遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ガラス6 ニッキ瓶

2020年08月27日 | ガラス

清涼飲料水をいれた瓶です。

通称、ニッキ瓶。

肉桂水を入れて売られることが多かったため、この名がついています。

         高 21.6㎝、幅 10.2㎝。

昔、東北地方を旅した時、例によって骨董屋さん巡りをしたのですが、なかなかこれといった品がありませんでした。これは!と思う品物にはべらぼうな値がついていた、諦めかけていた時、ある店の隅に転がっていたのを、旅の記念にと求めたものです。

 

非常に多くの大小気泡が見られます。かげにも写っているほどです。

 

写真でははっきりとしませんが、口元右端から肩、そして底へと凸線があります。反対側にも、同様の凸線がもう一本。

これは、ガラス瓶を製造した時の型の跡です。

表面はデコデコしています。ところが、口から内部を触って見ると、非常に滑らかなのです。吹いて造られたガラスです。

という事は、このニッキ瓶は、型吹きガラス製法で作られている?

気泡の様子をよく観察すると・・・

底の方は丸い気泡がほとんどです。

 

中ほどになると、細長い気泡が多くみられます。

 

口元へ行くにしたがい、流れるような気泡になります。

これは、型吹きガラスを示しています。

吹き竿の先に巻き取った種ガラスを、型(石膏など)の底につけ、型の上部までガラスを吹きあげます。この時の加速度が、気泡の形になって表れているのです。また、出来上がった容器の外側には、型の凸凹がそのまま表れます。内側は、中空ですからツルツルです。

口元の処理も、かなりいい加減。古拙の味わいです(^^;

ニッキ瓶の多くは、形がほっそりした昭和初期あたりの品が多いのですが、この品はボリュームのある瓢形です。

もう少し時代が遡るのではないかと思っています(^.^)

 

かつて訪れた奈良公園前の老舗店骨董屋さんに、この形のニッキ瓶が土間の柱にかかっていて、花が添えられていたのを思い出しました。

二番煎じですが、庭の花をいれてみました(^.^)

コメント (6)
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