 韓国では光復節の8月15日,新大久保のコリアンタウンにでかけました。

 知り合いとの待ち合わせ時間より1時間ほど早く来て,歌舞伎町からコマ劇場裏,さらに職安通りへ向いました。

 異常な残暑,汗がだらだらと流れます。

 あるある,ハングルの看板が。

 ドンキホーテの脇の道,妻がよくソウル駐在時代のお仲間と行くという,オジャッキョ(烏鵲橋)。「烏と鵲の橋」とは,韓国版七夕伝説で,年一回,織り姫と彦星を逢わせるために,カラスとカササギが天の川にかける橋のこと。ちなみに韓国語で天の川は,ウンハス(銀河水)と言います。かなり大規模なお店ですね。総合韓国食堂という感じで,あらゆる韓国料理が揃っています。

 その手前にあるのが「韓国食堂」。これは,15年前にもあった。そのまんま韓国の食堂です。

 それ以外にも,韓国家庭料理,カムタン,パジョン…。さまざまな韓国料理が並んでいます。

 通りの向かい側にあるのが,ジャントという名前のスーパー。韓国語で「市場」を表す固有語ですが,漢字で「韓国広場」と書かれてあった。
 中に入ると,韓国語が飛び交う。店員はもちろん,客の大部分は韓国人のようです。子ども連れがいるのは,日本に駐在している韓国人家族が,本場の韓国料理を食べるついでに,韓国食材を仕入れていこうということか。

 品揃えも豊富。韓国直輸入のキムチ,ラーメン,のり,酒,その他調味料の数々。
 チャミスルが340円というのは,それほど暴利ではない。韓国のスーパーでは1200ウォンぐらい。今のレートで160円ぐらいでしょうか。2倍というのは致し方のないところでしょう。
 不思議なのは,韓国では同じ値段のチョウムチョロムが360円で20円高いこと。おもわずチャミスルを2本買ってしまいました。

 ところで,今日の夕食は韓国料理じゃないんですね。

 エスニック料理の不毛地帯,韓国から帰ったからには,少しエスニック料理のレパートリーを広げようということで,エジプト料理に挑戦することに。

 知る人ぞ知る名店?ルクソールというお店。
 お盆のど真ん中だというのに,店は予約のお客さんで一杯。それもそのはず,今日は,ベリーダンスの公演がある曜日なのだそうです。

 メニューは皆目わからないので,基本的なコースメニューにして足りなければ追加するという方針。ビールは,回教国エジプトに国産ビールがあるわけもなく,イスラエル産のビールを頼みました。

 豆腐とヒヨコ豆の入ったサラダに,白身魚のあん掛け風,肉(鶏)の串焼き料理。量は充分です。韓国料理に慣れた舌には,やや刺激が足りないかなという気もしますが,よく知らない香辛料の入った,エスニックな味です。

 料理は,充分に時間をかけて出てくるのがうれしい。

 肉料理が出たころに,始まりました,ベリーダンスが。

 VERY DANCE?

 とてもダンス? 

なわけないよね。

 聞けば,このbellydance,ここ数年,日本でブレイクし,今や人気のダンス,ベスト3に入っているとのこと。トルコなどアラブ世界のハーレムで踊られていた,伝統的なダンスだそうです。

 エジプト女性とおぼしきアガシが,セクシーな衣装を身にまとい,オリエンタルな音楽にあわせて体をくねらせる。腰を小刻みに震わせているのが妖艶です。

 そのうち,近くのお客さんの手を取って,一緒に踊ったりし始めた。お客さんは次から次へと誘われる。どんなダンスを踊っても盆踊りになってしまう私は内心ひやひやものでしたが,奥まった席に座っていたので難を逃れました。

 外界と遮断された空間の中で時間が経つ。

(もう一軒,行く店があるんだけどなあ)

「これから,ご飯ものとデザートがありますよ」

 出てきたのはエジプト風カレー(?)でしょうか。パエリヤとも違い,これまたエキゾチックです。
 しかし,きわめつけはなんといっても最後に出てきたデザート。

「デザートはケーキにしますか,水煙草にしますか?」

(ミ・ズ・タ・バ・コ?)

「それって,食べ物なんですか」

「いえ,煙草です」

「煙草がデザートなんですか?」

「ええ,アラブの人はデザートだと言い張りますね」

 愛煙家の私が水煙草を注文したのは言うまでもありません。

「味はいかがいたしましょう」

(???)

 メニューを見ると,メロンとかオレンジとかミントとか,いかにもデザートっぽいトッピングが並んでいる。

「じゃ,レモンとジャスミン」

 出てきたのは巨大な煙草の器械。コーヒーのサイフォンを巨大にしたようなものの上に,ランプ状の器が乗っていて,一番うえには炭火が置かれている。下のほうから,長いホースが出ていて,その先に吸い口がついている。炭火で燃やされた煙草の葉から出る煙を,水にくぐらせて吸うようです。
 煙草には,さっき選んだフレーバーが添加されているらしく,吸ってみると確かに煙草だ。

 普通の煙草と違って,かなりの時間,吸えるのがうれしい。

「さて,そろそろ計算,じゃなかった御勘定お願いします」

 これまたスローモーなお勘定を済ませて店を出ると,時刻は11時近い。

(急がなくちゃ)

 実は,韓国で知り合った韓国人のお姉さんが,歌舞伎町でバーをやっているというので,今日,訪ねてみようと思っていたのです。場所はすでに確かめてあったので,最短距離を早足でお店に向かいます。
 途中,電話をかけてみると

「おかけになった番号は現在使われておりません」(えっ,どうして?)

 バーが何十軒と入った雑居ビルの5F,たどりついてみると店のドアに貼り紙が。

「もうしわけございませんが,7月13日をもちまして閉店させていただきます」

(……)

 人生いろいろ,何か事情があったのでしょう。

 まあ,そのおかげで西武線終電に余裕で間に合ったのですが…。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 幻の三中井百貨店 | トップ | 李箱と三越百貨店 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ニアミス (misuk)
2007-08-17 15:46:00
やっぱり!
帰国記事なのに、とてもそうは思えないユニークさ。
新大久保で犬鍋さんとニアミスするとすれば韓国広場くらいでしょうか・・・(笑)

「三韓昔がたり」を読み始めました。どの本も巻末解説を先に読むタイプなのですが^^;すでに著者の思いに触れてグッと来ています。
返信する
韓国広場 (犬鍋)
2007-08-18 09:35:01
よく行かれるんですね。

>「三韓昔がたり」

もうお読みかもしれませんが,田中明の「物語韓国人」もお勧めです。いにしえの日韓人の共通性に気づかされます。
返信する
ありがとうございます (misuk)
2007-08-18 21:58:49
金素雲氏の詩の方にも興味がわきました。
犬鍋さんの紹介がなければ読めなかった本や、読んでよかったと思える本ばかりです。

「物語韓国人」も次に読んでみます。感謝感謝。^^
返信する
金素雲氏 (犬鍋)
2007-08-18 22:57:43
に関しては,いずれまたアップします。

明日より一週間,出張なので,更新ペースは再び不定期になります。
返信する

コメントを投稿

日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)」カテゴリの最新記事