メッキリ寒くなってきましたね。ってか寒すぎ。
職場の建物の裏が落ち葉でスゴイ事になっていたので、それを皆で掃除することになりました。みんな竹ぼうきやら普通のほうきやらで掃くも、アスファルト面ではあまり通用しません。
軽井沢で山ごもりして飛天熊手流奥義を会得した僕から言わせれば笑止!!命いらぬのなら、かかって来い!!
アスファルト面では通用しませんした。
テレビで京都の紅葉が写っていました。やはり紅葉を見るには京が一番でおすなぁ。
かくいう僕も一度だけ、この時期に京都へ行ったことがあります。
なんか後輩がイキナリ「寺が見たい」と言い出して、それを聞いた僕は後輩の死期が近いかもしれぬと心配になって同行したのでありますが、後輩は今でも元気に生きてます。
-ここからは「古いぃアルバムの中ぁでぇ~ナントカぁ~思い出ぇがいーっぱい♪」的な感覚ですので、ちょっと細部に違いがあるかも知れませんが御容赦くださいませ-
確かちょうど今回の3連休だったと思います。勤労感謝の日とあわせた土、日の連休。あんまり金もなかったので、1泊2日にしました。
京都に同行することを承諾するうえで僕も条件を出しました。必ず寺田屋にも寄ること。
その時はまだ京都の寺や、紅葉には特に興味はありませんでしたが、京都は動乱の明治維新の舞台であり、そのメインステージとも称される寺田屋は一度拝見しておきたいと思っていました。
で、新幹線で京都へ。
しぶしぶ付いてきたものの、やはり初めて降り立つ京都を思うと胸が高鳴りましたね。
古来より幾度も歴史の節目となる舞台になり、夥しい量の血の雨がその地に染み込んでいる千年王城とも呼ばれる土地。百鬼夜行や魑魅魍魎などの物の怪なる話も多い。
何やら寒々しい思いさえしながら、初めての京都に到着。衝撃は降り立った瞬間から僕を襲いました。
普通にすごい近代的な感じでした。
血の雨も物の怪もスッ飛んでしまいましたよ。
ちょっと遅めに出てきてしまったので、到着した時には既に16:00をまわっていました。
いろいろと京都駅で情報を集めているうちに、ある事実に気付きました。
どこの寺も18:00くらいに閉鎖してしまうのです。
え?あと2時間?
もう何箇所も見ている時間はありませんので、京都駅から近い寺を探していると、
清水寺発見。
ここは行っておかないと。
で歩き始めたのですが、近いようで遠い。しかも近づくにつれてスゴイ人ごみ。
1時間くらいは歩いたでしょうか、ようやく清水寺に到着しました。
日が落ちてくるライトアップされて幻想的な感じになります。
「清水の舞台から飛ぶ…」という諺(ことわざ)がありますが、、舞楽などを奉納する正真正銘の『舞台』なのです。両袖の翼廊は楽舎だそうです。舞台からの眺望は、実に絶景かな。
僕が紅葉の良さというモノを初めて知った場所でもあります。
いや、しかし人ヒトひと。人だらけ。願わくば平日の静かな時に来たいものだ、と思いました。
で、アッサリ一日目終了。
清水寺を見て、思っていた以上に寺鑑賞って良いかも、と思い始めていたので、もう少し早く来てれば良かったと後悔しきりでした。
さて、どこへ泊まろうか。
このシーズンに宿の予約もせずに行き当たりバッタリで京都まで来てしまった僕と後輩ですが、まさか路上で寝るわけにもいきませんから宿探しです。
ないですね。あるワケない。
歩き回って探し回って、電話BOXでタウンページを見ながら電話しまくりましたけど、本当に1つも空いてる部屋もないのです。
「ええー本当にないんですか?隠してるんじゃないですか?」と最後には被害妄想にかかって、こんな失礼なことを言う始末。隠す意味がない。
腹減った。
宿探しは後回しにして、とにかく何か食事をすることにしました。
京料理。懐石?鍋?せっかく京都に来たのだから、宿はなくても料理くらいは京都っぽいものを食したいのです。いろいろ探して歩きましたが、これまたどこも混雑。あまり高級そうな店にも入れませんし。
結局、焼肉食べ放題。
しかも入ったら誰も客いないのです。店もなんとなく暗い。恐るおそる店員のオバサンに声をかけると、一つの皿を指さしました。
そこにはカルビのような肉が盛られていました。
これだけ?
そう、それだけ。焼肉食べ放題・・・まぁ嘘ではないが・・・。
もうホントにカルビだけの食べ放題なのです。まぁカルビは美味しいからいいじゃないか!と言う人もいるでしょうが、現実は小説よりも奇なり。
最初は良いのですが、暗い部屋で1種類の肉だけをクチャクチャと食べ続けてると、
俺達なんの肉くってるんだろう?
的なイリュージョンに陥ります。
なんか気持ち悪くなってきたので、腹八分目でギブアップ。普通ですけど。でもいつもは食べ放題というと九分目も十分目も限界を果てしなく超えて食べますから、かなり消極的な事態。
後輩に至ってはホトンド箸をつけていません。「いや、オレ腹いっぱいなんで・・・」
うそつけ!
