生涯学習の部屋

資格取得数238。6つの修士と18の学士と2つの短期大学士。MBAサラリーマンの生きがい発見生涯学習奮闘記。

修士論文

2012年04月12日 21時49分06秒 | 読書
天野郁夫先生の「大学-試練の時代」という本を読んでいる。

天野郁夫先生、舘昭先生、市川昭午先生、岡本薫先生、、、今、私が好んで読んでいる本の著者の方々である。で、この本のp.150に書かれている一文を抜粋すると・・・

『とくに修士論文は、研究者としての資質の確認のための手段になっている。つまり、提出された修士論文自体が、そうした資質判定のもっとも重要な手段だというだけでなく、なんとなく研究者になってみたいと思って入ってきた人たちが、結局論文を書けないでやめていくというケースもあるわけです。いまの大学院制度は、授業で成績が悪くて落ちるということは、ほとんどない。あくまでも論文が書けるか、どんな質の論文を書けるかです。』

この本は1988年に書かれた本であり、当時の修士論文は、下手をすると、今の博士論文に匹敵するかもしれない。そして、今の修士論文が、結局、当時の卒論レベルといえる。

よくよく考えて欲しい。今、現在、修士論文を書けないで辞めていく院生がどれくらいいるだろうか・・・たかだか、しがないサラリーマンで、アカデミックのかけらもない私でも、6年間で3つの修士を取得できるのが現在の修士のレベルなのである。

たしかに、授業の成績が悪くて落ちるということは、現在においてもありえないのだが。

研究者の登竜門という過去の位置づけから、社会人がうようよ学位を取得する・・・それが現在の修士のなれの果てなのである。それどころか、今では、サラリーマンが働きながら博士を取得する時代へと変遷を遂げている。明治時代には「最高の名誉」とされた「博士号」が、アメリカ並みに取りやすくなったといえよう。「末は博士か大臣か」という言葉が、博士の乱発にむなしく聞こえてしまう。

そして・・・ついには、高学歴ワーキングプアという言葉が一般化され、博士となっても仕事がない「訳のわからぬ時代」へと突入してしまったのである。

乱立した大学院の経営を維持するために、学生を絞ることが出来ず、質を下げてしまったこと。これが、大きな敗因と思っている。

とはいえ、この風潮は、仕事を持ちながら大学院で学ぼうという社会人には福音となっている。従来なら手を出すこともタブーだった大学院に、会社を辞めずに入学し、修了することができるのだから。

生涯学習の一環として学ぶのなら、これほど、ありがたい環境はない。しかし、転職や、先生になることを希望するには、この緩い環境で取得した学位は、なかなか、使えないのである。故に、ポスドク問題や高学歴ワーキングプアが発生しているといえるのかもしれない。
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教養学部

2012年04月12日 21時30分19秒 | ちょっと立ち止まって・・・
舘昭先生の「大学改革 日本とアメリカ」という本を読んでいる。

舘昭先生、天野郁夫先生、市川昭午先生、岡本薫先生、、、今、私が好んで読んでいる本の著者の方々である。舘先生は、一時期、桜美林大学大学院に進学を考えたくらい、尊敬する先生でもある。

で、標題の件であるが、p.31に平成8年現在における、教養学部を設置している大学がリストアップされている。

国立:東京大学・埼玉大学
私立:東北学院大学・東京国際大学・国際基督教大学・東海大学・帝塚山大学
特殊法人:放送大学

以上の8つの大学しか教養学部がないそうだ。。。

そんなレベルなのか・・・戦前は29しかなかった学士の名称の1つに数えられていた「教養学士」。その教養を標榜する学部が、平成8年時点で8つしかないとは・・・

私は放送大学を卒業していないが、学士(教養)を有している。

そう、前掲書のp.41にも書かれているのであるが、学位授与機構の学士の制度において、学士(教養)が授与されるのである。

本文を引用すると『ちなみに、学位授与機構の学士制度では、学士(教養)が授与されるが、その審査のための専攻の区分は比較文化、地域研究、国際関係、科学技術研究の四つとされており「学際リベラルアーツ型」となっている』とされる。

ちなみに、上記8つの大学における「教養」とは何を学ぶ学問かお分かりでしょうか?機構の場合は、「比較文化」「地域研究」「国際関係」「科学技術研究」となっていますが、本当に、各大学まちまち。では、教養とは一体何なのか。あるいは、リベラルアーツとは何なのか?

わかっているようで、全くわかっていない。そんな自分に気づかされる1冊です。
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