閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

袋猫

2009-03-10 17:07:05 | 日々
子どもの頃、母が縫う服には必ずポケットがついていた。
既製服にポケットがないと、別布でつけてくれていた。
洗ってアイロンをかけたハンカチと、きちんとたたんだちり紙。
(そうそう、ポケットティッシュが普及する少し前…)
それは「子どもが必ず持って出かけるもの」で、
だからポケットはないと困るものだったけれど、
今の子どもたちはGPS携帯のほうが大事なんだろうか。

冬のコートなら、深くて大きいポケットは絶対必要条件。
婦人服はポケットがなかったり、あっても飾りだったりするが、
電車の切符とか、見るまでに少し時間のある映画のチケットなど、
ちょっとしまっておけるポケットがあればいいのにと、
今でもわたしはよく思う。

25年くらい前に『あんしんポケット』という童話を書いた。
男の子が町でみつけた「ポケット屋」という店。
いろんな便利なポケットを、1枚いくらで売っていて、
おじいさんが服にぺたんとつけてくれるのだ。
鍵つき、オルゴールつき、アイスクリーム用、焼き芋用…。
どこにいても手紙を配達してもらえる「ゆうびんポケット」なんか、
「いそがしいひとに ひょうばんがいいね」。
しかし郵便どころか、いまや電話もテレビも音楽もポケットに入る。
わずか四半世紀でそんな時代になるとは想像もしなかった。


ポケットといえば、有袋動物にも心惹かれる。
コアラ、ウォンバット、フクロモモンガ、フクロギツネ。
便利な袋を持っているにしては、みんな不器用そうで、どこか不憫で、
「おいおい大丈夫かい」と言いたくなる動物ばかりだ。
オポッサム、タスマニアデビル、フクロオオカミ、それから
猫の親戚でもなく猫とは似ても似つかないフクロネコ。

わたしはドラエモンは有袋類と認めていないが、
(もちろん猫の一種とも認めていません)
ふつうの猫だって、おなかに小さい袋がついていたら、
さらに可愛いんじゃないかと思う。
(「こーら、真鈴っ! そのポッケのおねずを出しなさいっ!」)
おてつだいねこさんのエプロン姿は、どうもそのあたりから
思いついたのではないか、という気がする。

有袋動物でも、カンガルーにはさほど魅力を感じない。
どうしてだろう。
たぶん、あんまり堂々としすぎているから、でしょうね。

(画像は、たまにうちに出没するフクロネコ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする