クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

クリン・ショート・ショートVol.1「魔の森」第4話

2013-02-18 | ショート・ショート

          <仇うち>

 

クリンたちは、こった川で落ち合って、作戦をたてた。

雀たちが、ワシの多摩王から仕入れてきた情報では、

 

「この秋口から、こった川周辺のあちこちで、小さな生き物がこつぜんと消えている」

とのことであり、そのうちいくつかの事件の前後に、風を切って走り去る何者かがいたらしい。


ただ、そのいずれの目撃情報も、その何者かの姿はとらえていないのだった。


クリンが発表したカメレオン説に、みんなは驚嘆し不安を口にしたが、

 

「ぐずぐずしててもはじまらない。やるしかないよ!」

と、その作戦を実行することで合意した。

 

クリンを先頭にミーちゃんが続いて、チュンチュン、チッチッ、チェッチェッ、チョッチョッ、の順番でこったの森の事件現場へと向かった。

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辺りは、不気味なほど静まり返っていた。


すべての動物や昆虫、草木たちが、クリン一団の活躍を期待して、息を潜めて注目している。

 

「そこに隠れてるひきょうもの、出て来なさい!みんなの仇をうってやる。」

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主将・クリンがかっこよく言った。

 

 

「いることは、わかってるんだミャー!」副将のミーちゃんもおたけびの声をあげた。

「チュンチュン、チッチッ、チェッチェッ、チョッチョッ!」

 

 

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

しかし、返事はなく、しばらく沈黙が続いた。 

 

 

草木が風に揺れ、擦れ合う音が、ざわざわと聞こえる。

 

みんなの緊張が頂点に達したその時、

 

「・・俺は、森の神だ。

 

全ては、俺の思いのままだ。

 

見つける事など、出来るはずがない。」

 

 

低い声がこだました。

 

 

クリンたちは、身構えて声のする方を睨みつけた。

 

「怖くなんかないミャー。」


「もう見えてるもん!チュンチュン、チッチッ、チェッチェッ、チョッチョッ」

 

みんなは、敵を挑発し、相手に声を出させようと試みた。

 

クリンに見つけてもらう作戦だ。

 

 

「おまえたちのすぐ側にいるのが、見えないのか?」

 

クリンは声のする方へ歩を進めて、にじり寄った。そして、目を閉じた。

 

 

「ギャー!」

 

ミーちゃんが悲鳴をあげて跳び、クリンの後ろに逃げ込んだ。


「鼻が!鼻を叩かれたー!赤くとがった細く長いものでミャー。」

 

敵は、いかにもおかしそうに笑い声を上げた。

「アハハ、アハハ、アハハハ。」


 

クリンは、パッと目をあけると、お兄ちゃんから授かったスプレーを出して、

「わかったわ、ここだわ!」と言って吹き付けた。

 

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すると、みるみるうちに

カメレオンの顔が浮かび上がってきた。

 

驚いたカメレオンは目をキョロキョロさせたが、その瞬間、猫のミーちゃんが攻撃を仕掛け、顔を爪で引っ掻いた。


続いてクリンも頭にキックした。


そして、雀たちもいっせいに体をつついたので、カメレオンはたまらず、ほうほうの体で森の外に逃げ出して行った。

 

 

「やったー!やったー!やっつけた~!!」

 

 

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影を潜めていた森の仲間達も、つぎつぎに出てきて、クリンたちにかけより、万歳した。

 

「あいつ、顔が赤くなって、もう隠れられないにゃー。」

「もう安心。チュンチュン、チッチッ、チェッチェッ、チョッチョッ」

 

ミーちゃんや雀たちも、もみくちゃにされながら喜びあった。

 

こったの森に、ふたたび平和が訪れた。

 

クリンたちの功績は長く語り継がれることになりました。

 

 

 

 

 

                               (つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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