遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

一富士二鷹三茄子石皿

2020年08月13日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

見込みに、富士山、たか、茄子が描かれた、やや小ぶりの石皿です。

径 25.0㎝、高 4.4㎝、高台径 11.4㎝。 江戸後期~明治。

 

使用された形跡はないのですが、古格は十分にあります。

また、普通の石皿より、全体が白いです。

 

描かれているのは、石皿で時々見かける、一富士二鷹三茄子の図柄です。

石皿の絵は、普通、皿いっぱいに豪快に描かれるのですが、この絵はかなり控えめです。

さては、チビタ絵の偽物をつかまされたか!

前回の「四階の松石皿」の例がありますから、もう疑心案義です(^^;

 

で、もう一度、冷静に描線をながめてみると、走るような筆使いではありませんが、ためらいなく、きっちりと引かれています。

 

また、空白の場所が非常に多いにもかかわらず、5個の目跡のうち2個は、絵と字の部分におかまいなくかかっています。

どうやら、この品は大丈夫のようです。

 

ところで、石皿として見た場合、この皿は他の品とかなり違いがあります。

まず、石皿の特徴である外周の鍔ですが、裏側へ襞状にぐるっと窪ませてあります。

 

 

もう一つの大きな違いは、手で触れたり、持ったりしたときの感覚です。普通の石皿ようなごつごつした感触と、ざらざらした土ざわりの感じがしないのです。

 

高台をみると、非常に肌理が細かく、白い土が使われていることがわかります。

 

目跡に残った土も、非常に細かく白いです。

 

釉薬の感触は、肌にしっとりとくる温かみがあります。これは、長石釉ですね。

石皿のほとんどは、瀬戸洞窯で作られ、釉薬は、灰と長石を混合して用いたと言われています。今回の品は、それとはちがって、長石のみが使われたため、灰釉中の鉄分による黄色が出ず、白い土と白い釉薬が、このような白い石皿を作り出したのでしょう。

高台回りをみると、赤く発色しています。志野焼にみられる緋色によく似ています。

このようにみてくると、この品は、瀬戸ではなく、美濃で作られた石皿ではないかと思われるのです。

どうしても、美濃贔屓になってしまう遅生でありました(^^;

 

 

コメント (4)
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