華南三彩の花鳥紋皿、9枚です。
大きさは、16.7-17.0cm。
普通の木箱に入っていました。
麻袋に入れられ、大切にされてきたようです。
線刻で、蓮、池、水禽が見込みに描かれています。
周縁には、牡丹花枝と雲龍紋が交互に描かれています。
刻線は、実に奔放です。
9枚、似た絵柄なのですが、よく見ると皆異なっています。
水鳥がいない皿もあります。
9枚のうち、7枚は、黄釉と緑釉の二彩が使われ、黄、緑、紫釉の三彩皿は2枚です。
裏面は、緑釉一色です。
こういった焼き物、一昔前は、交趾焼で通っていた品です。
今は、ベトナムではなく中国南部で明末に焼かれた品とされ、華南三彩の名称が一般的になってきました。
華南三彩が注目されるのは、黄瀬戸、織部の桃山陶や青手古九谷など、日本の色絵陶磁器に影響を与えたのではないかと言われるようになったからです。
この9枚の華南三彩皿では、緑釉の地に対して、鳥、花部に黄釉が置かれています。
緑と黄を逆転すれば、たんぱんをうった黄瀬戸によく似ています。
織部や青手古九谷にも通じる雰囲気をもっています。
なぜだろうかと考えてみると、緑釉の味わいにあると思えるのです。
一方、交趾焼を写したはずの源内焼は、華南三彩とは大分雰囲気が違います。
源内焼は、楽焼き風のボディに、緑釉が非常に薄くかかっています。
その結果、緑釉に深みがないのです。
これは、先のブログで紹介した三彩麒麟紋中皿です。
源内焼か華南三彩か不明だった品です。
緑釉の具合は、源内焼よりも華南三彩に似ています。
胎土も、華南三彩と同じく、半陶半磁です。
かっちりと焼き上がり、手取りも、源内焼より華南三彩に近いです。
こうしてみると、この麒麟紋皿は、源内焼ではなく、華南三彩といって良いのではないでしょうか。