完全に栄養が偏ったところで再び京都の町を出発です。
しかし本当に空いてない。ロールプレイングゲームの大冒険じゃないんだから、宿くらいアッサリ見つかって欲しいものです。
もう恐らく京都市内の宿泊施設らしきところは、全て埋まっているようでした。仕方なくどこかの駅前にあったサウナに泊まることに。
フロに入りながら、「オレは京都にいるんだ!」と意識しないと京都にいることを忘れてしまうくらいに普通の日常。
朝目覚めたら、やっぱり忘れてて、隣で寝てたオジサンにビックリ。「え?ココはどこ?アナタ誰?」とアタフタ状態でした。
さぁ2日目です。昨夜の一連のグダグダ感を払拭したいところです。
京都駅でもらった京都市内の観光地図を見ながら、ある程度のコースを決めます。
コースを決めたは良いのですが、歩いては行っていられないし、電車も効率悪そう。よくパンフレットを見ているうちに、必ず観光スポットの交通機関のところにバスという文字が出てくるのを発見。
そうだ、バスだ!
うまいことバスを乗り継げるようになるか、ならないかで、京都の旅というものは全然違ってきます。
まずは念願の寺田屋
文久2年(1862)討幕急進派が寺田屋に集結し、決起を企てた「寺田屋騒動」はあまりに有名。また坂本龍馬の定宿であることでも有名ですね。おりょうさんとの恋が生まれた宿でもあります。「寺田屋」と書かれた提灯が昔ながらの雰囲気を残していました。屋内には龍馬の部屋もそのまま残っており、柱には当時に斬り合った時の刀傷も見られます。
現代でも坂本竜馬を慕って訪れる方も多いようで、メッセージを残すところに「オレも先生みたいに世の中を変えるでごわす」のような熱いメッセージが残っていました。
次に訪れたのは「哲学の道」↓
日本の有名な哲学者・西田幾太郎氏がこの道を散策しながら思索にふけったことからこの名がついたと言われているようです。当初は「思索の小径」と呼ばれていたらしいですが、いつしか「哲学の道」と呼ばれるようになったらしく、「日本の道百選」にも選ばれている散歩道だそうです。
実際の哲学者が、その哲学の思索に耽った道。何やらそれだけで厳粛な感じがします。
と、そこへなんと数名の舞妓さんが歩いてきました!
もう生舞妓さんの美しいことったら。舞妓haaaan!と言いたくなるのも頷けます。それくらいテンション高くなります。もうホントに色っぽかったです。艶やかというか。
完全に哲学も思索もソッチのけで舞妓さんに「一緒に写真撮ってもらっていいですか?」と美人バスガイドに写真撮影を申し込むイキがった修学旅行生状態でした。
もうここから先は舞妓さんウキウキウォッチングの旅でいいと心に決めようと思っていたら、後輩がオミヤゲ屋さんで木刀を探し始めたので断念。
哲学の道を散策しながら、のんびりと歩いていると、けっこう小さな寺がチラホラあります。通りかかった寺は全て入ってみました。
なんというか、清水寺のような壮大な寺も良いのですが、人のいないヒッソリとした寺もまた何とも言えず良い感じなのです。
線香の匂いが仄かに香る境内で、玄米茶をすすりながら赤く染まった葉がヒラヒラと落葉する様子を眺めていると、なんとも言えない落ち着いた気分になります。
ああ、来て良かった、と心から思いました。
そういう小さい寺もよく見てみると、いろいろ重要な展覧物があったりします。
全部で五箇所くらいの小さな寺に行きましたが、一つの寺はスゴかったです。奥の方に小さな体育館のようなスペースがあって、そこに何十体という仏像が奉られていました。あれは圧巻でした。
僕ら以外に観覧客はいませんでしたので、場内はシーンとしていて耳が痛くなるほどの静寂に包まれていました。そして暗い。空気は冷たく、ちょっとカビ臭いような匂いが立ちこめている。そんな空間。そこに何十体もの仏像が聳え立っているのです。
時の行き止まり、という言葉を僕はそこで思いついたのを覚えています。そこにいると時間が止まっているような不思議な感覚になってしまうのです。絶対的なものに対する恐れ。
今でもあそこの空間を思い出すと、ちょっとヒヤっとした感じになります。
線香の香りと、玄米茶の美味しさの虜になっているうちに日も暮れ始め、旅は終わりを告げようとしていました。
もう1泊したいという気分でしたが、金銭的な面から断念せざるを得ませんでした。
駅に向かっている途中で、たこやき屋を発見しました。
そういえば昼は茶屋で団子食べて茶をススッてばっかでしたので、腹が減っていました。最後にタコヤキでも食べて行こうと後輩と寄ってみると、東京では考えられないくらいの破格の安さ!
正確な数値を覚えていないのが悔しいですが、10個で150円とか。もっと安かったような気がします。しかもこれまた美味しい。バッグに全部タコヤキを詰めて持って帰ろうかと思いましたが、「そんなに買ってどうするんですか?」という後輩の冷静なツッコミで断念。
こうして京都の旅は静かに幕を閉じました。