犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

文在寅大統領退任演説(全文)

2022-05-09 23:59:58 | 韓国雑学
 5月9日10時に中央日報にアップされた演説文(リンク、韓国語)を拙訳で紹介します。

 尊敬する国民の皆さん、

 大統領としての重い肩の荷を下ろします。

 これまで過分の愛と支持で声援してくださった国民の皆さんに、限りない感謝の言葉を申し上げます。

 私は今、平凡な市民の生活に戻り、すべての国民の幸せを願って、成功する大韓民国の歴史を応援するつもりです。

 これまでの5年間は、国民とともに激動する世界史のただ中で、繰り返される国家的危機を克服してきた時期でした。

 大変でしたが、わが国民は危機の前で一つになってくれました。

 大韓民国は危機の中でさらに強くなり、より大きな飛躍を遂げました。

 大韓民国の国家としての格も高まりました。

 大韓民国は今や先進国、トップランナーになりました。

 わが国民は本当に偉大です。

 私にとって、偉大な国民とともにあったことが、これ以上ない誇りです。

 私の退任の辞は、偉大な国民に捧げる献辞です。

 国政壟断事件で憲政の秩序が崩れたとき、わが国民は、最も平和的で文化的なろうそく集会を通し、そして憲法と法律が定めた弾劾という適法なプロセスにより、政府を交代させ、民主主義を再び打ち立てました。

 全世界が韓国民の成熟した姿に讃嘆しました。

 わが国民は、危機に直面した世界の民主主義の希望となりました。

 国らしい国を求めたろうそくの広場の熱望に、わが政府がどれほど応えられたかを思うと、粛然とした気持ちになります。

 しかし、わが政府が完全には果たせなかったとしても、国らしい国に対する国民の熱望は決して歩みを止めないでしょう。

 ろうそくの念願は、依然としてわれわれの希望であり、原動力として、よみがえることでしょう。

 わが国民は、平昌冬季五輪を平和五輪として成功させました。

 世界があらためて大韓民国に熱狂しました。

 任期の初めから高まっていた韓半島の戦争の危機的状況を、対話と外交の局面に転換し、平和と繁栄の新しい韓半島の時代への希望をふくらませました。

 それ以上前に進めなかったのは、われわれの意志と努力が足りなかったというだけではありませんでした。

 一方に、われわれの意志だけは乗り越えがたい障壁がありました。


 われわれが越えるべき壁です。

 平和はわれわれにとって生存の条件であり、繁栄の条件です。

 南北の間で、対話の再開とともに、非核化と平和の制度化のための努力が続けられることを切に願っています。

 日本の不当な輸出規制による危機を、全国民の団結した力で克服したことも、決して忘れられません。

 わが国は、これを素・部・装(素材・部品・装備)自立の機会とみなし、素・部・装産業の競争力強化は、製造業の競争力強化につながりました。

 わが国が、コロナ19による世界景気の沈滞の中で、史上最大の輸出実績を上げることができたのも、わが国の製造業が持つ世界的な競争力のおかげでした。

 何より良かったのは、われわれが問題解決成功の方法を知ったことです。

 政府の部署の垣根を越えた協業体制、大・中小企業と研究者たちの協力、政府の積極的なR&D投資と規制を緩めた全幅の支援、そして何よりも、全国民の励ましと声援が、われわれもできるという自信を与えてくれました。

 その成功の方法は、後にコロナ診断キットを開発するときも、マスク生産をいち早く増産する時も、ワクチン接種用の特殊注射器の効率を高めるときも、尿素水不足事態を解決するときも、同じように作動しました。

 国民の皆さん、

 私が最後に受け取ったコロナ19対処状況報告書は第969報でした。

 国内でコロナ感染者が初めて判明した2020年1月20日から、休日や海外歴訪中も欠かすことなく毎朝起きて最初に読み、状況が厳しいときは一日にいくつも出された報告書が第969報まで続きました。

 そこには政府と防疫チーム、医療チームの苦労と献身が込められています。

 長期間続いた国民の苦しみと、つらい生活がありのままに込められています。

 国民も、政府も、大統領も本当に苦労しました。

 しかし、私は危機の時にいっそう強くなるわが国民の高い力量にいつも感動しました。

 私の政権の間にあったたくさんの誇らしいことの大部分がコロナ危機の状況の中で起こったということは、実に驚くべきことです。

 まさに危機に強い大韓民国の底力でした。

 世界中が同時にコロナ危機を直面してみると、韓国は意外なことに、世界に先んじる防疫模範国家でした。

 先進国の防疫・医療水準を羨ましがっていたのに、いざ危機に直面してみると、わが国がもっともうまく対処できた国でした。

 依然としてわが国が弱く、遅れていると思っていた国民の多くが、自分自身を再発見し、自尊心を持つようになりました。

 コロナ危機の中で、韓国は最も早く経済を回復させ、一人当たり国民所得3万5千ドルへ大きく成長しました。

 韓国の韓流文化は、全世界がコロナに苦しんでいたとき、いっそう際立ち、世界中の人々に慰めを与えました。

 わが政府がコロナ危機の中で宣言した韓国版ニューディールは、韓国を、デジタル、イノベーションといった先端科学技術分野の強国として印象づけ、グリーンニューディールとカーボンニュートラル宣言は、気候危機対応と国際協力において、韓国をトップランナーにしました。

 コロナ危機に直面して、大韓民国はいつのまにか民主主義、経済、輸出、デジタル、イノベーション、防疫、保健医療、文化、軍事力、防衛産業、気候危機対応、外交、国際協力といった多くの分野でトップランナーになっていました。

 最後に、われわれはマスクをはずし、顔を向き合わせることができるようになりました。

 コロナ感染症の等級を、1等級から2等級に下げられるようになりました。

 まだ危機は終わっていません。

 新しい危機が迫っています。

 しかし、わが国民はどんな危機にも打ち勝ち、危機を機会にしていくことでしょう。

 国民の皆さん、

 大韓民国成功の歴史は、あらゆる試練と逆境を乗り越えたものであるため、いっそう価値があります。

 わが国は、第二次世界大戦後の70年間で、世界で最も成功した国、第二次世界大戦後、発展途上国から先進国入りした唯一の国になりました。

 誰も否定できない、輝かしい大韓民国の業績であり、自負です。

 わが政府も国民とともに危機を克服し、トップランナーに跳躍することで、大韓民国の国家の格と自負心を、さらに一段階高めることができるようになり、感謝の気持ちでいっぱいです。

 大韓民国は世界的な危機の中で、「危機に強い国」、「誰も揺るがすことのできない国」、「世界を先導する国」へ跳躍しました。

 その主役は、なんといっても国民です。

 大韓民国は世界から認められ、羨ましがられる、まさに「偉大な国民の国」です。

 われわれ全員が偉大な国民として高まったわれわれの国家の格に、堂々と自負心を持ってくださるように願います。

 私は、偉大な国民とともに成功する大韓民国の歴史に同行できたことをとても誇らしく思います。

 偉大な国民とともにやりとげたことが、本当に光栄でした。

 次の政府においても、成功する大韓民国の歴史が続いていくことを期待します。

 これまでの政府が蓄積した成果を受け継ぎ、発展させ、いっそう国力が高まり、よりよい未来に進むことを願っています。

 国民の心を一つに集めることが、何よりも重要です。

 選挙の過程で深まった溝を埋め、国民統合の道に進むとき、大韓民国は真の成功の道へ、いっそう力強く前進していくことでしょう。

 ありがとうございます。


 すばらしい自画自賛でした。


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