今回も古箱に入った品です。
出てきたのは、琉球漆器の丸盆5枚です。
径 24.6㎝、高 2.5㎝。江戸時代後期。
豚血下地とよばれる朱色の地に、箔絵で太湖石、楼閣と人物、山などが描かれています。
この図柄は、以前に紹介した琉球漆器角盆とよく似ています。
また、縁が籐編みで作られ、裏底が黒漆塗りなのも同じです。
徳川美術館の図録に、今回の品とよく似た琉球漆器が載っていました。
『徳川美術館名品集2 唐物漆器』(平成9年)
琉球漆器類が、唐物漆器の図録の最後に載っています。その多くは、琉球王朝から幕府への献上品です。徳川家では、琉球漆器が、唐物に準ずる品として珍重されていたことが伺えます。
今回の品が入っていた箱にも、「唐盆五枚」と書かれています。江戸時代、日本では唐物への憧れが強く、この琉球漆器は唐物として扱われていたのだと思います。伊万里焼の初期色絵磁器に、「南京」の箱書きが見られる事があるのに似ていますね。