犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

英語のput onは日本語で…

2025-03-04 22:41:57 | 言葉

図版:韓国語学習サイトより


 最近、ボランティアで教え始めた日本語教室では、そのときどきで先生と生徒の組み合わせが変わります。

 先生も生徒も、来たり来なかったりするからですね。

 これまで数回、東野圭吾の小説をいっしょに読んだ中国人女性は欠席。

 今回の私の生徒は、Jさんというアメリカ人の若者でした。公立中学でALTをしているそうです。日本に来てまもなく1年。片言の日本語をしゃべります。

 日本語教室に備えてある『みんなの日本語』を使って教えます。

 文型としては複文の練習なのですが、着用の動詞がいくつか出てきた。

例題:着物(渡辺)→着物を着ている人はだれですか。渡辺さんです。

「じゃあ、やってみましょう」

①赤い靴(林)

→赤い靴
着ている人はだれですか。

「靴は「着る」とは言いませんよ」

「えっ、そうなんですか」

「靴は「はく」です」

「知りませんでした」

「これは何ですか」

 Jさんのズボンをさします。

「ズボンです」

「ズボンも「はく」です。靴下も。腰から下のものは「はく」です。じゃあ2番」


②赤いネクタイ(鈴木)

→赤いネクタイを
着ている人は…

「ネクタイは「しめる」です」

「しめる?」

「しめるは長いものに使います。ネクタイとかベルトとか…」

「へぇ」

「こうやって人を殺すときも…」


 Jさんの首をしめるまねをします。

「ハハハ」

 Jさんは、「身につける」はすべて「着る」だと思っていたようです。

 まあ、英語は全部 put on ですからね。

 そのほかに、メガネをかける、帽子をがぶるの練習をしました。

 また「着る」はput onなのに「着ている」はwearというのも難しいらしい。

「~ている」は進行と状態の二つの用法があります。

「着物を着ている」は、今、「着る」という動作が進行している(putting on)ではなく、着た状態が持続している状態(wear)を表します。

 1時間半ほどいろんな練習をして、最後のそれぞれの生徒が、この日習ったことを一人ずつ発表します。

 Jさんは、その日に身につけていたものを日本語で言いました。

「黒いジャケットを着ています。
黒いメガネをかけています。
茶色のズボンをはいています。
青い靴をはいています。
ネクタイはしめていません」


 初級の生徒を教えるのも面白いなと思いました。

 ちなみに、韓国語も何を身につけるかによって動詞が違うという点で、日本語と似ています。

服とズボンは同じ動詞でイプタ입다、
メガネと帽子はスダ쓰다、
靴と靴下はシンタ신다、
ネクタイはメダ매다

中国人女性と読む東野圭吾


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 角野隼斗~不確かな軌跡 | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

言葉」カテゴリの最新記事