昨年末、国会で強行採決された改正出入国管理法が、この4月から施行されましたが、それに合わせるように、最近、外国人労働者に関する本がいくつか刊行され、私もそのうちの2冊を読みました。
芹澤健介著『コンビニ外国人』(新潮新書、2018年5月刊)
出井康博著『移民クライシス―偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書、2019年4月刊)
どちらの本にも、外国人労働者と深くかかわる日本語学校の問題点がたくさん指摘されています。
日本語学校というのは、外国人が日本語を学ぶ学校で、この10年で倍増し、全国に700校以上あるそうです。ちょっとした設立ラッシュですね。
30年ほど前、初めて韓国関係の仕事を始めたときに、東京で何人かの韓国人留学生をアルバイトとして雇ったことがあります。早稲田、慶応、お茶女など、一流大学の留学生で、一人だけ日本語学校の生徒もいました。当時、外国人が日本の大学または大学院に入るのに日本語能力試験1級(当時の制度では4級から1級の4段階、今の制度ではN5からN1まで5段階)が必要で、日本語学校は、大学に入る前、1級をとるために通うところ、という位置づけだったと思います。
でも、最近は少子化・生徒数減少の影響もあるのでしょう、大学も留学生に対し門戸を広げていて、N1ではなくN2で入学できるようです。で、日本語学校は、大学に入るのに必要な日本語力をつけるための学校か? もちろん、日本語学校でまじめに勉強して、N2やN1を目指す学生もいるでしょう。そのような学生は、どちらかというと富裕層で、中国人や韓国人が多い。
しかし、最近急増しているベトナムやネパールからの留学生は、必ずしもそうではないらしいのです。目的は、日本での就労です。就労を主な目的としている留学生を、上の本では「偽装留学生」と呼んでいます。
もともと留学生の来日目的は学業ですが、在学中に就労も認められている。週28時間働くことができます。週5日働くなら、1日6時間弱。結構な就労時間ですが、日本語学校は、午前または午後の半日しか授業がないので、時間の捻出は可能。留学生の多くは、もっと働きたい。しかし、それ以上働くと不法就労になります。
学生たちは、日本での生活費に加え、翌年度の学費、故郷の家族への仕送りなどのために、稼がなくてはなりません。週28時間の就労では、月10万円ちょっとにしかならないので、とてもじゃないけど足りない。
問題は、ベトナム人やネパール人が、日本に来るために多額の借金をしているということなのです。本の中に取り上げられているベトナム人の場合、約150万円の借金をしている。内訳は、日本語学校の初年度の授業料約80万円、半年分の寮費20万円、現地ブローカーへの手数料約30万円、その他日本への渡航費など。150万円というお金は、ベトナムでは農家の約7年分の収入にあたるという。
そして、現地ブローカーからは、
「日本に留学すれば、月20万~30万円が簡単に稼げる」
と言われているのだそうです。留学生は週28時間しか働けないことなどは知らされていない。ようするに騙されているわけですね。
日本に来てからは、週28時間では借金を返せない、そのため毎週40時間以上働く、そうすると日本語を勉強する時間も、日本語学校に行く時間もない、日本語学校では机につっぷして寝ている、やがて学校の出席日数が足りなくなる、2年目の授業料を払えなくなる、しかし日本語学校を退学になるとビザが延長できなくなる…。
日本語学校のほうは、2年目の授業料を払ってほしい、そのため授業料を払うまではパスポートを取り上げるなどということをするところもあるようです。
また、日本語学校で出せるビザは最長2年3か月。留学生は、その期間だけでは借金を返せないから、日本語学校卒業後、専門学校に入って、留学ビザを延長しようとする、専門学校も最近は生徒が少ないので、授業料を払ってくれさえすれば、日本語ができようができまいが、授業についてこられようがこられまいが、留学生を受け入れたい。それで、日本語学校は手数料をとって専門学校側に学生を斡旋したりする。人身売買まがいの行為が横行しているというのです。
現地ブローカー、日本語学校、専門学校が結託して、留学生を食い物にしている構図が浮かび上がります。
娘のフィリピン人のボーイフレンドが日本で働きたいというので、まずは日本語学校で勉強したらどうかとアドバイスしようとしていたのですが、日本語学校の実態を知ってみると、学校は慎重に選ばないといけないなあと思いました。
