遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

日本初の国勢調査票

2020年02月07日 | 納札・紙物

日本初シリーズの第2弾です(次があるかどうかわかりませんが(^^;)。

大正9(1920)年に実施された、日本初の国勢調査の調査票です。

5600万人ほどのデータを収集したので、相当数刷られらはずです。ですから、これが唯一ということはありえませんが、未記入の調査票が残っているのは稀だと思います。

大きな紙の両面を使っています。

印刷が大変薄くなっていて、かろうじて読み取れるくらいです。

通常の濃青色で印刷されたものもあるようですが、今回の品は橙(赤?)色なので、色の堅牢度が低く、退色がすすんでいます。

 

表(おもて)面に記入欄があります。裏(うら)面は記入例が列挙してあります。

 

       表(おもて)面(記入面)

            28.5x42.5㎝

 

記入欄は、上から順に、氏名、世帯に於ける地位、男女の別、出生の年月日、配偶の關係、職業及職業上の地位、出生地、民籍別又は國籍別。

10月1日午前零時でデータを記入(現在も、この日時が国勢調査の基準時)。

 

 

 

一 普通の世帯は、主人、妻、父、母、長男、雇人、来客などと書き入れること。

二 準世帯は、寄宿人、患者、宿泊人、船客、事務員、雇人、船長、船員などと書き入れること。

 

 

 

 

一 誕生の道府縣、郡、市町村の名を書き入れること。

二 誕生の市町村の名の明ならぬ者は、道府縣の名を書き入れること。

三 朝鮮、臺湾、樺太にて生れたる者は、夫々、朝鮮、臺湾又は樺太と書くこと。

四 外国に生まれたる者は、其の國名を書き入れること。

五 航行中の船舶内にて生まれたる者は、水上と書き入れること。

 

一 朝鮮人、臺湾人、樺太人、北海道舊土人は、夫々、朝鮮、臺湾又は樺太又は北海道と書き入れること。

二 外国人は、其の國籍を書き入れること。

 

 

                            裏(うら)面(記入例)

氏名、世帯に於ける地位、男女の別、出生の年月日、配偶の關係、職業及職業上の地位、出生地、民籍別又は國籍別について、七例が書かれています。

 

 

国勢調査票の項目や分類、但し書きなどを細かく検討すると、興味深いことがらが見えてきます。

世帯(ふつうのうち)で、主人、妻、父、母、長男などの他に、雇人、来客を書き入れるとの指示があるのは、当時の家庭内の人々の構成が、現在のものとは相当異なっていたからでしょう。

また、準世帯(世帯に似たうち)で、寄宿人、患者、宿泊人、船客、事務員、雇人、船長、船員などと書き入れるのは、宿、病院、船など、調査時点で、人々が居る場所をうち(家)に準じたものとみなしていたからでしょう。

航行中の船舶内で生まれた場合、出生地は水上と書くことになるのですが、そこまで厳密にする意味はよくわかりません。当時は舩中誕生が多かったのでしょうか(^^;)

 

朝鮮、臺湾、樺太など、当時の植民地、日本統治の時代背景が、国勢調査項目から見てとれます。

また、北海道の先住民を北海道舊土人として、朝鮮人、臺湾人、樺太人とともに、特別扱いしているのも国勢調査の特徴です。

これは、舊土人法の同化政策の根底に、国家による民族差別意識が置かれていたことをはっきりと表しているといえるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (10)
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