清涼飲料水をいれた瓶です。
通称、ニッキ瓶。
肉桂水を入れて売られることが多かったため、この名がついています。
高 21.6㎝、幅 10.2㎝。
昔、東北地方を旅した時、例によって骨董屋さん巡りをしたのですが、なかなかこれといった品がありませんでした。これは!と思う品物にはべらぼうな値がついていた、諦めかけていた時、ある店の隅に転がっていたのを、旅の記念にと求めたものです。
非常に多くの大小気泡が見られます。かげにも写っているほどです。
写真でははっきりとしませんが、口元右端から肩、そして底へと凸線があります。反対側にも、同様の凸線がもう一本。
これは、ガラス瓶を製造した時の型の跡です。
表面はデコデコしています。ところが、口から内部を触って見ると、非常に滑らかなのです。吹いて造られたガラスです。
という事は、このニッキ瓶は、型吹きガラス製法で作られている?
気泡の様子をよく観察すると・・・
底の方は丸い気泡がほとんどです。
中ほどになると、細長い気泡が多くみられます。
口元へ行くにしたがい、流れるような気泡になります。
これは、型吹きガラスを示しています。
吹き竿の先に巻き取った種ガラスを、型(石膏など)の底につけ、型の上部までガラスを吹きあげます。この時の加速度が、気泡の形になって表れているのです。また、出来上がった容器の外側には、型の凸凹がそのまま表れます。内側は、中空ですからツルツルです。
口元の処理も、かなりいい加減。古拙の味わいです(^^;
ニッキ瓶の多くは、形がほっそりした昭和初期あたりの品が多いのですが、この品はボリュームのある瓢形です。
もう少し時代が遡るのではないかと思っています(^.^)
かつて訪れた奈良公園前の老舗店骨董屋さんに、この形のニッキ瓶が土間の柱にかかっていて、花が添えられていたのを思い出しました。
二番煎じですが、庭の花をいれてみました(^.^)