goo blog サービス終了のお知らせ 

遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古面29.顰(しかみ)3

2022年06月03日 | 古面

顰(しかみ)面が、まだありました。

幅17.3㎝ x 長24.2㎝ x 高10.9㎝。重 964g。江戸時代。

先に紹介した2面よりも素朴な造りで、一回り半大きいです。裏の彫りが荒く、また、非常に重いので、顔に被る面ではなく、奉納面と思われます。

木肌に胡粉を塗った上に、全面、朱に彩色されていたようです。このように、朱塗りの分厚く重い粗削り面は、九州で多く見られます。故玩館には、顰以外にも、同様の面がいくつかあるので、いずれまた紹介します。

つり上がった眼と大きく開いた口など、顰面の特徴をよく備えています。眼や歯に、金泥がわずかに残っています。

鼻が欠けています。一個の木から面を彫り出すのではなく、別の木で作った鼻先をくっつけて、面が出来上がっているのですね。故玩館には、同じように鼻先を失った面が他にもいくつかあります。

もし、鼻先がついていれば、もう少し精悍な貌になっていたかも(^^;

いかにも荒い削りですが、

文字はかなり洗練された彫り。

「上有木村住人 岡?長◯◯作」とあります。

手慣れた文字の彫りからして、全くの素人が彫った面ではないようです。

なお、上有木村は、明治中期まで、福岡県鞍手郡に存在した村(現、若宮市)です。

 

顎の下部は、水平です。

安定して立っています。こういう状態で並べてある奉納面もあります。

 

顰(しかみ)面が3枚、というより顰たちが3人揃い踏み。

いずれも個性派揃い。

ただ、今回の品だけは、口元がだらしないので・・・・

前歯を生やしておきました(^.^)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする