犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

正体性(チョンチェソン=アイデンティティー)

2007-04-23 00:00:09 | 韓国の漢字語
 韓国語にも,主として英語から入った外来語が多いですが,日本ほどではないような気がします。日本では外来語(カタカナ言葉)だけれど,韓国語では漢字語という場合も多い。

セクハラは「性戯弄(ソンヒロン)

プライバシーは「私生活(サセンファル)

 アイデンティティーも韓国では漢字語で,「正体性(チョンチェソン)」と言います。

 日本語ではアイデンティティーを「自己同一性」などと言ったりもしますが,韓国はこの和製漢語を輸入せず,独自に「正体性」という漢字語を作ったものと思われます。

 アイデンティティーとはつまり,

「自分は何者か?」

「自己の正体は?」

ということですから,「正体性」はなかなかよく出来た漢語訳かもしれません。

 ところで,バージニア銃乱射事件の犯人,チョ・スンヒも,小学校3年生のときに自分の意志とは関係なく米国に移民し,1・5世として,正体性の危機(アイデンティティー・クライシス)を経験したことが,今回の事件につながったのではないかという分析が出ています。

 大人になって移民した一世は,すでに故国でアイデンティティーが確立している。また米国生まれの二世は,言語的に英語を母語とし,米国人としてのアイデンティティーを持つ。チョ・スンヒのように小学生で渡った1・5世は,韓国語も英語も中途半端になり,アイデンティティーの問題に悩むことが多いのでしょう。

 韓国は,世界的にも有数の移民送り出し国です。

 古くは中国東北地方,沿海州(その後中央アジア),そして日本に数十万人の移民がおり,70年代以後,米国,オーストラリアをはじめとした英語圏に相当数の移民が渡って行き,その動きは現在進行形です。

 家族での移民も多く,かつて,あるいは現在,正体性の深刻な危機に直面した(している)人も多いでしょう。

 日帝時代,日本に渡った人々の中にも,親との間の言語的な壁に悩んだという証言が数多く残っています。日本本土だけではなく,1930年代後半以降,国語(=日本語)常用運動が展開された韓半島においても,そのような世代間の軋轢がありました。

 そのような証言をこれからいくつかご紹介しようと思います。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Identity Crisis (スンドゥプ)
2007-04-23 13:08:46
私なんぞは、韓国に来てからずっとそんな感じです。別に日本人などいなくてもケンチャナヨの会社です。私が細かく口を出すと却って良くないと思い、思ったことは韓国人のトップに囁いています。他の社員はなんて役立たずの駐在員だろうと眉を顰めていると思います。
それでもせっかく外地(外国)に居るのだから、楽しんじゃおうという気持ちで日々を送っております。先週も一週間に二回も鮟鱇を食べました!
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鮟鱇 (犬鍋)
2007-04-25 06:05:05
いいですね。

チムですか? 鍋ですか?

私はチムのほうが好きです。
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鮟鱇三昧 (スンドゥプ)
2007-04-25 08:39:28
その後、また鮟鱇を食べる機会があり、なんと1週間で3回も食べることに!チム2回、鍋1回ですが、2回目のチムは大辛で、あまり食べられませんでした。もう2年分食べた感じです。
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参鶏湯 (犬鍋)
2007-04-25 23:21:01
このブログに数回登場した猫舌の出張者は、ソウルに長期滞在したとき、一週間で参鶏湯4回の記録を樹立しました。

ps. メールをご確認ください。
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