芹澤健介著『コンビニ外国人』(新潮新書、2018年5月刊)
出井康博著『移民クライシス―偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書、2019年4月刊)
どちらの本にも、外国人労働者と深くかかわる日本語学校の問題点がたくさん指摘されています。
日本語学校というのは、外国人が日本語を学ぶ学校で、この10年で倍増し、全国に700校以上あるそうです。ちょっとした設立ラッシュですね。
30年ほど前、初めて韓国関係の仕事を始めたときに、東京で何人かの韓国人留学生をアルバイトとして雇ったことがあります。早稲田、慶応、お茶女など、一流大学の留学生で、一人だけ日本語学校の生徒もいました。当時、外国人が日本の大学または大学院に入るのに日本語能力試験1級(当時の制度では4級から1級の4段階、今の制度ではN5からN1まで5段階)が必要で、日本語学校は、大学に入る前、1級をとるために通うところ、という位置づけだったと思います。
でも、最近は少子化・生徒数減少の影響もあるのでしょう、大学も留学生に対し門戸を広げていて、N1ではなくN2で入学できるようです。で、日本語学校は、大学に入るのに必要な日本語力をつけるための学校か? もちろん、日本語学校でまじめに勉強して、N2やN1を目指す学生もいるでしょう。そのような学生は、どちらかというと富裕層で、中国人や韓国人が多い。
しかし、最近急増しているベトナムやネパールからの留学生は、必ずしもそうではないらしいのです。目的は、日本での就労です。就労を主な目的としている留学生を、上の本では「偽装留学生」と呼んでいます。
もともと留学生の来日目的は学業ですが、在学中に就労も認められている。週28時間働くことができます。週5日働くなら、1日6時間弱。結構な就労時間ですが、日本語学校は、午前または午後の半日しか授業がないので、時間の捻出は可能。留学生の多くは、もっと働きたい。しかし、それ以上働くと不法就労になります。
学生たちは、日本での生活費に加え、翌年度の学費、故郷の家族への仕送りなどのために、稼がなくてはなりません。週28時間の就労では、月10万円ちょっとにしかならないので、とてもじゃないけど足りない。
問題は、ベトナム人やネパール人が、日本に来るために多額の借金をしているということなのです。本の中に取り上げられているベトナム人の場合、約150万円の借金をしている。内訳は、日本語学校の初年度の授業料約80万円、半年分の寮費20万円、現地ブローカーへの手数料約30万円、その他日本への渡航費など。150万円というお金は、ベトナムでは農家の約7年分の収入にあたるという。
そして、現地ブローカーからは、
「日本に留学すれば、月20万~30万円が簡単に稼げる」
と言われているのだそうです。留学生は週28時間しか働けないことなどは知らされていない。ようするに騙されているわけですね。
日本に来てからは、週28時間では借金を返せない、そのため毎週40時間以上働く、そうすると日本語を勉強する時間も、日本語学校に行く時間もない、日本語学校では机につっぷして寝ている、やがて学校の出席日数が足りなくなる、2年目の授業料を払えなくなる、しかし日本語学校を退学になるとビザが延長できなくなる…。
日本語学校のほうは、2年目の授業料を払ってほしい、そのため授業料を払うまではパスポートを取り上げるなどということをするところもあるようです。
また、日本語学校で出せるビザは最長2年3か月。留学生は、その期間だけでは借金を返せないから、日本語学校卒業後、専門学校に入って、留学ビザを延長しようとする、専門学校も最近は生徒が少ないので、授業料を払ってくれさえすれば、日本語ができようができまいが、授業についてこられようがこられまいが、留学生を受け入れたい。それで、日本語学校は手数料をとって専門学校側に学生を斡旋したりする。人身売買まがいの行為が横行しているというのです。
現地ブローカー、日本語学校、専門学校が結託して、留学生を食い物にしている構図が浮かび上がります。
娘のフィリピン人のボーイフレンドが日本で働きたいというので、まずは日本語学校で勉強したらどうかとアドバイスしようとしていたのですが、日本語学校の実態を知ってみると、学校は慎重に選ばないといけないなあと思いました。
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