大阪出張の帰路、品川から母の家に行く途中で雑色のミャンマー料理店、ジレゾミに行きました。前にランチで一度行って(→リンク)、今度は夜来ようと思っていたのですが、なかなか行く機会がありませんでした。
店に入ると、客はなし。この日は奥さんもいました。
「久しぶりですね。夜来るのは初めてです」
「ああ、ミャンマー語を勉強してるっていう…」
「とりあえず生ビールください」
「あの、それが…」
「あ、生は品切れですか」
「いえ、実はお酒、出さないことにしたんです」
「!? なんでまた?」
「もともと私は宗教上の理由で飲まないので、お酒なしで店始めたんですけど、お客さんがどうしてもというんで、置くようになったんです。でも、置いてみると、焼酎の銘柄とかいろいろお客さんに聞かれるし、よくわからないし、やっぱりやめようということになって…」
「困ったなあ。ビール飲みにきたんだけど」
「じゃ、外で買ってきてもちこんでもいいですよ」
ご主人の言葉に甘え、近所のコンビニで500ミリ缶を二つ買ってきました。
ミャンマーカレーを食べながら、ご主人と話すうち、ご主人が同じ歳であることが判明。前回来たときは、一つ下だと勘違いしていましたが、同じ年の同じ月生まれでした。
「学校は、ミャンマー語だったんですか」
「いえ、私の育った町ではチン語でした。ミャンマー語の授業もありましたが、外国語みたいなもんで」
「大学までですか」
「大学はミャンマー語ができないと入れません。だから、大学に行こうとする人は、それに備えてミャンマー語の学習に力を入れます」
「日本に来るきっかけはなんですか」
「ミャンマーにいても、大学が民主化運動弾圧で閉鎖されて勉強もできないし、仕事もないし。特に少数民族は。それで、アメリカに行きたいなあと思っていたんですけれど、アメリカにはだれも知り合いがいなくて。日本にいた叔父が、日本に来いと勧めてくれたんです」
以来、二十年。最初は言葉が通じず、いろいろな飲食店で厨房の下働きをしているうち、料理を覚え、自分の店をもったのが2年前。
熱心なクリスチャンで、宗教的な信念に従って、お酒の販売を中止。
「お勘定、お願いします」
「600円です」
(!!!)
たしかにミャンマーカレー一品しか頼んでいないから、その値段ですが、ビール2缶を持ち込んだりして申し訳ないので、主人が固辞するも、無理やり1000円置いてきました。
お酒やめちゃったら、売上が下がっちゃうだろうに。損得とは別の価値観で生きているのでしょう。
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