顰(しかみ)面が、まだありました。
幅17.3㎝ x 長24.2㎝ x 高10.9㎝。重 964g。江戸時代。
先に紹介した2面よりも素朴な造りで、一回り半大きいです。裏の彫りが荒く、また、非常に重いので、顔に被る面ではなく、奉納面と思われます。
木肌に胡粉を塗った上に、全面、朱に彩色されていたようです。このように、朱塗りの分厚く重い粗削り面は、九州で多く見られます。故玩館には、顰以外にも、同様の面がいくつかあるので、いずれまた紹介します。
つり上がった眼と大きく開いた口など、顰面の特徴をよく備えています。眼や歯に、金泥がわずかに残っています。
鼻が欠けています。一個の木から面を彫り出すのではなく、別の木で作った鼻先をくっつけて、面が出来上がっているのですね。故玩館には、同じように鼻先を失った面が他にもいくつかあります。
もし、鼻先がついていれば、もう少し精悍な貌になっていたかも(^^;
いかにも荒い削りですが、
文字はかなり洗練された彫り。
「上有木村住人 岡?長◯◯作」とあります。
手慣れた文字の彫りからして、全くの素人が彫った面ではないようです。
なお、上有木村は、明治中期まで、福岡県鞍手郡に存在した村(現、若宮市)です。
顎の下部は、水平です。
安定して立っています。こういう状態で並べてある奉納面もあります。
顰(しかみ)面が3枚、というより顰たちが3人揃い踏み。
いずれも個性派揃い。
ただ、今回の品だけは、口元がだらしないので・・・・
前歯を生やしておきました(^.^)