酒に酔えば船の酔いが上書きされるように消えるのではないか、というアホな発想でガブガブと焼酎を飲むが、気分は悪くなるばかり。
すがに僕のゲロリンチョを皆さんが食べている天ぷらにかけるワケにはいかないので、もう外に出ていることにしよう。
外であれば最悪吐きたくなったら海に吐けば良いのだ。
喫煙スペースに船の上へ上がる階段があったので、そこでなるべく遠くを見ながら焼酎を飲む。豊洲あたりの夜景と海面を走る涼しい風のおかげで気分の悪さが若干回復してゆく。
屋形船って、本来こういうものではないのか。外の夜景を見ながら、風を浴びて酒を飲む。せっかく船に乗っているのに、中で天ぷら食ってる場合じゃない。
しかし困ったな、戻ったらまたブリ返すだろうし、しばらくここにいるしかないかな、と思っていると、N社のNさんがタバコを吸いに外へ出てきた。僕の姿を発見すると、不思議そうな顔して近づいてきた。
Nさん「どうしたんですか?どうも見かけないと思ったら」
僕「あー、僕って船ダメなんだよね。もうすぐに酔っちゃう。何年か前に釣り船に乗った時も、晴天、波なし!と言われている中で1人ゲェゲェ吐いちゃって」
Nさん「そうなんですか!そうは見えないけどなぁ!あ、でもきっとそれは運動神経が良すぎるんですよ。なんか三半規管が良すぎると、すごく船に酔いやすいんですって!」
僕「・・・お、おう」
運動神経良いとか言われたの生まれて初めてだけど、まぁ特に否定する理由なし!でも座ってて酔っているので、あまり三半規管は関係ない気がするけれど。
さて、ずっと外にいるわけにもいかないし、とりあえず中の様子を見に行ってみると、Hさんの手品ショーが始まってた。通路のど真ん中を占拠してるから戻れないじゃねーか。
けっこうみんなイイ感じの酔っぱらっていてHさんの手品に盛り上がっている。当のHさんもテンションMAXで盛り上がりまくり。
そんなHさんがここぞとばかりに例の「いつやるの!」ネタを観客にフリにかかる。よほど「今でしょ!!!」とみんなに言って欲しかったのであろう。だが、その気持ちがあまりに強すぎてしまった。
Hさん「おーい!!今やんないで、いつやるの!?」
みんな「い・・・え?」
自己完結型「今でしょ!」にみんな困惑しておりました。新しいな。
僕にフラれたら「いつでしょ!?」って返したんだけどな。