韓国便り～タクシーで

　帰国の日，ホテルから金浦空港までタクシーで行きました。ホテルを出たところで客待ちをしていた一般タクシー。

「領収書は出ますか？」

「今どき領収書の出ないタクシーなんてありませんよ」

「昔は，一般タクシーは出ない車もあったでしょう？」

「いや，３年ぐらい前から出ますよ。去年の１０月からは義務化されたし。カードだってＯＫですよ」

「カード，使えるんですか？」

「でもね，手数料はお客さんに負担してもらわなくちゃなりません。韓国人は事前に言っておけばいいんですが，外国人は言葉が通じなくて困る…」

　このキサニム，おしゃべりしながらビュンビュン飛ばす。

「時間は余裕ありますから，ゆっくり走ってくださいね」

「アラッソヨ。ところで，お客さん，韓国によく来るようですけど，韓国でいちばん嫌なこと（プルピョナンゴ）はなんですか」

（よく，こういう質問されるんだよなあ。悪口を言っていいものやら）

「別にないですよ。特に交通費が安くてね。終電時刻を気にしながら飲む必要もないし，ピョネヨ（快適です）」

「でも，嫌なところもあるでしょう。はっきり言ってくださいよ。外国人の意見を聞いて，改善しなくちゃいけないから」

（えらい！）

「そうですね。順番待ちで，横入りする人が多いかな。以前よりはよくなりましたけど」

「ハハ。韓国人は気が短いからね。直さなくちゃね」

「ところで，李明博大統領はよくやってますか」

「まだわかりませんよ。なってから何日も経ってないから。ま，よくやってくれるんじゃないですか。でもね，会社の社長も同じだけど，指示だけ出して，実際にやるのは下の者でしょう。下の者がしっかりしないとね」

（なるほど）

「盧武鉉さんはよくやりましたか？」

「よくやった点もあるし，うまくできなかった点もあるでしょうよ。彼のやったことは全部ダメだったなんて言えませんよ」

（うーん，珍しい。前の大統領のことは糞味噌に言う人が多いのに）

　一般タクシーの運転手さんは，粗野で極端な主張をする人が多いのですが，このキサニム，とても理性的で好感が持てました。