閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

開花宣言

2009-03-22 10:48:08 | 日々
気象庁の人が木の下に立ち、
慎重な口ぶりで桜の開花を宣言すると、
周りで見守っていた人々からパチパチと拍手がおこった。

日本の冬が特別厳しいというわけではないだろうが、
それでも人は桜が咲く日を待ちわび、
咲いたといってこんなに素直に喜ぶ。
花の下で宴会ができることを思ってにこにこしている。
のどかな国である。
しかし開花というのは宣言してもらわないと駄目なものだろうか。
咲いたかどうかなんて、子どもが見てもわかるのに。

梅雨が長引き、夏休みに入ってもはっきりしないお天気がつづくと、
気象庁には早く梅雨明け宣言を出せという要望が殺到するそうだ。
まるで宣言をすればカラリと晴れるとでもいうように。

科学が発達する以前、お天気は占いの分野であった。
気象庁は現代の神主さんで、天気予報のおねえさんは
さしずめ巫女さんである。
観測衛星やハイテク機器が駆使されていても、
民は予報をありがたい神託の一種だと思っている。

早ク桜ガ咲クトイイナア。
民の願望は神様に聞き届けられ、そして開花宣言が下された。
このあと急に冷えこもうと雨が降ろうと風が吹こうと、
それは神様の責任ではない。
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